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魔術の使徒  作者: 公康秋
謎の少女
4/5

出会い

それからさらに一年。リナは十八歳になっていた。

大陸最強クラスの冒険者として知られるようになったが、相変わらずフローラを探し続けていた。

「諦めないのか?」

仲間の冒険者によく聞かれる。そのたびにリナは答える。

「絶対に会います。」

迷いはなかった。その頃。フローラは辺境の古代遺跡を訪れていた。最近、大陸各地で異変が起きていたからだ。

突然現れる高位魔物。不自然な魔力の暴走。消えた村人たち。どれも無関係には思えなかった。遺跡の最深部。

フローラは封印された巨大な魔法陣を見つける。

「……これは。」

その瞬間。魔法陣が輝いた。轟音。地震。そして遺跡の地下から巨大な黒い竜が姿を現した。

伝説級魔獣。いや、それ以上。数百年前に封印された厄災だった。

同じ頃。近くの街に滞在していたリナも異変を察知する。空を裂くような魔力。ありえないほど巨大な気配。

そして――。

「この魔力……!」

彼女は知っていた。忘れるはずがない。七年前、村を救ったあの力。

「フローラさん!」

リナは全力で駆け出した。黒竜が咆哮する。山々が震える。フローラは静かに杖を構えた。だが黒竜は強かった。

禁呪を一発放った程度では倒れない。長期戦になる。そう判断した瞬間。背後から声が響いた。

「一人で戦わせません!」

剣閃が走る。黒竜の鱗が砕ける。フローラは振り返った。そこには一人の少女。いや、もう少女ではない。

立派な冒険者だった。金色の髪。まっすぐな瞳。どこか見覚えがある。リナは息を切らしながら立つ。

七年。いや八年。探し続けた人が目の前にいる。黒いローブ。黒いフード。間違いない。

「やっと……。」

声が震える。

「やっと見つけました。」

フローラは少し沈黙した。

そして。

「……誰?」

リナは固まった。

「え?」

「……?」

「え?」

数秒の沈黙。そしてリナは叫んだ。

「村! 狼! 七年前! 助けてもらったんです!」

フローラはしばらく考え込む。本当に考え込む。更に考え込む。二十秒ほど。

「ああ。」

思い出した。

「あの子。」

リナは膝から崩れ落ちた。

「覚えられてなかったぁぁぁ……。」

だが次の瞬間。黒竜が再び咆哮する。二人は同時に武器を構えた。

フローラは静かに言う。

「話は後。」

リナは涙目のまま笑う。

「はい!」

その夜。

魔術の使徒と最年少Sランク冒険者は初めて肩を並べて戦った。

そしてそれはフローラの長い一人旅が終わりを迎える夜でもあった。

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