終着
米大統領が帰国した一週間後。
山城官房長官は、官邸に法務大臣、経済産業大臣、外務大臣、国家公安委員長、警察庁長官、警視総監、及びTAROプロジェクトの幹部を招集し、すぐさま事後処理の検討に入った。表に出す事と闇に葬るべき事のふるい分けをした。
関与していた代議士が自分の派閥の議員だったと知った山城は気の毒なほど身を縮めていた。そのため会議は、遠山とプレゼンテーションの成功で点数を上げた経産大臣と外務大臣の主導で進行した。
まず、ガンロビーの大物マクネリ上院議員と代議士の件。これは大きな国際問題に発展しかねなく時期も時期だとして当分はこれ以上の詮索はしないこととし、当該代議士は、山城が健康上の理由をつけて年明け早々にも議員を辞職させるということで折り合った。
野々山は不問に付された。広く国民に支持されているJGCのシンボル的存在であり、情状酌量も汲まれ、さらには結果的に未遂に終った事でそのような処置になった。
柴田は一応の調書を取ったあとで、肩の負傷もありもはや逃亡や証拠隠滅などの恐れは無いという事で自宅に帰ることを許された。そして、翌日からは大山の事情聴取が始まる段取りとなっていたのだが、その日のうちに柴田と大山が相次いで命を絶ってしまったのは返す返すも残念な結果となった。
柴田は自宅の湯船で手首を切って果てた。遺書には警察で述べたとおりすべては自分ひとりの不心得から及んだ犯行であると記されていた。
大量の睡眠剤を飲んで死亡した大山の遺書もほぼ同様だった。杉電器、政府、並びに自社に多大な迷惑をかけたことを詫びた上で、どうか部下をお疑いなきようにと結んであったが、自分の関与については一行の記述もなかった。ただし伊能の観察は見事に的中、大山茂は矢木沢修の実弟だったことが判明した。




