新しい仲間
「で、なんでお前がいるんだ」
「俺が呼んだんだ。」
「そうよ、アレンに呼ばれたから来たの。っていうかなんでソラがいるのよ?それにここ何?」
俺たちはいまダンジョンの入り口にいる。
そして俺の前には不機嫌そうなかわいいが嫌な女の子、ヒルダと無表情のくせに当然のような顔をしているアレンがいる。
「…アレン。俺は秘密の特訓と言ったよな。」
「…ああ。」
こいつ、わざとだな。
「アレン、なぜほかのやつにしゃべった?」
「…申し訳ない。忘れていた。」
「忘れてたじゃねえよ!なんで言うかな?お前普段無口なのにほんとは口軽いの?ねえ?」
「なによ、ソラ、秘密の特訓って?」
「お前には関係ない。」
「…アレン、どういうこと?」
「すまない。俺が悪い。ソラの秘密の特訓をヒルダにばらしてしまうことになってしまった。」
「秘密の特訓?…ぷっ、あはっ、あははははっ、何それ!?ソラ、あんた12歳にもなって秘密の特訓してるの?何よ、じゃあここ秘密基地ってわけ?ぷぷっ!」
くっ!しまった。アレンに適当に言った秘密の特訓がこんなところで恥かいてしまうとは。くぅぅ、ヒルダめ!楽しそうだ。なんか悔しい!そして恥ずかしい!!
「う、うるせぇ。」
「何動揺してんのよ。ぷっ、赤目が特訓なんかしたってしょうがないでしょうに。」
「ヒルダ、ソラを赤目と馬鹿にするな。ソラは強い。」
無表情だが、すこし強くアレンが言う。
「えっ、アレン、どうしたの?」
「ソラは秘密の特訓をして強くなっている。それを赤目だからとかしょうがないとか言わない方がいい。そして俺もソラと一緒に秘密の特訓をしている。」
「…じゃあ、なんであたしを連れてきたの?」
一気に不機嫌そうな顔になるヒルダ。
「付き合ってほしい。」
真顔のアレン。
「えぇっ!」
驚くヒルダ。
「俺たちだけじゃこの先に進めないから。」
驚きのまま固まるヒルダ。
「ぷっ、ヒルダ、お前、なに勘違いしてんだよ?」
おちょくる俺。
「何を勘違いしたっていうのよっ!」
真っ赤になって怒るヒルダ。
「秘密の特訓なんて恥ずかしいこと一緒にやろうっていうから驚いただけよ!」
「へー、ほーん。ソーナンダー。」
「ソラ、あんた、いい加減にしなさいよ。」
ざわざわと風がざわめく。やばい。
「ヒルダ、そんなに秘密の特訓は恥ずかしいか?」
アレンが無表情に少し声を落として残念そうに言う。
風がやみ、あわてたようにヒルダが言う。
「ううん、恥ずかしくないよ!ちょっと秘密の特訓っていう言葉が子供っぽいっていうだけで。」
わたわたしてヒルダが言い訳を重ねてる。
アレンの無表情は変わらない。っていうかここまで無表情だったっけ?
「そ、そうだ、ソラ、これダンジョンでしょ?冒険なんじゃないの?秘密の特訓じゃなくて。」
ヒルダが俺に振ってくる。
「まあ、そうだな。冒険だ。まだ先があるし、でも俺たちだけじゃ進めない感じだ。」
「そ、そうなんだ。で、私の力がいるってことね?」
「そういうことなのか、アレン?」
「…そうだ。」
たしかに、俺たちはここ数か月コボルトの階層から先に進めていない。索敵能力があり集団戦を仕掛けてくるコボルト、迷彩色の毒持ち大ガエル、たいして強くないがとにかく一度にたくさん出てくる大ネズミの群れ、しびれる粉をまき散らす光る柳の木など、どれも倒せないわけじゃないがどれも簡単には倒せないし、おかげで継戦能力が足りない。
アレンのやつ、それでヒルダを呼んだのか。
「アレン、だったら相談しろよ。」
「すまん。」
「なんで、アレンがあんたに相談するのよ?」
「このダンジョンはソラが見つけたんだ。ソラの秘密だった。」
「ふーん、要するにソラのダンジョンにアレンとソラで冒険してて、限界きたから助っ人欲しいってこと?」
「そうだ。」
まとめるの上手いな、ヒルダ。
「嫌よ。」
「…そうか。」
あからさまに残念そうな声の無表情アレン。
「助っ人はね。私も仲間に入れて?」
「ヒルダ!ソラ、ダメか?」
ちょっとうれしそうなアレン。
「…いや、俺たちだけじゃこの先行けないしな。」
こうして、新たな仲間が増えたのだった。
しかしアレンのやつ、なんで今日こんな無表情だったんだろ?




