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16.思いは伝わる

フィルの告白は続く。


「パートナーになれるって決まってすぐに、オーリーに内緒でエルさんとご両親に僕の思いを改めて伝えに行ったんだ。オーリーのことが好きだから、婚約を申し込みたいって。その時にドレスもアクセサリーも母君と打ち合わせして、当日の段取りも決めていたんだ。」

「あ!だからマリアが乗っていなかったのね!私焦ったのよー!いくらフィルが相手でも、婚約者でもない男女が2人っきりで馬車に乗るなんて、フィルに迷惑かけちゃうと思ったのにー!しかも、フィルの様子もいつもと違って、その、なんか、格好良いし…。」

「あはは。焦らせてごめんね。ご両親の許しは得ていたんだ。オーリーと2人っきりになることを許す代わりに、絶対に手を出さないことと、オーリーが気づくまでは気持ちを伝えてはいけないって条件出されちゃってさ。」

「えっ!そんなこと言われていたの?でもフィル、あなた…今のこの状況けっこうギリギリだと思うわよ?」

と言って、思い返しても、ギリギリどころか約束を反故しているようで笑ってしまう。すると、私を抱く手を強めて頭にキスをする。

「オーリーが言わなきゃバレないよ。だって君とやっと2人っきりになれて全然余裕がなかったんだ。君だっていつもと様子が違うし、イヤリングを付けているときなんて、耳も頬も赤くなってるし、意識してくれてると思ったら、まだ好きって気持ちを伝えていないのにキスしそうになって、どれだけ我慢したことか。」

キス、我慢したんだ。フィルを見上げると、おでこにキスが落ちる。

「だから、もう我慢しなくてもいい?オーリーが好きだ、愛してる。僕と結婚してほしい。」

私は首を縦にふり、目を瞑る。唇にそっとフィルの唇が触れる。


「やばい。可愛いぃ…。」

と悶えるフィルを無視して、

「私もフィルが好き。私鈍いみたいでフィルのこと好きって気づいたの、ついさっきなんだけど。遅くなってごめんね。フィルはミラと結婚するって思っていたのに、ミラが他の人と婚約して、残されたフィルはどうなるんだろ?誰と結婚するんだろ?て考えたら凄く嫌で、ミラ以外なら私じゃなきゃ嫌って思ったの。男たちに襲われそうになっても、フィルとの未来のために絶対に自分を守らなきゃって思って、ドレスだってフィルからの初めての贈り物だから絶対守らなきゃって思って、誘拐された時だって、フィルの存在が私に勇気をくれた。あなたといると強くなれる。フィルがいないとダメなの。私もフィルを愛してる。あなたとずっと一緒にいたい。」

と、私もきちんと思いを伝える。待たせてしまった分、フィルの気持ちにちゃんと答えたい。真っ直ぐ目を見ると、フィルの緋色の目に情欲の火が灯る。どちらからともなく顔を近づけ、先程よりも、長く深いキスをする。あぁ、幸せだ。幸せな気持ちのまま、眠気のピークが来たのか、私はフィルの腕の中で眠りについた。


家に到着しても、なかなか馬車から降りてこない2人を心配して、恐る恐るマリアが扉を開けたところ、私はフィルの腕の中で眠りこけており、フィルまで眠っていたのだ。どこまでも5年前と一緒だ。



事件の後処理やらなんやらで時間はかかったが、無事私たちは婚約をし、晴れて婚約者同士となった。夜会でのことは、私の意向もあり、情報公開せず箝口令が敷かれた。まず、私を襲おうとした男たちは絶対に許せないため、厳罰が下った。没落寸前だった男の家は今回の件で無事没落した。悪いことしたくせに貴族にしがみつくなっつーの。


ローズは公爵家という格上の家であることから、公爵家自体にはお咎めはなく、ローズを修道院送りにすると言うことで手打ちになったが、私はローズが今回の蛮行に走ったのは殿下のせいだと思っているので、領地送りに留めてほしいと懇願した。甘いと皆に言われたが、学園での嫌がらせも可愛いものだったし、何度も言うが殿下の監督不行き届きだし、裏表のない真っ直ぐな彼女に悪い気持ちはない。こんな風にこじれなければ仲良くしたかったので残念だ。陛下もレオンハルト殿下のことを出されると弱いようで、私の希望は叶って、ローズは領地送りとなった。もちろんレオンハルト殿下の婚約者候補は外れることになるのだが、そこで思わぬ出来事が起きた。なんと、イーアス様がローズの元に通い、愛を伝えプロポーズしたのだ。殿下に纏わりつく、熾烈ながらも真っ直ぐで裏表のない不器用な彼女に興味を持つようになり、次第に守りたい大事にしたいと思うようになったらしい。だが、相手は殿下の婚約者候補、それがなくても公爵家令嬢で、イーアス様は王家の覚えがいいとはいえ伯爵家、家格が釣り合わず恋心に蓋をしたそうだ。イーアス様には幸いにも、今回の事件で、ローズは殿下の婚約者候補も外れ、ケチがついたため公爵家のご令嬢でも手に入れることが叶ったのだ。


エル兄さまも婚約が決まった。夜会でパートナーを務めたフリージア王女が当家に降嫁することになった。しかも政略じゃなく、レオンハルト殿下を隠れ蓑にヒッソリと愛を育んでいたそうだ。国が安定していることもあり、政略結婚で他国に嫁ぐ必要もないため、この婚約が認められた。フリージア王女は側妃腹で女児でもあったことから、幼い頃から王位継承に関わってこなかったため、穏やかな性格をしている。真面目すぎるエル兄さまを支えてくれることだろう。でも、アル兄さまといい、妹馬鹿だと思っていたから、少し寂しいと思うのは内緒だ。


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