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転生したらイケメンだった面(ツラ)〜前世ブサイクの俺、チート顔面と勘違いで最強勇者の代役をやる羽目になる〜  作者: Umeキミノ莉
七日目 アトラシア篇

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四十六話 帰ろう


ー神殿に着くと、アトラシアマリンが祭壇で青く光っていた。


俺はそれを手に取ろうとする。


ブオオオオオオオ!!


ブオオオオオオオ!!


すると、泣き声に似た、鯨の声が響き渡る。


「くっ、」



ーーー「お待ちなさい」


すると扉の方から凛とした声が響いた。


「海神様…」


「…神殿に裸で入ったのは汝が初めてですよ。」


「ご、ごめんなさい」


「汝の国は、私が眠っている間に大きく繁栄を遂げたそうですね。アトラシアマリンの水の恩恵を利用して。」


「…。」


「いいのです。私がその力をアトラシアマリンに託したのです。我がアトラシアンの子孫のために。」


どういうことだ?


「これからもあの子のことを、頼みましたよ。ヲメス。」


海神は祭壇からアトラシアマリンのカケラを手に取り、それを俺の手にさずけた。


すると海神の姿がみるみるうちにまた、石化してしまった。


以前のような巨大な海神の姿ではない。


神殿の中央に、静かに佇む一体の石像。


石像になったロフィの顔は、穏やかだった。


苦しそうでもない。


悲しそうでもない。


ただ――


どこか、微笑んでいるように見えた。


「……ロフィ。」


返事はない。


でも、もう悲しいとは思わなかった。


何千年も待ち続けた時間が、ようやく終わったんだ。


俺は石像を見上げる。


すると――


石像の胸元で、アトラシアマリンが淡く輝いた。


「……ありがとう」


そんな声が聞こえた気がした。


俺は、しばらくその場から動けなかった。


バタン!!


「ダモレ!!」


すると、入り口からティナの声が聞こえた。


「ティナ!!」


なんでここにティナが!


「なんでまた裸なの!?帰るよ!」


「待って!宝石を杖に入れるから!」


ティナがパンツ一丁の俺の手を引いて、出口へ歩き出した。

剣も杖も持ってるんだ。もう少し優しく引っ張ってくれ。


「そうだ!俺のローブがまだ都市に」


「代わりのがあるよ!」


「ダメだ!あそこにはティナにもらったクリスタルがあるんだ!」


「また作ってあげるよ!」


「そういうんじゃない!」


「わがまま言わない!!」


そう言いながら海底都市への門を抜けると、その広場にシードルの姿があった。

ティナは静かに俺を庇って前に出る。


「シードル。」


「ビン太くん。海神は戻ったんだね。」


「あぁ、アトラシアマリンを託されたよ。」


「…そうか」


シードルは俺のローブをこちらに投げた。


「俺のローブ!」


俺がローブを取ると


シードルは何も言わずに、こちらに手をかざした。


ティナが俺から杖を奪い取る。


次の瞬間、シードルとティナの魔法が一気に衝突した。


「ーデュナミス・テラー」


「ーアトラシアン・デザインー」


叫ぶでもなく、二人とも静かに詠唱をした。


魔法が相殺され、爆破する気泡の中シードルは呟いた。


「君も…そうなんだね。」


気泡がなくなると、シードルの姿はなかった。


「ダモレ、帰ろう。」


するとティナは俺の手をひいて水中に浮かび上がった。そして海面へと上昇していく。


俺はただ引かれて遠のいていく海底都市を、最後まで見守っていた。


海面に上がり、船に登ると、戦闘はほぼ終盤に差し掛かっていた。


俺が船に上陸するなり、アーデルガルトの勇者エリックがボロボロになって切り掛かってきた。


俺は迷いなく剣で押し返した。


「なっ、こいつ!」


エリックが驚きをこぼす。

そこをティナがぶった斬った。


「ぐはっ!」


「勇者エリック!討ち取ったり!」


ティナの叫びにデントがぼやく。


「俺の手柄を…。」


「デント…。」


「ダモレ、帰ってきたか。」


クラーケンも再生が弱り始めてきてる。


そしてデントの力を振り絞った渾身の一発で、クラーケンが大きく怯んだ。


「今だ!!脱出しろ!!」


オオオオオオ!!!


船が猛スピードで海面を滑り出した。


吹き荒れる風に煽られながら、俺は深い溜め息をついた。


ゴンッ


デントのゲンコツが下った。


「ダモレ!テメェいい加減にしろよ!」


「デント!!ダモレも反省してるよ!」


「……。」


俺はなにも言えなかった。でも、なんか感謝の気持ちを伝えたくなった。


「デント、ティナ、…いつもありがとう。俺なんて何にも出来ないのに、皆なんでこんなに仲良くしてくれるんだろうって思ってるよ。」


「ダモレ…」


「きもっ 仲良くねぇよ」


「は?しね!」


「ギャハハっ、バカ言ってねーで早く強くなりやがれザコ」


「テメェ!!」


「デント!なんであんたはそんな言い方しかできないの?!」


コイツにエモい気持ちは伝わらないらしい。でもそのおかげで、俺が何者なのかなんて、そんなこと考えるのは野暮なんだって気づいた。


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