十三話 家
「ん?何見てるんだ!貴様!」
え?俺?……。まじか。標的が俺に向いた。
「おい貴様、平民の分際で、なんだその顔は!」
や、やばい!ブサイクが引き金で殴られる!
「なんでそんなに、整った顔立ちをしている!!」
え、あっ!そうだったイケメンなんだった!
「チィッ、色男に免じて見逃してやる。立ち去りたまえ!貴様!」
「くっ…なんで、小学生に命令されなきゃいけないんだクソ!!…あ。」
俺はイケメンと言われて気がデカくなり、心の声が口に出てしまっていた。
「…!なんだと?」
空気が更にピリつき始めた。その空気、まさに一触即発。
万事休す、に、逃げるか!?
(強くなりたい、あなたのように、そしてシードルのように。)
ハッ、そうだ俺は。クソッ、こうなったらもう!
「寄ってたかって弱い者いじめなんて、そんなこともうやめなさい!」
俺はズイッと子供の前まで歩き、イケメンの覇気を出した。感を演出した。それが効いたのか子供も少したじろいだが、
「わ、私に指図するなぁ!」
ボカッ!
ゴフッア!!
ドシャァ!
子供のパンチ一振りで俺は腹パンを喰らい、後ろに突き飛ばされていた。
ポカンと口を開けて呆気に取られる四人。いじめてる子と、いじめられてる子もだ。
まじか、俺、小学生相手に一発でのされるほど、弱えのか。ガクッ。
すると、門からユーリィの声が聞こえた。
「何をしている!」
その声を聞いていじめていた組は顔を合わせ、小走りで逃げていった。
「大丈夫か。」
ユーリィは、いじめられていた子を抱き抱え、俺に肩を貸し、歩きだした。それから数十分程歩いた頃だ。
「ユーリィ、腹減った。何か食わせてくれ」
「あぁ、着いたぞ。ここは外交院だ。俺が仕事を行なっているところ。異国人の受け入れ手続きとかここで行なっている。そして、その横の屋敷が俺の家だ。ダモレ、お前はしばらくここに住んでもらう。」
デケェ。俺はしばらくユーリィの屋敷で保護されることになった。屋敷に入るとイザベラさんと呼ばれるマダムがいらっしゃいと出迎えてくれ、そのまま風呂に案内される。服を用意してくれた後子供の手当てをしてくると言って、行ってしまった。
良い匂いがして、素敵な屋敷だなぁと風呂に入って疲れを癒していると、ユーリィがドアからニヤリと顔を出し、お疲れさん!と言ってリンゴを下投げしてきた。かろうじてキャッチしてむさぼりつく!風呂上がったらご飯用意してるから、それまでリンゴで我慢しいてくれということなんだろう。
リンゴ!美味い!!風呂で食べるなんて、なんて贅沢なのだろう。
「フアァ!今日は疲れた。」
あれ、なんだっけこの火傷は。まぁいいか。
風呂に上がってご飯を食べた。
メニューは
•香草焼きの鶏肉 — 外はパリッ、中はジューシー
•根菜のポタージュ — にんじん・じゃがいも・玉ねぎ
•焼きたての黒パン — バター付き
•野菜のマリネ
•果実のタルト — デザート
どれも感動するほど美味しかった。
夕食後は二階の部屋に案内され、俺は寝床についた。やっと寝られる。すると、玄関の方で音がした。どうやら誰かが訪問して来たみたいだ。
だけどまぁ、俺には関係ないか。
こうして俺の異世界生活一日目が終わった。
ゴーン…。ゴーン…。
夜空の彼方から鐘が鳴っている気がする。
クタクタだったせいか、一瞬で眠りに入った。
スヤァ…。
「ユーリィ様!帰っていらっしゃいましたか!先ほどの脱獄事件の犯人がわかりました!」
「また、あいつか…。」
「はい!」
「…ドリュー族。」
地下世界の回廊より、
「またいつかあの美しい世界で君と、巡り会えたらいいね。ビン太くん。」




