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15.ヒーロー参上

恐らく化粧室での不穏な空気を察したどこかのご令嬢が、私のことを知っていて、パートナーのフィルに知らせてくれたのであろう。


「オーリー!!!」

「なんだお前は!来るな!この女がどうなってもいいのか!」

「汚い手でオーリーに触れるな!!!」

脅し文句など気にも止めずフィルはずかずかと近づいてくる。フィルの迫力に気圧されている男たちの足を、私はヒール部分で思いっきり踏みつける。絶対に痛い。力が緩んだ隙に腕を捻り抜け出し、フィルの後ろへと回る。丸腰のフィルに火かき棒を渡そうと思ったら、いつか私がしたように1人に飛び蹴りをお見舞いし、流れるようにもう1人の男に回し蹴りをする。頭を狙うところまで完璧だ。回し蹴りされた男は一発で気絶し、飛び蹴りされた男は、追加で顎を蹴り上げられフィニッシュ。あっという間に片がついた。男たちが反撃しないように、その辺にある物で拘束する。


「オーリー!!遅くなってすまなかった!!大丈夫か?どこもなんともない!?」

といつかのときと同じように私に怪我がないか、全身をくまなくチェックする。

「フィルが来てくれたから、なんともないわ。」

と言ってフィルに抱きつく。元は私が教えた空手の技だが、すっかりモノにしていて、とにかく格好良い。私は自分がフィルのことを好きなことに気づいてしまい、フィルの格好良さに涙が滲む。私が泣いてることに気づいたフィルは驚き、

「やっぱりどこか痛むのか!?くそ!どこだ!?」

「…胸が痛い。フィルが格好良すぎて。私、フィルのことが好きみたい。」

と我慢出来ずに思いを伝えるが、しばらく待っても反応がない。フィルを見上げると、顔を真っ赤にしている。我に返ったフィルは私を強く抱きしめた。


いい雰囲気になりかけたとき、アル兄さまとエル兄さまが到着した。どうやらフィルに私のことを教えてくれたご令嬢がエル兄さまにも知らせてくれたようだ。えっと少し気まずい。それにしてもシュールな状況だ。失神し縛られている男3人の中で抱き合う男女2人。私としては多少髪は乱れたものの、怪我ひとつなくドレスも無事だったため、公爵家を相手に事を荒立てたくなかったが、どうやらそうもいかないようだ。フィルと2人で状況を説明し、男たちを警備隊に引き渡す。説明し終えると疲れが込み上げ、ふらついたところを、フィルが肩を抱きこみ支えてくれた。急に恥ずかしくなったが、ずっと手を繋いでいたことにもようやく気づいた。


「お前たちは、そういうことなのか?」

とエル兄さまが咳払いをひとつし、遠回しに確認する。そこに

「フィリップはずっとオーリーのこと好きだったもんね。ようやく思いが通じたのかな?随分と時間がかかったものだ。」

とアル兄さまが爆弾をぶっ込んできた。

「ちょっ!アルさん!!まだ言ってない!」

とフィルが慌てふためく。え?ずっと好きだった…?

「…まだフィルに好きって言われてないのに!なんでアル兄さまから聞かなきゃいけないのー!」

と怒った私は悪くないと思う。擦った揉んだの末、今日は帰っていいと言うことになった。


フィルのエスコートで馬車に向かう。いろんな緊張が緩み非常に眠たい。足がもつれたところ、フィルが支えてくれたと思ったら、身体が宙に浮く。お姫様抱っこをされている。こんなところまで5年前のデジャブだ。5年前と違うところは2人の関係性か。疲れ切っていたし、正直ありがたい。何よりもくっついていられるので、私は素直にフィルの首に腕を回し甘える。フィルはクスっと笑い、私の頭にキスを落とす。馬車に乗り込んだあとも離してくれないため、そのままフィルの膝上にお邪魔する。


「ねぇ、フィル。あなたのことは好きだけど、いきなり近いんではないかしら?」

「そうかい?僕はこの時をずっとずっと首を長くして待っていたからね。我慢してくれない?」

「アル兄さまも、ずっとって言ってたわ。」

恥ずかしさから、フィルのことを見れずに俯いてしまう。

「オーリー、僕を見て。」

恐る恐るフィルを見上げる。


「オーリーにも、アルさんにも先に言われてしまったけど、僕は君と出会ったときから、オリビア、君が好きだ。」

フィルの告白に胸がギュウっと掴まれたようだ。苦しい。

「一目惚れだったんだ。でも、オーリーの方が家格も上だし、もしかしたら婚約者が既にいるかもしれないし、僕は素直になれずに、あんな態度を取ってしまった。最悪だったよな。あの日はミラに散々揶揄われた。」

「あれは…確かに最悪だったわ。」

「ごめんね。しばらく意地を張っていたけど、オーリーに初めて勝ったあの日に、オーリーは自分が負けたって言うのに、満面の笑顔で楽しかったって言われてさ。自分の器の小ささを思い知らされたよ。あの事件の時もさ、僕は恐怖と絶望で泣くことしかできなかったっていうのに、君は腐るどころか、キスはするし、スカートは捲るし、ヘアピンで鍵は開けるし、なんて女を好きになったんだろうと思ったよ。すごく格好良くて同時に悔しかった。」

「うん。」

「僕を守る君を見て、強くなりたいと思った。でも君もどんどん強くなるから、本当に大変だったよ。」

「うん。」

「勉強もさ、君はいつも先を行っていて、君の背中を見て恋焦がれたんだ。追いつきたくて、追い越したくて、君に勝てる男になりたかった。君はずっと僕の心を掴んで離さなかった。」

「うん。」

「なのに君ときたら、みんな気づいているのに、僕の気持ちに全然気づかないどころか、僕がミラのこと好きだと思っていたっぽいし。それでも側に居てゆっくりとオーリーの気持ちを手に入れようと思っていたんだけど、学園に入ったらよりによって殿下に言い寄られてさ。王族相手じゃ勝ち目ないし、焦ったし、悲しくもなった。」

「うん。」

「でも殿下といても君は君で、不敬な態度も平気でするし、そんな君がやっぱり格好良くて美しくて、どんどん好きになって、ようやく回ってきたチャンスが今日の夜会だったんだ。」


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