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14.夜会

フィルのエスコートで会場入りし、ミラカップルに会い、恋人ウィリアム様を紹介してもらう。とてもミラのことを大事にしているのが一目見てわかった。美男美女でお似合いだ。そのうちに国王陛下夫婦も入場され夜会が始まる。レオンハルト殿下は結局、ローズ様をパートナーに選んだようだ。とてもお似合いだと思う。エル兄さまのパートナーは王太子殿下、レオンハルト殿下とは腹違いの妹フリージア王女であった。それは私のパートナーはできないわけだと納得する。高位の方から順にファーストダンスを始め、私たちの番となる。フィルと何度もダンスはしてきたが、ファーストダンスを踊るのは初めてだ。踊り慣れたもので、フィルのリードはいつも踊りやすい。あっという間に曲が終わり、2曲続けて踊るわけにはいかないので、名残惜しいがフロアから離れる。休憩しようとフィルがドリンクを取りに行っている間に、レオンハルト殿下がやって来て、私をダンスへと誘う。断れないよね…。


フロアに行きダンスが始まる。グッと腰を引かれ、身体が近づく。思わず私は

「殿下、近いです。」

とクレームを入れる。殿下は私の言うことなど気にもせず、

「そうかい。より一層素敵な君を近くで見たくてね。それは、スカーレットルビーか。今度俺もアメジストパープルのアクセサリーを贈っても良いか?」

「お戯れを。私には受け取る理由がございません。」

「ルビーは受け取る理由があったってことか?」

私は黙り込む。そうだよ、なぜ受け取ったのだろう。いや、なぜフィルは自分の色を贈ってきたのだろう。

「おや、俺と踊っている最中に、他の男のことを考えるなど許せんな。」

「申し訳ございません。少し、混乱しております。」

とやり取りをしているうちに、曲が終わる。終わりの礼をしてフロアを離れようとすると、腕を引かれ離れられない。そのうちに次の曲が始まり、またダンスを始める。これはいけない。2曲続けて踊っていいのは婚約者や既婚者だ。周りも私たちの様子にざわめき出す。


「殿下!何をしているかおわかりですか!!」

「さっき他の男のことを考えた罰だ。」

と涼しい顔で言いのけるので、足を思いっきり踏んでやる。さすが殿下、顔には出さない。私も出さない。周りを見ると、お父さまアル兄さまエル兄さまは怒りを露わにしている。恐らく暴挙に出た殿下に怒っているのだろう。お母さまとミラは面白そうに見ている。フィルは…フィルは泣きそうな顔をしている。そんな顔をさせたいわけじゃない。

「フィル…。」

私の顔も悲しくて歪む。ふと視界の端にローズ様が映る。恐ろしい形相で私を見ている。嫉妬を宿した憎悪に近い目に鳥肌が立った。ようやく2曲目が終わり、すぐさま身体を離し、

「殿下、お遊びはここまでです。良い夜をお過ごしください。」

と挨拶をして、フロアから離れる。周りの視線が痛すぎて、居た堪れず誰とも話さず化粧室へと向かった。


化粧室につき、深くため息をつく。勘弁してくれよ、あの俺様王子。このあと周囲がどう出てくるかを想像すると吐き気がする。ふと鏡を見ると、スカーレットルビーのイヤリングが光る。うん、似合っている。フィルの色だと思うと自然と顔が緩む。フィルの指が耳に触れたとき、どう思ったか。もっと、もっと触れてほしかった…。


物思いに耽っていると、ローズ様が鏡に映り込む。気づけば化粧室には私とローズ様しかおらず、少し不味い雰囲気だ。

「ちょっとあなた!殿下と2曲続けて踊るなんて図々しいにも程があるわ!侯爵家の娘ごときが、この私に恥をかかせるなんて!!許さないわ!それにその髪…あのとき良く見えなかったけど、あのとき殿下と、キ、キスしていた女ね!!殿下は、殿下は、私のものよー!!!」

キスしてないし!申し開きしたいところだが、ローズ様にはもう声が届かなさそうだ。ローズ様一派と思われる男たちが数人、化粧室に入ってくる。良くない状況だ。騒ぎを起こすわけにもいかず、私は大人しくローズ様について行くことにした。


化粧室よりも更に奥の休憩室に押し込まれる。非常に不味い。休憩室と言っても健全な休憩室ではない。ここはそういうことをする場所だ。

「…何をなさるつもりなの。」

「この私に恥をかかせたことを後悔させてあげる!二度と殿下の前に出られないようにしてやる!!お前たち、わかっているわね!」

と言ってローズ様、いや、ローズはほくそ笑んで部屋を出る。男3人か。周囲を見渡す。武器になりそうなのは…あった!少し距離があるが、火かき棒を見つけた。囲まれたらいくら武器を手にしてても不利な状況だ。でも!私はようやく自分の気持ちに気づいた以上、貞操は何が何でも守らなければならない。


「あなたたち!こんなことをしてただで済むと思っているの!?」

「ローズ様が守ってくださるのだ。問題ないに決まっている。」

「昔からあんたのその身体に興味があったんだ。」

といやらしい笑みを浮かべる。ゲス野郎め。私は気づかれないようジリジリと後ろに下がり、暖炉側にある火かき棒を目指す。すると、そのうちの1人が

「俺が1番最初だ。こいつには恨みがある。5年前こいつのせいで、当家は大損したんだ。」

「なんのことだかわからないわ!」

「わからない?5年前お前が逃げ出したせいで、俺の家は罰を受け、婚約も破棄され家も没落寸前だ!!」

5年前に逃げ出すと言えば…あの誘拐事件の関係者か!悪事を働いていたのはそっちなのに、逆恨みもいいとこだ。だがこれはチャンスだ。怒りを利用すれば付け入る隙はあると思い、私は男の怒りを煽ることにした。

「おかしな話だわ!誘拐されたのだから逃げるのは当たり前じゃない。罪を犯したのだから、罰を受けるのも当たり前よ!」

「なんだと!!その生意気な口、聞けなくしてやる!」

と私に飛びかかってきたため、避けるフリをして一気に暖炉に近づき、火かき棒を手に取る。よし!自分もドレスも評判も守って、フィルとの明るい未来を目指すんだ!


騒ぎになる前にこいつらを穏便にぶっ倒す。スピード勝負だ!まずは目の前の怒り狂う男だ。大声を出されたくないため、喉を潰す。ここで失神して欲しかったが、痛みに悶えながら立ち向かってくるため、次々と急所に打ち込み、1人目を落とす。よし、次だ!と思ったら2人まとめて私を抑えつける。ドレスのせいで足が使えなくて上手く反撃できない。かくなる上はドレスを犠牲にするかと考えていると、おもむろにドアが開いた。敵か!と思い、視線を向けるとそこには、息を切らし怒りの表情を携えたフィルがいた。悪魔モードのようだ。


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