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ヒルダさん、強すぎないっすか?

「来たよ。」

ピュン!

ヒルダの声と同時に矢がコボルトに飛んでいく。

ピュン!

すぐにもう一本、別のコボルトに飛んでいく。

「ギャン!」「ギャン!」

二匹に矢が刺さり、動きが鈍る。

無傷の残り2匹がこっちに向かってくる。

「風の魔法、砂埃!」

近づいてきたと思ったら、さらにヒルダの魔法で俺たちの前に砂埃が舞い上がり、コボルトの動きが止まる。

「おりゃ!」「ふんっ!」

アレンは剣で、俺は鉈でそれぞれコボルトを仕留める。

矢が刺さったコボルトは苦しそうに痙攣している。ヒルダの矢に塗った迷彩大ガエルの毒だ。素早く毒で苦しむ2匹に止めを刺す。


「ヒルダさん、強すぎないっすか?」

「なによ。毒あった方が効率良いでしょ?」

「流石ヒルダだ。」

ヒルダが仲間になって2週間。お互いの技能もわかり、だいぶ連携ができてきた。

ヒルダは弓の腕と風の魔法がとんでもなくすごい。たぶんMPは俺たちの中で一番だし、魔力操作も段違いだ。

おかげで、今のようにコボルトは楽勝になった。迷彩大ガエルは火の魔法で明るくすれば、なぜか動いて遠ざかろうとするので、すぐに見つけられることが分かった。大ネズミの群れとしびれ柳は面倒だが、負けることはない。

俺たちは次の階層に行こうとしていた。


次の階層、6階層は5階層と同じく、小川が至る所に流れているが、とても広く、大きな木の幹が何本も、洞窟の下から上までを貫いていた。


「どうなってんだ、ここ。」

「ここもコウモリがいるのね」

「ああ、臭いな」

「そこかよ、アレン…。おい、上見ろ、クモの巣だ。でかいクモがいる。」

「ソラ、木になにかいるぞ。昆虫だな、でかいカブト虫だ。」

「ああ、数が多すぎる、一旦逃げよう。」

俺たちは魔物を刺激しないように、5階層と6階層の間の広間まで戻った。


「どう思う、ソラ」

「大グモは火が効きそうだから試したいな。」

「大カブト虫は堅そうだったわ。風の魔法で切れるかしら?」

「あの木の幹も無害かどうかわからない。慎重にいこう。」

思い思いにさっき見たことを共有する。

「なんにせよ、ちょっと休憩しよう。俺が見張りする。」

「そうね。」

「わかった。」

それぞれ装備の点検したり、瞑想したり、休憩がてら6階層の威力偵察に向けて準備を整える。

おれは見張りだ。

「ソラ、ちょっといい?」

ヒルダが近寄ってくる。

「どうした?」

視線を6階層のほうに向けたまま返事をする。

「あんたとアレン、いつの間に仲良くなったの?」

ヒルダが俺の横に座ってきた。近い。

「なんで?」

「気になるじゃない。あなたは赤目で落ちこぼれ、アレンは大樹で暮らす本当のエリートよ。」

ヒルダが俺の顔を覗きこむように話しかけてくる。近いな、ほんと。

ハイエルフは木の上に住む。格の高い家ほど大きな木に家を作る。俺んちは地べたにある。俺のせいで。

「仲がいいわけじゃない、ダンジョン以外だったら話もしないしな。」

「そうよね。あんたたち、もう何か月もこのダンジョンもぐってるんでしょ?全然わからなかったわ。」

「そりゃよかった。数か月つっても毎日じゃないし、そこは気を付けてたしな。」

「なんで?」

ヒルダのほうを見ると、少し驚いた顔をしてる。

「お前も言ったろ?俺は赤目であいつは大樹のエリート。一緒にいるのをほかの奴にみられると面倒だ。」

すぐに前に向きなおして話す。近いっての。つられてヒルダも6階層のほうを見る。

「…ふーん。ソラ、あんた結構わかってるのね。」

「何がだよ。」

「ねえ、それがわかってるのに、なんでユイにちょっかい出すの?」

またこっちを覗き込みながら聞いてくる。答えは一つしかない質問だ。

「ユイが好きだからだ。」

「ユイに迷惑かけても?」

「うぐ。これでも遠慮してる。…つもりだ。」

「そうは見えないけど。でも確かに実際あんたらが一緒に何かしてるなんて見たことないわね。」

「ああ、残念だけどな。まあ、今の俺と一緒にいても迷惑かけるしな。だから俺は強くなるんだ。」

「強くねぇ。あんたユイがどんな子か知らないでしょ?」

「赤目の俺でも普通に接してくれるかわいい子だ。」

確かにまだまだ知らないことは多いだろう。悔しいがその通りだ。

「…ふーん。ねえ、そろそろ行きましょう?」

「そうだな。」

結局、何しに来たんだろう?


3人での威力偵察の結果、次のようなことが分かった。

6階層からでてきた大カブト虫だが、ダメージを与えられるのは、風の魔法乗せたアレンの渾身の剣か火の魔法を乗せた俺の渾身の鉈だけ。

クモの巣は業火くらいの火の魔法なら燃えるが、そこから延焼はしていかない。風の魔法はヒルダなら簡単に切れるようだが、アレンだと切れるくらいの出力出すのに時間がいる。

大グモは子犬サイズから軽自動車くらいのサイズまでいて、子犬サイズは楽勝、大型犬サイズは素早いし、力が強い。防御力はそうでもないから3人なら倒せる。軽自動車さんは無理。怖い。

大きな木の幹は無害どころか切って出る樹液が甘くてうまい。毒はなかった。ただ、その樹液に誘われて大カブトと大グモが寄ってくる。クモも食べるのかよって感じだ。

5階層で大活躍だったヒルダだが、6階層ではなんせ大カブトと相性が悪すぎた。カブト虫もクモも奥に行くほど数が多くなる。あとわかったのが、カブト虫とクモは縄張り争いをしている。だから共闘して俺たちに向かってくることはないのが救いだ。

以上のことが分かったところで、本日の探索は終了となった。


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