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転生したらイケメンだった面(ツラ)〜前世ブサイクの俺、チート顔面と勘違いで最強勇者の代役をやる羽目になる〜  作者: Umeキミノ莉
七日目 アトラシア篇

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三十八話 杖


「うわっ――!」


俺は咄嗟に後ろへ飛び退いた。


ドゴォン!!


巨大な手が、俺がいた場所を叩き潰す。


こっ、怖えええ!!


船の甲板が大きく揺れた。


「ダモレ!」


ティナの声だ。


「なんだこいつ!?」


デントも手を切りつけて、牽制する。


巨大な手がゆっくりと俺へ向き直り、再び甲板を叩き潰した。


ドゴォォン!!


まるで意思を持っているようだ。


すると、巨大な手はアトラシアマリンを見つけた。


次の瞬間――


今度はティナへ向かって襲いかかる。


「うわぁ!!」


キイイイィン!!


ティナは儀式の装備以外、武装していない。


それでも、自らの腕で巨大な手を受け止めた。強か女ねぇ。


「くっ……!」


「狙いはアトラシアマリンだ!」


デントが叫ぶ。


「ダモレ! お願い!」


「えっ?」


ティナは俺に杖を投げた。


俺は慌てて、それを受け取る。


「それを持って逃げて!」


俺は杖を抱え、船の中へと駆け出した。


すると――


「おぉい!! 逃がさねぇぜ!?」


「!?」


アーデルガルト王国の勇者、エリックが俺の前に飛び降りてきた。


「ダモレ!!」


キイイイィン!!


デントがエリックの前に立ちはだかる。


「それ持って、早く逃げろ!」


「あぁ!」


俺は再び走り出した。


その時だった。


バシィッ!!


「ぐあっ!!」


突然、クラーケンの足が俺の身体を直撃した。


俺はそのまま吹き飛ばされ、甲板の柵に腰から叩きつけられる。


「いってぇ……!」


その瞬間――


俺が握っていた杖を、何者かの手が掴んだ。


「……なっ?」


一体、どこから……!?


そのまま杖を引っ張られる。


俺の身体も、海へと引きずり込まれていく。


「デント!!」


俺は必死に叫んだ。


交戦中だったデントが、こちらを振り返って舌打ちをする。


そして――


「ダモレ!!俺たちは、絶対に死なねぇ!」


デントは剣を構えたまま叫んだ。


「持ち堪えといてやるから――


それ持って、絶対に帰ってこい!」


「何言って……っ」


ドポオオオン!!


俺は、そのまま海へと引き摺り込まれた。


一瞬で全身が海水に包まれる。


耳元で轟く水音。


上を見れば、船の影がどんどん遠ざかっていく。


「くっ……!」


杖だけは離すまいと、必死に握り締めた。


だが――


俺の身体を掴んでいる何かは、ものすごい力で海の底へ引っ張っていく。


「な、なんなんだよこれ……!」


水中で叫んでも、声にならない。


どこまで沈むんだ……一体!


光が届かなくなり、辺りが徐々に暗くなっていく。


その時だった。


俺を掴んだ手の主から、聞き覚えのある声が響く。


『また会えたね。ビン太くん』


「……!」


手の主は俺の体をそっと柔らかい胸に抱えた。


「シードル……!ッボコボコゴポゴポ」


クソ喋れねぇ

なんでここにシードルがいるんだ!?

そんな疑問をよそに、シードルは水中だというのに、いつものように楽しそうに笑っていた。


そして俺の手に握られた杖を見る。


「やっぱり、それを持ってきたんだね」


「一体何を――ゴポゴポ」


シードルは答えない。


ただ、ゆっくりと俺の身体をさらに深い場所へと運んでいく。


やばい!水圧で意識が持っていかれそうだ…


そして、その先に――


暗闇の中から、巨大な建造物の輪郭が浮かび上がってきた。


海底に眠る、見たこともない都市。


「……なんっゴポゴポここ……!!」


シードルが呟いた。


「ふふふ、ただいま。そしてようこそ、コポコポ


-海底都市、アトラシアへ」

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