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成瀬は家の前に来ていた。少しの間でも来てないと自分の家はどうも他人の家に見えてしまう。インターホンの前で指を止めて、思いなおしインターホンを鳴らした。すると従兄弟である白石源喜が出て来た。彼は成瀬より3つ年上で彼の父親の林業を引き継いでこの町に残っている。
「おぉ〜。久しぶりだのう。元気にしとったか?」
酔ってはないらしいが、そのような口調で話しかけてくる。
「久しぶり。ああ元気だよ。源喜くん。」
「お、そんな冗談も飛ばせるぐらい元気なんか。心配して損したわ〜。まあ上がってくれや」
そう言うと家の中に入って行った。ブツブツ何かを言っていたがそれによると桜木から何か聞いていたらしかった。
「ここはおれん家だっての」
軽いツッコミを入れながら靴を脱いで玄関に上がる。するとちょうど母が迎えに来ていた。
「おかえり。碧。佐奈ちゃんから聞いてるよお盆の間はこっちにいるって」
成瀬は驚いていた。
「・・・・・・母さん。俺のこと覚えてるの?」
母は笑いながら答えた。
「何言ってるの。認知症はお医者さんの勘違いよ。母さんまだまだピンピンなんだから。なんだったら証拠見せてあげようか」
そう言いながら、近くにあった酒瓶の羽織ったケースを持ち上げようとしたが、
「いたたっ、やっぱ年には勝てないか」と腰をさすりながら笑っていた。
「大丈夫ですか!?そんな無茶はしなくてもいいんだから安静にしててください」と源喜の奥さん、美代子さんが駆け寄って母を釣れた居間へと連れて行く。
成瀬は驚いていた。前訪れた時、母は確かに俺の存在を忘れていた。母の「あなた誰?」という言葉を思い出す。そして介護の人までつけたはずだ。しかし今、母は俺のことを覚えていたし、介護の人も見当たらない。治ったのだろうか。そういえば帰る前に一度連絡しておくべきだった。
「そんな顔するなって。ほらみんなお前を待ってんだからそんなとこに突っ立てないで早く来いよ」
源喜に言われ、そうだこんな悲しい顔をしていてはいけないと笑顔を作り居間へと向かう。
居間に上がるとそこは人で少し窮屈になっていた。少し遠い親戚までも来ていたらしい。
「碧くん?覚えてる?碧くんが幼稚園の時、たまに送り迎えしてあげてたんだけど」
小学校低学年だろうか、そのくらいの子を足の上で眠らせている女性が成瀬に話しかけた。
「えっと・・・・・・」成瀬は返事に詰まる。
「まあそうだよねぇ、前に会ったのはあなたのお父さんの葬式だもんね。いや一回7回忌の時に会ったか」
思い出した。確かお母さんの従兄弟にあたる人だった様な。名前はこちらもおそらくではあるが橙子さんだった気がする。わざわざ遠いとこから来ていただいたのを覚えている。
「橙子さんでしたよね。今日は来ていただきありがとうございます」
「いいのよ。私は毎回出てるわけでもないし、今回は旦那さんが忙しくなかったから」
隣で旦那さんが頭を下げる。成瀬もそれに合わせてお辞儀をする。
「あ、ごめんね。立たせたままで。座って座って」
成瀬は窮屈な中空いているところを見つけるとそこに座った。人がたくさんいるところが嫌いな成瀬だったがその時は悪い気はしなかった。




