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モノクロームの花  作者: 水無月波瑠
色のない少女と記憶がない少年
9/12

 学校に着いたのは、正門遅刻ギリギリだった。入る前に体育教師の小塚が「めずらしいな、今日は朝会があるって覚えてなかったのか」と笑いながら軽く背中を押してきた。

 成瀬は、昨日までは覚えてたはずなんだけどなあと昨日の自分を振り返った。しかしなにか別のことがあったようで、でもそれが何か思い出せない感覚になった。

 

 体育館に行くと、クラスメイトはもう並んでいた。

「おい、今日どうしたんだよ。珍しいじゃん。それにすごい顔」クラスメイトの一人はにやにやしながら成瀬に言った。

 成瀬は不満そうに「寝坊だよ。多分バイトで疲れたんだと思う」

 「え、まだバイト続けてんの。前、一回それで倒れたじゃん」と今度は心配そうに言って来た。

 「夏休みの間は辞めるつもりだよ。勉強もやばいし」

 「そっかそれは良かった。でさ今日転校生来るって知ってる?」

 にやにやしたり心配したり、かと思えば急に話題を変えてきたり忙しいやつだな・・・って

 「え?今なんて」

 「だから転校生だって、朝、見たことのない奴が校長室入って行くのを見た奴がいるんだって」

 「こら!そこ静かにしなさい」先生に叱られてしまった。二人は慌てて静かにする。

 礼をし終わった後、校長先生の長い話が始まった。夏休みの間の生活習慣がなんやかんやという話とどこからか拾ってきた名言についての話だ。その間に成瀬はまた考える。

 転校生・・・・・・今の時期に?また頭の中に何かが浮かびそうな感覚になった。ああもう朝からなんなんだよ全く。本当に疲れてるんだなきっと。



 教室に戻るとさっきの奴がまた話しかけてきた。奴というのは悪いか。彼は俺の親友である菊池春樹だ。スポーツ万能って感じのやつでもう夏を満喫したかと思うぐらい今も焼けている。

「さっきのはなしだけど。かなり美人らしいぞ」

「何が?」

「だ・か・ら、例の転校生だって。」転校生が女子なんてのは聞いていない。

「で、狙おうと。まあせいぜい頑張れよ」

「俺は狙わねえよ!そういう成瀬はどうなんだよ。そっけないふりして実は気になってたりして」


「なになに〜?なんの話?」急に桜木が話に割り込んで入ってきた。

「いやあ、今日の転校生が美女って噂でよー。成瀬が実は狙ってるんじゃないかって話」

「いや、狙ってないし」菊池は話を広げるのが上手いので早めに否定しておく。

「あ、それなら私も聞いたよ。それにこのクラスかもだって」

 残念ながら桜木は聞いていないようだった。そして桜木の話を耳にした男子たちが歓喜の舞をあげていた。すると先生が入ってきて「はいはい静かに〜。今日は転校生がきてるけど騒がないこと。少し緊張してるみたいだから」

 先生の一言で全員席に着いた。しかしざわざわという感じは止まらなかった。

「じゃあ、入って」

先生がそう言うとドアの向こうから一人の少女が下を向いて歩いてきた。


 


 

 


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