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にゃん鬼行  作者: てふ
三夜の夢
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三夜城家 夢の巣 6話

篭屋かごやの歌

「外が見たい。」


声がどんどん遠くに響く。

屋敷は、どんどん広くなっていく。

御簾の中は、おそらく変わっていない。


誰の気配もない。

誰に言われたわけでもなく、

一人で御簾から出る事はなくなっていく。


「外が見たい。」誰に向かうでもなく声が響く。

御簾を風が揺らした。

暖かい。


風の吹いてくる方に目をやると

いつの間にか、庭ができていた。

気持ちがいい。 


手前の部屋にいくつかの影がしゃらしゃらと、楽しげに鳴る。

また、若い娘が訪ねてきている。

御簾が優しく揺れていた。

奥の間が開いているからなのか、屋敷が広くなったからなのかもうどうでもよい。


「外が見たい。」誰に向けたわけでもないが、一瞬人影がとまる。サーサー。

動きがなくなった屋敷中に水の流れる音が聞こえた。

???水音?

ここは、どこだった?

私はいったい何だ?


思わず御簾の中を見回す。

いつものように御簾に囲まれた私の居場所は、何も変化はない様子だ。

ただゆっくり、やさしく御簾が揺れている。

私はいったい何で、だれだ?


音のない老人は、家人を呼んだ。 

・・・いつの間にか、家人までがいた。


縁側に、席を設けて茶を淹れる。風が気持ちいい。

娘たちの声を風がさえぎる。耳が呼吸する。庭の音が鮮明になる。

庭の奥 塀を超えて、心地の良い陽気な歌が聞こえた。

楽し気な声。

美しい音だ。耳を澄まして、目を閉じた。


音のない老人が、”召されますか?”と、

聞いた?

何を言っているのかわからない。

が、うなずいた。

音のない老人が面の下でにぃと笑ったような気がした。


篭屋が屋敷に招かれた。


部屋にいつもの膳と、もう一つ膳が置かれた、酒もある。

酒を飲んだのは、初めてだった。


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