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38. ガスパル — ジョルダーノからの贈り物

バルディーニ家の車列が教会の前で止まった。

特別な式典のとき、バルディーニ家はいつも黒塗りの三台編成の車列で移動していた。

傷は治っていたが、元の役目に戻るにはヴィトさんとの厳しい競争が待っていた。今のところ、優勢なのはあっちのようだった。

今回は三台とも人が乗っていた。先頭車両には、一瞬たりとも警戒を解かないロッコ。中央の車は、小さなドンとシニョーラのための車だった。マッテオはいつものようにロザリアのそばを離れない。ヴィトさんは何度も命を張ってきたことで得た信頼から、シニョーラと同じ車の助手席に座っていた。

今日は護衛というより、ほとんど子守役だった。俺は最後尾の車で、小さなバルディーニ一味と一緒に乗っていた。教会に着くまで、ジョヴァンニは数え切れないほど後部座席から前へ、また後ろへと飛び回っていた。

教会の周囲を囲む武装した護衛たちを見れば、中にこの街でもっとも力を持つ男たちが集まっていることはすぐに分かった。

マッテオとヴィトさんがそばにいる安心感からか、ロザリアは車を降りても周囲を確認しようともしなかった。背筋を真っ直ぐ伸ばし、小さなドンを抱いたまま、巨大な金属製の教会の扉へ向かって静かに歩いていく。マッテオとヴィトさんはロザリアの両側を歩き、彼女を守っていた。

俺は小さなバルディーニ一味を守ろうとしながら、絶えず周囲に目を配り、無意識に警戒を続けていた。

いつものように先頭を歩いていたロッコが、重い教会の扉を一気に開けた。

扉が開いた瞬間、教会の中には強烈な対比があった。

壁を彩る金の装飾、高い天井に描かれた聖なる絵、大きな蝋燭の重たい香り、祭壇へ続く広い大理石の通路、赤い木製の長椅子――。そんな穏やかで神聖な空間を埋めているのは、ドンたちとその後継者たちだった。

教会の静かな空気と、ドンたちの腰に下がる銃。その違和感は、ただ目で見るだけのものじゃない。体の奥まで染み込んで、骨の芯まで重く感じさせるような空気だった。

ロザリアがステファノを抱きながら祭壇へ続く大理石の道を歩き始めると、その場にいた全員が静かに所定の位置についた。マッテオとヴィトさんは最後列に座り、ロッコはいつものように入口に立ったまま、誰一人中へ通さないと言わんばかりに扉の前で待機していた。

ロザリアは落ち着いた足取りで、ただ前だけを見て祭壇へ向かっていた。

小さなバルディーニ一味はいつも一緒に過ごして遊んでいたが、性格はまったく違っていた。

エリオはロザリアの右側で、腕ひとつ振らず、自信に満ちた様子で真っ直ぐ前を見て歩いていた。

ジョヴァンニはロザリアの左側で、両手をポケットに入れたまま、この場の厳かな空気など気にもしていないようにドンたちを眺めながら歩いていた。

ドメニコはというと、黒いスーツ姿のドンたちを見るたびに怯えたような顔をして、ロザリアの後ろに隠れようとするように控えめな足取りで歩いていた。

俺はそのさらに後ろから、まるで存在を消すみたいに静かについていった。

ルカ・バルディーニが、当然ながら息子ステファノの洗礼式を欠席するはずがなかった。

そこにいるドンたちは知らなかったが、ルカも教会にいた。ただし、誰の目にも触れない場所に。祭壇の上方、壁の奥には小さな木製の窓があり、ルカ・バルディーニは二階の隠し祈祷室から静かに式を見守っていた。

この大きな式典の主役である小さなドンは、母親の腕の中で祭壇の前にいた。

ステファノの代父になるため、ボリス・イワノフ本人がロシアから来ていた。ボリスはロザリアの隣に立ち、式が始まるのを待っていた。

祭壇のそばに立つ年老いた神父が、式の前に祈りを始めた。

神父が祈り始めると、教会の中は完全に静まり返った。目を閉じて頭を下げるドンもいれば、ただ黙って祭壇を見つめている者もいた。

ステファノはロザリアの腕の中で、白い絹の布から抜け出そうとするみたいに、小さな手足を動かしていた。だが、小さなドンは式の重々しい空気を感じ取っているかのように、とても静かだった。

神父は聖水を数滴ステファノの頭に垂らし、そのまま祈りを続けた。ロザリアは静かにステファノを抱いていた。赤ん坊は少しだけ身じろぎしたが、泣くことはなかった。その場にいた全員が、黙って神父の祈りを聞いていた。

最後の祈りを終えた神父は小さく十字を切り、洗礼の終了を告げた。それをきっかけに、教会を包んでいた張り詰めた空気がわずかに和らいだ。

式が終わった直後、大理石の床に足音が響いた。

招待客の中から、四十代くらいの背の高い男が一人離れ、重い足取りでロザリアのほうへ歩いてくる。

男を目立たせていたのは、仕立てのいい黒いスーツでも、腰の銃でもなかった。指先で揺らしている金の十字架のネックレスだった。

男がロザリアに近づいた瞬間、俺はここが教会だということも式の最中だったことも忘れたみたいに、反射的に彼女を守るため前へ出た。

男はゆっくりとした動作で、その金のネックレスを赤ん坊の首元へ差し出した。

「下がって。」

ロザリアは素早く腰の短剣を抜き、男の顔へ向けた。

「俺を、父の短剣で脅すおつもりですか? シニョーラ。」

男は皮肉っぽく笑いながら言った。

その男は、ガブリエル・ジョルダーノの一人息子――アレッサンドロ・ジョルダーノだった。

ロザリアは男の正体を知った瞬間、表情を変えた。だが、短剣を握る手にさらに力を込めた。

「神が小さなドンをお守りくださいますように。」

アレッサンドロ・ジョルダーノは短剣の先にネックレスを引っ掛けると、そのまま背を向け、重い足取りで教会を後にした。


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