35. ガスパール — 港に待つ死
「落ち着け、みんな。問題ない」——ロッコは右手を上げ、男たちに銃を下ろすよう合図した。「こちらはシニョーラ・バルディーニ。ドン・バルディーニの妻だ」——ロッコは驚いた様子でロザリアを見つめていた。
中央には大きな木箱がいくつも積み上げられている。武器商人たちとロッコはそのそばに立っていた。
「こんばんは、シニョーラ」——男の一人が薄く笑みを浮かべてロザリアを見る。
ロザリアは男たちとロッコの間を通り抜け、木箱の反対側へ歩いていった。
「見てもいいかしら?」——ロザリアは箱に手を伸ばしながら男たちを見た。
「もちろんです、シニョーラ」——一人が銃を腰に戻しながら答えた。
男たちは緊張を解いていた。先ほどこちらに向けていた銃を下ろし、腰に収めている。ロッコは戸惑いながらその様子を見続けていた。ロザリアは静かで迷いのない手つきで箱を開けていく。その場の張り詰めた空気を骨の奥まで感じていたのは、たぶん俺だけだった。
何が起こるか、興味はなかった。分かっていたからだ。
「そんなに気に入ったなら、差し上げますよ。お似合いだ」——男の一人が皮肉めいた口調で言い続ける。
ロザリアは一番上の箱の蓋を半分ほど開け、中から機関銃を取り出した。向きを変え、両側を確かめるように構える。その銃はすぐにでも撃てる状態だった。
「ええ、そうね」——ロザリアは機関銃を男たちへ向けた。
ロザリアの指が引き金に触れたのは、ほんの五秒ほどだった。次の瞬間、何が起きたのか理解する間もなく、男たちは穴だらけになって地面に倒れていた。ロッコは両手で頭を抱えるようにして耳を塞いでいる。
「何をしたんだ!」——ロッコの目が見開かれる。
「あなたがやるべきだったことよ」——ロザリアは機関銃を箱に戻しながら言った。
ロッコの目には恐怖が浮かんでいた。だが、その原因はロザリアではない。
「早く車へ!」——ロッコはロザリアの腕を掴んで引いた。
「正気なの、ロッコ? 何をしてるのよ!」——ロザリアは腕を振りほどき、苛立った声で言う。
コンテナの間から車が姿を現した。
「遅い……! 隠れないと!」——ロッコは銃を抜き、後ずさる。
武器商人は五人だけではなかった。大半は港の入口付近、コンテナの陰で車の中に待機していた。銃声を聞いてすぐに動き出したのだ。
「走れ、早く!」——ガスパールは腕でロザリアを引き寄せた。
車は止まらないまま、窓から発砲してくる。俺がロザリアの前に出る頃には、彼女はすでに箱から機関銃を手にしていた。
四台の車に分乗した武器商人たちが、こちらへ突っ込んでくる。逃げてコンテナの間に身を隠すしかなかった。
男たちは車を降り、狩人のように散開して俺たちを探し始める。
「ロッコはどこ?」——ロザリアが小さく問い、周囲を見回す。
ロッコはわざと反対方向へ走っていた。
「たぶん、あっちだ」——俺は銃声のする方へ目を向けた。
ロッコをロッコたらしめているのは、速さや頭の良さだけじゃない。あの度胸と、ルカ・バルディーニへの忠誠だ。
ロザリアとどれだけ対立していても、彼はためらいなく彼女のために危険へ飛び込める。
わざと別方向へ走り、身を隠した。コンテナの間を動き回る連中の注意を引くため、わざと発砲している。
「行くぞ」——俺は片手でロザリアの腰を引き寄せるようにして支えた。
別方向から聞こえる銃声からして、ロッコはまだ生きている。俺は前と横を警戒しながら、銃を構えて進んだ。ロザリアは背中合わせになる形で後方を警戒している。
「俺の後ろにいろ」——俺は発砲しながらロザリアの前に立つ。
武器商人の一人が目の前に現れた。ロザリアの前からどかさず、そのまま撃ち倒した。
銃声で、別の場所にいた連中も俺たちの位置に気づいたらしい。
コンテナの間を抜けて急いで進む。だが、遅かった。
狭い通路を進んでいると、コンテナの間に響く足音が聞こえた。気づいた瞬間、わずかに足を止める。ロザリアも銃を強く握り直した。その直後、左右から二人の男が同時に飛び出し、撃ってきた。
反射的にロザリアの腕を掴んで引き寄せ、前にかばう形で抱き込む。ロザリアが危険にさらされると、思考より先に体が動く。
「ガスパール、やめて!」——俺はロザリアを金属のコンテナへ押しつけた。
全体重でロザリアを押し込み、そのまま覆いかぶさるように抱きしめる。
ロザリアは一瞬もためらわず、俺の脇の下から腕を抜き、背後の男たちへ銃口を向けた。見えない相手に、音だけを頼りに引き金を引く。
意識が落ちる直前に覚えているのは、肩と背中に走る激しい痛みと、遠くから聞こえるマッテオの声、そしてロザリアの膝に頭を抱えられ、不安げにこちらを見つめるその瞳だった。




