↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらイケメンだった面(ツラ)〜前世ブサイクの俺、チート顔面と勘違いで最強勇者の代役をやる羽目になる〜  作者: Umeキミノ莉
二日目 勇者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/49

二十話 空中都市


「あぁ、セレスティアだ…。」


テッドレッド王国に、大きな影が落ちる。

さっきまで歓声に包まれていた街がざわざわと騒ぎ始めた。


ドラゴンたちが一斉に空へ舞い上がった。

王国軍も武器を構える。

先ほどまでの祝祭の空気が、一瞬で消えた。

「…………。」

俺も空を見る。

あまりにもデカい。


ゴォォォォォン……


脳内に重低音がのしかかる。

空に浮かぶ都市そのものが、俺たちを陰惨に睥睨しているようだ。


俺は、ふと街を見た。


誰もが空を見上げ、息を呑んでいた。

歓声や鬨の声は鎮まり、緊迫していた。

皆んな、怯えてる…!


(今日は、身分の格差に関係なくテッドレッド王国が一丸となって闘う日だ。絶対に成功させなきゃならない。)


ハッ


(そして更に午後、凱旋パレードである人を歩かせることで、セレスティアにテッドレッド王国の士気と威厳を見せつけるんだ!!)


ユーリィ…。そうだ。


今この時が、一番大事な時なんだ!!

そして今、勇者は俺なんだ!!



「負けるな!!テッドレッド王国!!」



俺の声が響き渡った。



「怯むな!!テッドレッド王国!!」



「今こそ!!この国の威厳を見せつける時だ!!」


「俺たちが帰ってきたんだ!!絶対負けない!!今こそ!!皆んなで闘う時だ!!」



声には、少し震えが混じっていた。

皆が俺の方を向いた。

怖かった。逃げたくなった。

でも、きっと勇者にはそんなことは許されない。すると、数秒後。それに応える者がポツポツと声を上げた。


「勇者さまーー!!!」

「そうだ!!闘うぞ!!」

「ダモレ様ーー!!」


皆んな俺の次の声を待っているようだった。

どうしよう!考えてないよ!!

額から汗が流れ口に入った。

再び少し沈黙が訪れた。そこに、


「ダモレーーー!!!」


誰か、聞き覚えのある声が聞こえる。その声に駆り立てられ、俺の檄は続いた。


「そ、そうだ!!俺の名前はダモレ!!皆の者!!

セレスティアにその名を轟かせろ!!俺に続けーーー!!!!スゥ…。ダ!モ!レ!

ダ!モ!レ!

ダ!モ!レ!

ダ!モ!レ!」

俺は腕を突き上げてコールし始めた!


「勇者様の檄だ!!!皆の者続けーー!!ダ!モ!レ!ダ!モ!レ!」

難しい顔をしているアランも、先導に加担してくれた。


「ダ!モ!レ!」

「「ダ!モ!レ!」」

「「「ダ!!モ!!レ!!」」」

「「「「ダ!!!モ!!!レ!!!」」」」

「「「「ダ!!!モ!!!レ!!!」」」」

「「「「ダ!!!モ!!!レ!!!」」」」


士気は爆上がりした。

ハァハァ…。

息も上がっていた。

高揚感というより安堵だった。

ユーリィがこちらを見て目を丸くしていた。


「なんだよ。」

「別に、本当に勇者になれるかもしれないな。君は。」

「なんだって??」

「なんでもないよ。」

「ティナもいつまで笑ってんだ!」

ティナはひと通り笑った後、ダモレコールに参加した。


「「「「ダ!!!モ!!!レ!!!」」」」


「「「「ダ!!!モ!!!レ!!!」」」」


「「「「ダ!!!モ!!!レ!!!」」」」


鬨の声はセレスティアが去るまで国中に鳴り響いた。


「セレスティアが去ったぞおおお!!!」

「「「うおおおおおあおあおあおあああ!!!」」」

「「「我らの勝利だぁぁああああああ!!!」」」

「「「うおおおおおあおあおあおあああ!!!」」」


歓声を背に、俺たちは王宮の廊下を歩いていた。

一歩。


二歩。


三歩。


「…………。」


もう限界だった。


「ダモレ?」


前を歩くユーリィが振り返る。


俺は何も言わず、そのままユーリィに抱きついた。


「うおっ!?」


「……疲れた。」

「え?」

「めちゃくちゃ疲れた……。」

俺はユーリィの胸元に顔を埋める。

「人多すぎ……。」

「……ははは。」

「ずっと見られてた……。」

「うん。」

「笑顔作るのもしんどい……。」

「うん。」

「ちょっと、調子乗りすぎた。俺……勇者向いてないかもしれん……。」


異世界生活二日目。イケメンであることが初めて「勝ち組」だけじゃなく、「責任」になった。

俺はずっと

「イケメンなら人生勝ち組!」

だと思ってた。

でも実際にイケメンとして人々の前に立つと、

「見られる」ことには「期待される」ことも含まれていることを知った。


ユーリィは少し黙ってから、俺の頭に手を置いた。

「よく頑張ったな。」

その一言を聞いた瞬間。

体から力が抜けた。

「……あぁ。頑張った。」

今日はもう何も考えたくない。

ただなんか、この人に抱きついていたかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。