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にゃん鬼行  作者: てふ
三夜の夢
9/34

三夜城家 夢の巣 9話 ~残骸

▶神託・布屋

香の宮の奥の間、戸を開けて、縁側に席を用意する。


庭は、どんどん広くなって、

屋敷も何軒か建っていた。


大きな池もできている。


川から水を引いて、敷地内をめぐって、外の川へ流れ出る仕組みになっていて、

池の水は、いつでも”新鮮”なのだそうだ。

流れがあるのに、

不思議と池に動きはない。池の中の方で、水草が揺れている。


ゆらりゆらり。ぐにゃりぐにゃり。

”くすくす。しゃらしゃら。”

屋敷の中が、今日は、騒がしい。 

宮入りした娘達が、前の広間で沸き立っている。

静かな奥の間にも聞こえてくる。


・・・今日は、仕立屋が来ている。


次の宴の着物を見立てているのだろう。

「この着物は、どなたのでしょう??」

「それは?」

”くすくす。しゃらしゃら。”

たいわいもない、娘達の戯れだ。

ゆらり。ゆらり。ぐにゃり。池は静かだ。


また、いつもの通りに宴が始まった。

ぐにゃり。ぐにゃり。


香の宮の奥で。朝を迎える。

まだ宴は、鳴り止まない。


朝餉の用意を、家人が整え。

さっさと下がった。

軽く身支度を整え膳の前へ座る。

娘はまだ眠っているのだろぉか?

しばらく、庭を眺めて待つ。

・・・

美しい布が、ふわふわと 水色の空に揺れている。

水面は、揺れていないのに、布はふわりふわりと風になびいている。

・・・。

池の中に東屋がぽつんとできている。

・・・もしかすると夢なのかもしれない。

どちらでもよい。

視線を手前の膳に移す。


娘はまだ床から出て来ない。

先に頂くのは、礼を欠くのかもしれないので。

ぼーと待つ。


娘の寝ている方をちらりと見る。


?娘は起き上がって散らばった布にくるまり座っている。

?何故か、娘は怯えている。

「どおした?」建前上聞いてみる。まだ、月が満ちるまでは、時がある。

ひと時だけども、共に過ごす娘だ。

もめ事は、嫌だ。 娘の隣に静かに寄り添う。


娘は布にくるまり

小さな声で、ぶつぶつ 独り言を繰り返す。

あぁ。

この娘も東屋が突然現れた事に驚いているのか?

それはそうだ。

少し前まで、なかった、池すらなかった。 無理もない。

背中をさすってやり、顔を覗き込む。


「三夜様は、本物なのですね。」 ”は?”

「神託です、」「三夜様の神託を伝えます。」唐突に、語り出す。 

忘れてしまわぬようにと、慌てて話し出した。


”月は満ち、下弦の次の朝、

()、天頂過ぎる頃、羽衣の元へ。

羽衣統べる者あり“


“水の中、羽衣の館へ、その娘はある”

”求める答えそこにあり“


すー。はー。すー。

「三夜様に、伝えないといけない気がしました。」

一気にしゃべって息が持たなかったのか、呼吸を整えている。


どくどく。

耳に心音が聞こえる。それとも耳が脈打っている。

急に生き生きと、世界が揺れ始める。


・・・。

「その話は、他言するな。」思わず手を握り、

娘を抱きしめた。

手の温度が上がる。

他言するな。と、言っても、

老人達は、聞いているのかもしれない。

いや、もうすでに神託があったのかもしれない。


”水の中、羽衣の館”っ!

まさに、突然現れた東屋だ。

手を握ったまま、庭に目をやる。

娘は驚いて怯えて?いたが、

すぐ身支度を整え朝餉の席に着いた。



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