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転生したらイケメンだった面(ツラ)〜前世ブサイクの俺、チート顔面と勘違いで最強勇者の代役をやる羽目になる〜  作者: Umeキミノ莉
七日目 アトラシア篇

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四十三話 ヲメス


海神が、ゆっくりと俺を見つめる。


その瞳から、涙が零れ落ちた。


「……ヲメス」


俺はなにも言えなかった。

ただ、その視線を受け止める。


すると――


海神の瞳に映る俺の姿が、少しずつ変わっていく。


黒い髪。


勇者の服。


見慣れた、自分の顔。


……なのに。


そこに映っていたのは、俺ではなかった。


「ヲメス……一体…誰のことだ。」


海神は俺を見ている。というより、俺の向こうにいる、誰かを見ている。

まるで遠い昔から知っている誰かが、今、俺の身体を借りて目の前に立っているような――。


「ヲメス……」


俺の顔はあの人にとって――失われた愛する人の顔にでも見えているのだろうか。

俺は、もうすでにこのイケメンの顔に、愛着を持つようになっていた。

でも、もし、実はこの顔が自分ではない誰かの顔だったとしたら。

俺は一体、何者なのだろうか。


「俺は…ヲメスじゃ…ないっ…。」


するとセイレーンが歌い出した。


美しい歌声が海底都市に響き渡る。


「……っ」


その歌声は美しい。綺麗だ。なのに、悲しくて、切なくて、怖かった。

意識が、少しずつ遠のいていく。


「シードル……」


声を出そうとした。

けれど、もう身体に力が入らない。

視界がぼやける。

海底都市も、シードルも、何もかもが遠ざかっていく。


そして――


俺の意識は、深い闇の底へ沈んだ。


***


気がつくと、そこは人々の行き交う海底都市だった。


「……ここは、どこだ?」


見渡すと知らない場所。


けれど、不思議と懐かしい。


きっとまだ何も壊れていない、かつての海底都市だ。


「……ロフィ」


誰かの声がした。


俺は振り返る。


そこには一人の男が立っていた。


知らない男だ。でも、直感でわかる。


この人が、ヲメスか。


そして、その向かいには――


海神、アマロファスィがいた。


アマロファスィは、ロフィと呼ばれているらしい。


「ヲメス……」


ロフィが、嬉しそうにヲメスを呼んだ。


これは多分、二人の記憶だ。


俺は今、何百年も昔の二人の記憶を見せられているんだ。


「……ロフィ」


ヲメスが、ロフィの前まで歩いていく。


「どうしたんだ?」


「別に。ただ……あなたがちゃんと帰ってきてくれたことが嬉しくて。」


ロフィが微笑む。


その表情を見ていると、胸の奥が妙に苦しくなる。

俺は二人の間に入ることも、声をかけることもできない。


「今日はどこまで行ってきたの?」


「ずっと向こうだ。新しい海流を見つけた。」


「また遠くまで行ったの?」


「君に見せたいと思ってな。」


「ふふっ。じゃあ、今度連れて行って。」


「あぁ。約束する。」


……約束。


その一言が、胸に引っかかった。


ーすると突然、景色が揺らぐ。


海底都市が、歪んでいく。


ロフィの姿も、ヲメスの姿も薄れていく。


そして――


轟音。


凄まじい光が、世界を覆った。


「ロフィ!!」


ヲメスが叫ぶ。


「ヲメス!!」


二人が手を伸ばす。


けれど、その手は届かない。


「待ってくれ!!」


大地が裂ける。


海が荒れ狂う。


巨大な魔力が、二人の間を引き裂いていく。


「ロフィィィィィィ!!」


「ヲメス!!」


これが、魔力爆発か。


俺はただ眺めていることしかできなかった。

この結末を変えることなんてできない。


そして――


景色が暗転した。


次に見えたのは、荒れ果てた海だった。


ヲメスが一人、海底を歩いている。


「……ロフィ」


何度も、何度も、その名を呼んでいる。


それでも、返事はない。


それでも彼は歩き続けた。


探し続けた。


何年も。


何十年も。


何百年という時間をかけて。


この人は、ずっと探していたんだ。


一度も、諦めずに。


気が遠くなる話だ。


俺の口から、声が漏れた。


「なんで……そこまで……」


すると――


目の前のヲメスが、ふっとこちらを見た。


「……?」


俺は息を呑んだ。


その顔が、自分の顔と重なった。


まるで鏡を見ているようだった。


そして、ヲメスは静かに呟く。


「必ず、君のところへ帰る。」


その瞬間――


俺の意識が、大きく揺らいだ。

ここまでお読みいただきありがとうございます!もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや星評価で応援していただけると今後の執筆の大きな励みになります!

今回も二話連続投稿です!

0時10分に次の話が投稿されますのでよければご確認ください!

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