十四話 赤子
知らない天井。あ、朝か。異世界の朝だ。小鳥の囀りが聞こえる。
8時間くらい寝ただろうか。窓を開けて外を見てみると、街の中央に聳え立つデカい聖堂が見えて壮観だ。すると、街の方から火玉が上がって、
上空で小さくボンッと炸裂した。ピンクの煙が空へと馴染んでいく。それを皮切りに、次々と同じような煙玉が炸裂し、空はカラフルな模様ができていく。街のあらゆるところからも黄色い歓声と指笛が聞こえてきた。なんだか朝から賑やかだな。
ガチャ、ドアが開く音がする。
「あうー。」
え!?赤ちゃん!?
ちょっとちょっとちょっと、赤ちゃんがハイハイで俺の方に近づいてくるよ。まずどうやって開けたのよドアノブ、絶対届かないでしょ!あ、確か昨日イザベラさんが、ここをドアが壊れてる空き部屋って言ってたような。
「あう、あう、あう、あぁー」
どうしようどうしよう、めちゃくちゃ可愛いけど
俺普段赤ちゃんと関わりないよ!どう接したら良いか、わからないよ!あぁ俺のいるベッドまで登ってきた!
俺はベッドの上で立ってしまった。そのせいでベッドが揺れて、赤ちゃんが落ちそうになる。
「あうあーー」
「危ない!」
ドシャァ!!
間一髪で抱き抱えて、怪我は免れた。
「わー、きゃっきゃっ!」
ペシペシと顔を叩かれているが、きっと懐かれているんだろう。ははは小さくて可愛いな。
「エルーちゃん!!こんなところにいたの!?」
するとイザベラさんが入ってきた。
「ごめんなさいねぇ、ダモレくん。大丈夫だった?」
「げ、元気なお子さんですね。」
「隣部屋のダズさんの子なんだけどねぇ?あの人すぐに目を離すんだから。ちょっとダズさん!?エルーちゃんが部屋から出てるじゃないの!」
ははは、家の中も朝から騒がしー。
俺はベッドを整えて一階へ降りていき、顔を洗ってリビングの食卓についた。横にはエルーちゃんも座っていた。
メニューは、
•焼きたての黒パン
•外は香ばしく、中はもっちり
•バターと蜂蜜を添える
•半熟卵
•塩を少し振っただけ
•ベーコンとソーセージ
•香草で焼いてある
•野菜のスープ
•玉ねぎ、じゃがいも、豆など
•朝なので夕食よりあっさりめ
どれも美味しくてむしゃむしゃ食べながら、食器を洗うイザベラさんに聞いてみた。
「昨日の男の子は大丈夫でしたか?」
いじめられていた子だ、ユーリィが屋敷にあげて、その後イザベラさんに手当てをしてもらっていたはずだ。
「酷いケガだったけど、意識はしっかりとしてたわよ。そうそう、ダモレくんにありがとうって伝えてって言われてたわ。昨日の夜ユーリィ君と家に帰って行ったわよ。」
「そっか、良かったです。その、ユーリィは今どこにいるんですか?」
「もう仕事に行ったわよ?今日は午後から凱旋パレードがあるから忙しいんだーって。」
どうりで外が賑やかだったわけか。
「ダモレくんに隣の外交院にいるからご飯を食べたら来てくれって、言っていたわ。」
サボろうかな。
「あらいけない、ユーリィ君ったらお弁当忘れてるじゃない。ダモレくん、悪いんだけどこれユーリィ君に届けてくれないかしら。ダモレ君の分も入れておいたから。」
籠を渡された。サボれなくなった。行くしかないか。
「わかりました。イザベラさんご馳走様です。ちょっと行ってきます!エルーちゃんもバイバイ。」
「あうー。」
「お願いねぇ。」
俺は玄関の扉を開けて、庭に飛び出したその時。
グアアアア!!!
空からドラゴンが現れた。




