十二話 仮面
「私は外交院所属外交官、ユーリィ・クラネルだ。剣を納めよ!」
「ユ、ユーリィ様であられましたか!失礼致しました!私は王国守衛団、第三隊隊長、ガルド・レイモンです。そちらの脱獄者が逃走しました故、取り押さえようと武装していました次第で…」
「もう大丈夫だ、こちらで処理しておく。ご苦労だったな。下がって良し。」
「ハッ!!」
衛士達が持ち場へ戻っていく様子を見送り、俺はユーリィの顔に恐る恐る目を向けた。
「えーっとユーリィさん、、そ、その仮面は?」
「権威の証だ!」
「ヒィイイイイイ!!」
「ハハハッ、権威の証――レガリア。
この国の王宮や聖堂では、貴族や官僚は顔を晒してはならない決まりがある。
特に聖堂は神聖な儀式を行う場所だ。肌の露出も最小限にしなければ、立ち入ることすら許されない。
つまり――王宮や聖堂への立ち入りを許可された者だけが、これを持つことを許されるのさ。」
外交官ユーリィ・クラネル…!俺はいきなりとんでもない人間に拾われたのでは!?
「さて、ダモレ。君に連れて行きたい場所があるんだが、俺は王宮に用事がある。少しだけここで待っててくれないか?」
「もちろんいいけど…どのくらい…?」
「本当にほんの少しだ。直ぐに戻る!」
ええっ!行っちまった!なんだよ、また一人かよぉ。しかもこんなところで。肩身狭いよ。
俺は辺りをキョロキョロしながら状況を聞いていた門番以外だれも居ないことを確認する。
フハァ、、凄まじい一日だぜ今日は。グゥ〜ギュルギュル。
少し気を抜くと一気に腹減ってきたなぁ。そういえば今日なんも食べてねえ。ユーリィは良い奴な感じしたけど、俺ってばこれから食べていけんのかぁ?入国手続きだけしてくれて後は放り出すんじゃねぇだろうなぁ。
あいつ結構俺の扱い雑い感じもするんだよなぁ。
いや、きっと大丈夫だ。あいつは貧困に理解あるって言ってたし、そういう奴を救いたいとも言っていた。そろそろ日も暮れて夕食の時間だろ。一体どんな飯が食えるんだろうか。
待てよ?俺海外とか行ったことないけど、日本食以外のもの俺の口に合うのか…な…。
王宮の門の前にも住宅が並んでいる。住宅というより邸宅だが、その邸宅の前から子供の声と鈍い音が聞こえた。
「おい!おい!低級貴族が!俺らの敷地跨いでんじゃねぇよ!」
ゴスッ!ガスッ!
うわっ、なんだあれ!子供三人が寄ってたかって一人の子を蹴り飛ばしてる!これは、本物の…。
いじめだ!
小学四年生くらいの子達だぞ、人が見てるところでもこんなあからさまに!?日本みたいな陰湿な感じが一切ない分。シンプルに怖えよ!
チラッ?
門番の人も子供がいじめられてるのに助けに行かないのか?かわいそうだろ!
「おい!おい!低級貴族が!おい!」
ゴスッ!ガスッ!ガスッ!
もしかして、いじめてるのは上級貴族だから手出しできないのか?
ゴフッ
うわ、血ぃ吐いちゃってる!やばいやばい!!
「ん?何見てるんだ!貴様!」




