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三夜城の家 夢の中の人 2話
▶「妹」と「自分」
ある時、もうすっかり化け物になった両親が、
小さな、小さな、人の子を抱いていた。
視界に入った途端、目が離せなかった。
はじめて体に血が巡り、熱を持っている事に気づいた。
小さく、頼りない赤子。
化け物になった母の腕の中で、か細く、力なく泣く赤子。
「いもうと」なのだそうだ。
妹は、来るたびに小さくなっていく気がした。はじめて対面したときよりも、
もっと、もっと、小さくなった。
か弱い、力ない、消えそうな声で泣いている。
両親は、相変わらず化け物だった。
ずっと笑っている。
ぺらん。ぺらん。
何がそんなにおもしろいのか、何を言っているのか、まったくわからない。
ぺらん。ぺらん。
笑っている。
何を言っているのかわからない。
妹を御簾の中へよこした。
・・・。
ふれた瞬間、身の内に体温が戻って来るのを感じていた。
この消えそうな声を守りたい。
化け物達から助けなくてはいけない。
妹をこの化け物達から早く助けなくては、早くしないと、
本当に消えてしまう。
化け物から離す事ができるのは、この世で一人しかいない。
神託を発する自分。
「兄」である自分ただ一人しかいない。
この次の両親との面会に、神託として詩を詠む事に決めた。
化け物達は、言った通りにする。
神託とは、何かはしらない。
ただ、神託の通りに人は、大人は動く。




