表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/41

35. ガスパール — 港に待つ死

「落ち着け、みんな。問題ない」——ロッコは右手を上げ、男たちに銃を下ろすよう合図した。「こちらはシニョーラ・バルディーニ。ドン・バルディーニの妻だ」——ロッコは驚いた様子でロザリアを見つめていた。


中央には大きな木箱がいくつも積み上げられている。武器商人たちとロッコはそのそばに立っていた。


「こんばんは、シニョーラ」——男の一人が薄く笑みを浮かべてロザリアを見る。


ロザリアは男たちとロッコの間を通り抜け、木箱の反対側へ歩いていった。


「見てもいいかしら?」——ロザリアは箱に手を伸ばしながら男たちを見た。


「もちろんです、シニョーラ」——一人が銃を腰に戻しながら答えた。


男たちは緊張を解いていた。先ほどこちらに向けていた銃を下ろし、腰に収めている。ロッコは戸惑いながらその様子を見続けていた。ロザリアは静かで迷いのない手つきで箱を開けていく。その場の張り詰めた空気を骨の奥まで感じていたのは、たぶん俺だけだった。


何が起こるか、興味はなかった。分かっていたからだ。


「そんなに気に入ったなら、差し上げますよ。お似合いだ」——男の一人が皮肉めいた口調で言い続ける。


ロザリアは一番上の箱の蓋を半分ほど開け、中から機関銃を取り出した。向きを変え、両側を確かめるように構える。その銃はすぐにでも撃てる状態だった。


「ええ、そうね」——ロザリアは機関銃を男たちへ向けた。


ロザリアの指が引き金に触れたのは、ほんの五秒ほどだった。次の瞬間、何が起きたのか理解する間もなく、男たちは穴だらけになって地面に倒れていた。ロッコは両手で頭を抱えるようにして耳を塞いでいる。


「何をしたんだ!」——ロッコの目が見開かれる。


「あなたがやるべきだったことよ」——ロザリアは機関銃を箱に戻しながら言った。


ロッコの目には恐怖が浮かんでいた。だが、その原因はロザリアではない。


「早く車へ!」——ロッコはロザリアの腕を掴んで引いた。


「正気なの、ロッコ? 何をしてるのよ!」——ロザリアは腕を振りほどき、苛立った声で言う。


コンテナの間から車が姿を現した。


「遅い……! 隠れないと!」——ロッコは銃を抜き、後ずさる。


武器商人は五人だけではなかった。大半は港の入口付近、コンテナの陰で車の中に待機していた。銃声を聞いてすぐに動き出したのだ。


「走れ、早く!」——ガスパールは腕でロザリアを引き寄せた。


車は止まらないまま、窓から発砲してくる。俺がロザリアの前に出る頃には、彼女はすでに箱から機関銃を手にしていた。


四台の車に分乗した武器商人たちが、こちらへ突っ込んでくる。逃げてコンテナの間に身を隠すしかなかった。


男たちは車を降り、狩人のように散開して俺たちを探し始める。


「ロッコはどこ?」——ロザリアが小さく問い、周囲を見回す。


ロッコはわざと反対方向へ走っていた。


「たぶん、あっちだ」——俺は銃声のする方へ目を向けた。


ロッコをロッコたらしめているのは、速さや頭の良さだけじゃない。あの度胸と、ルカ・バルディーニへの忠誠だ。


ロザリアとどれだけ対立していても、彼はためらいなく彼女のために危険へ飛び込める。


わざと別方向へ走り、身を隠した。コンテナの間を動き回る連中の注意を引くため、わざと発砲している。


「行くぞ」——俺は片手でロザリアの腰を引き寄せるようにして支えた。


別方向から聞こえる銃声からして、ロッコはまだ生きている。俺は前と横を警戒しながら、銃を構えて進んだ。ロザリアは背中合わせになる形で後方を警戒している。


「俺の後ろにいろ」——俺は発砲しながらロザリアの前に立つ。


武器商人の一人が目の前に現れた。ロザリアの前からどかさず、そのまま撃ち倒した。


銃声で、別の場所にいた連中も俺たちの位置に気づいたらしい。


コンテナの間を抜けて急いで進む。だが、遅かった。


狭い通路を進んでいると、コンテナの間に響く足音が聞こえた。気づいた瞬間、わずかに足を止める。ロザリアも銃を強く握り直した。その直後、左右から二人の男が同時に飛び出し、撃ってきた。


反射的にロザリアの腕を掴んで引き寄せ、前にかばう形で抱き込む。ロザリアが危険にさらされると、思考より先に体が動く。


「ガスパール、やめて!」——俺はロザリアを金属のコンテナへ押しつけた。


全体重でロザリアを押し込み、そのまま覆いかぶさるように抱きしめる。


ロザリアは一瞬もためらわず、俺の脇の下から腕を抜き、背後の男たちへ銃口を向けた。見えない相手に、音だけを頼りに引き金を引く。


意識が落ちる直前に覚えているのは、肩と背中に走る激しい痛みと、遠くから聞こえるマッテオの声、そしてロザリアの膝に頭を抱えられ、不安げにこちらを見つめるその瞳だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ