194 銀色の輝き
この前のケトスの話を聞いていて、僕はアンと作戦会議をした。
その話でまとまったことは「僕達も下位ダンジョンへ行こう」ということ。
今までは行かなかったというより、それよりも優先するべきことがあったからやらなかっただけで、やれるならやってみたい。
腕だめしみたいなもんだ。
でも、ダンジョンは誰でも入れる期間と、特定のパーティーがギルドへと申告して踏破の記録を狙うっていう期間があるらしく、下位ダンジョンは結構ギルドへの申告するパーティーが多いみたいだ。
ダンジョンをクリアってちゃんとデータとして残すなら……僕らも予約待ち状態の下位ダンジョンへ行くっていう申請をしないといけない。
他のパーティーと日程が被ったら難易度下がるもんな……手分けして進めれる訳だし。
「――クラディスくん? クラディスく〜ん?」
「は、はい!」
「昇級審査中だよ。あまりほかのことを考えないでね」
「あ、すみません……」
ギルドへと赴いてダンジョンの話を聞いていたら、ついでにランクアップの話をしようと言うことで個室へと案内された。
お相手はリンク・ドマ・ルースさんこと丸さんと他のスタッフさん二人。暴れたら止められそうな強そうなスタッフさんだ。それでも何度か挨拶したことがあるし、濃いめのコーヒーが好きって言うのは覚えてる。
「クラディスくんは現時点は銅の冒険者。次は下位二階で銀のプレートになります。そのためには実力もそうなんですけど、人格とクエストの達成率を加味して判断をする必要があります」
「人格……」
ごくり。人格面か……不安だ。
「クエストの達成率は現時点で100%。内訳も9割以上が魔物の討伐で、それも一部は中位にも匹敵するモノも倒してます。クエスト達成率で見ると他の銅の冒険者と比べるととても優秀な冒険者ですね」
「他の冒険者って……やっぱり薬草採集とかばっかりやってるんですか?」
「そうね。一般的に魔物の討伐は下位三階以上からが推奨されてるの」
「へぇ、クラディス君って最初のクエストでゴブリンを倒してるんだ」
「あの時は止めたんだけどね……」
すごく懐かしい。無理を言って武器と防具を支給してもらったんだよな。
あのクエストは本当に得るものがとても多かった。だって魔物と戦う時の心構えとか、ケトスとの出会い……エリルとの連携した魔法と近接戦闘の組み合わせもそうか。あの後エリルとの連携は魔素消費がすごく多かったから最後の手段にしたんだっけ。
「クエスト達成率のほうは完璧。次は人格というか人柄なんだけど……」
「クラディス君がねぇ」
「クラディスかぁ」
丸さんと男性スタッフ二人がこちらを見て「はぁ」ってため息をついた。
もしかして僕は悪い子なのかしら。
「僕って……人柄悪いですか……?」
「……いいや、いい子すぎる」
あ、よかった。
「スタッフからの評判の上々、この前の大規模クエストでの他の冒険者からの評価も良い。だけどねぇ、こんなにいい子で真面目なら冒険者じゃなくても他の職業になった方がいいんじゃないかって話がね……」
バインダーのようなものの上にある紙をとんとんっと叩く。
口ぶりから感じるのは、優秀な生徒がなんか変な道に進もうとしてるって感じなのかな。
「クラディス君ならスタッフにも大歓迎だよ〜?」
「凄く嬉しい話なのですが、僕はしたいことをしてます、就きたい仕事もちゃんと選んでやってます。なので、冒険者をしていたいです」
初めてあったのが冒険者のムロさん達だし、今更普通の仕事をするつもりはない。
冒険者が出来ないくらい体が老いたらスタッフになるという手もあるけど……身体が元気な内は、冒険者を続けていたい。
「……それなら話は終わりね。クラディスくんは今日から銀の冒険者よ」
「ありがとうございます!」
「食いっぱぐれたらスタッフにおいで」
「あはは、そう言って貰えるだけで嬉しいです」
部屋を出る際に銀のプレートを渡してもらって、後々カードを確認してみたらちゃんと下位二階の冒険者へとランクアップをしていた。
着々と強くなってるぞ、という思いで扉の外に出ると外の椅子に腰掛けているのは見慣れたポニーテール。
「っと……アン?」
「あるじ! どうでしたか?」
「昇給したよ〜、へへ」
もらったばかりのプレートを掲げ、ドヤ顔。どうよ、この輝き。
「おぉ! 無事に昇格おめでとうございます。今日はお祝いですね」
「アンも無事に上がれるといいね。次でしょ?」
「はい」
「次の方〜」
「あ、呼ばれましたので、行ってまいります」
「がんばれ!」
手首を合わせて応援。アンが出てくるまで、部屋の外で待機することにしておいた。
大変にお久しぶりです。
第四章が終わるまで、更新させていただきます。
第五章につきましても今、執筆中ですのでお待ちいただけると幸いです。




