絹の糸 1話
▶三夜
・・・。空は広い。
一番上の弟が十二になったので、番頭見習いになった。
その内、番頭に立つ。
私もそろそろ気を引き締めなければ。
ウチは、女が家督を継ぐ。
私が四つの時、下にもう一人 女が産まれた。
かわいいこの子はいずれ嫁に行く。
少しうらやましく思った事もあったが、
それぞれに持って産まれた役割があった。
もうすぐ十一になる妹は、
呉服商に売られそうになっている。
家の借入れの形だ。嫌とは言えない。
呉服とは名ばかりで、商品は、異国の古着の使い回しで、
裏では、異国へ娘を売ったりしている。
おまけに輿入れ先の息子は、有名な遊び人でいい噂は聞かない。
ウチは、すべての工程を家の者総出でつくる。
ウチの糸は、珍しい植物の繊維を紡ぐのと、蚕からとるのと、
・・・ほかに何種類かあり、色んな糸を織り込んだ物で繕う装飾品、
薄い羽衣なども織っている。
とある格式の高い御家が、贔屓にして下さるようになってから、
徐々に名も通おるようになってきていた。
特に妹の織る装飾品の織物や細工は高値で売れている。
そこへ目を付けた呉服商の大旦那が妹を嫁に取りたい。と言い出した。
身内に引き入れて、安く糸や、布を仕入れるつもりだ。
妹は朝から晩まで、働かされるだろう
働けなくなったら、どぉ扱われるか考えただけで寒気がする。
三夜は、不可思議な男?で、
突然現れて、見ず知らずの私の前で、
“嬉しい。”と、言って、涙を流して喜んでいた。
?????
何を言っているのかは、あまりわからなかったが・・・・・。
どうやら、
幼い時、死に別れたと思っていた妹が、
同じ屋敷内に生きているらしいと、知った。
?????
どうやら、
事情があって、会う事はできないらしい。
?????
あまりに浮世離れした話で、混乱していたが、
本当に嬉しそうに話すので、黙って聞いていた。
・・・つい、
家の形にとられるかもしれない妹の話をこぼしてしまっていた。
三夜も、だまって聞いていた。
話し終えると、
ウチを三夜城のお抱えにしてくれると。
約束してくれた。
しばらくして、三夜城の家の従者が、私の入内を申し入れに来た。
入内がいきなり決まるのには、驚いたけども、
不思議とそのようになる気がしていた。
晴れて私は、三夜城家へ嫁に、
妹は、家督を継いだ。
家の借り入れを出しても、釣りがくる。
妹の呉服商との輿入れの話は取りやめになった。
妹は、輿入れの日に命を断つ覚悟をしていたらしい。
三夜城入内の日を迎え
妹と父母、私で抱き合って喜んだ。
三夜は、妹の命の恩人だ。
そして、私も、・・・家を出ていける。
この広い空に感謝をした。




