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28.最後の大事件

A駅の前には大勢の人がいた。ショウコはまだ来ていなかったのでサトルはコンビニの中に入り、雑誌を立ち読みし始めた。


「詳子はあっちの方向から来るはずだ」


 あたし達はショウコを探して歩き出した。しばらく歩いていると、空からショウコを探していたパグぞうさんが言った。


「あ、詳子がいた」


「ホント?」


 と、その時。


「キャアァー!!」


え!?何!?


 ビクッとしてあたしは周りを見回した。


 誰かが叫んでいた。

「ひったくりよ!誰か捕まえてー!!」


 ヒッタクリって、何!?


 すると、怖そうな大きな男が走っていくのが見えた。そしてその先にショウコの姿があった。


 大きな男は叫びながら走っていた。その手にはナイフが光っている!!


「オラァどけどけ!殺すぞ!!」


――ショウコが危ない!!


「あぶなーい!!」


「あっおい!リリィ!!」




――ドカァッッッ・・・!!



――ドサッッ・・・




「キャアァ!!」

「そいつを捕まえろ!!」

「え?何が起きたんだ!?」

「ひったくりだ!!」

「警察を呼んでください!!」

「ナイフ持ってるぞ!!」


 周りの人々が大騒ぎする中、パグぞうさんの声が聞こえてきた。


「おいっ!おいっ!リリィ!!大丈夫か!?」


「うん、大丈夫だよ。ショウコは?大丈夫?」


「おう、無事だ。向こうでこの騒ぎを見てる」


「そっか・・・よかった」


「あの男も捕まったみたいだ。それにしても、あー、びっくりした。あんたが急にあの男に飛びひざ蹴りをくらわすんだから」


「この前パグぞうさんに教わったのが役に立ったよ。あっ!それよりショウコの所に行かないと」


 あたしはショウコの所へ走っていって、話しかけた。


「あのっ!」


 騒ぎを呆然と見ていたショウコはびっくりして言った。


「えっ!?・・・私?」


「うん。あの・・・えっと・・・サトルのこと、よろしくお願いします!」


「えっ・・・?あなたは・・・」


 あたしはニコッと笑ってペコリと頭を下げ、駅の方へ走っていった。


パグぞうさんが追いついてきて言った。


「詳子、急に話しかけられてびっくりしてたぞ」


「そうだね。まあ、あたしは言いたいことが言えてスッキリした」


「あ、サトルがコンビニから出てくる」


 サトルはキンチョーした顔であたし達の横を通り過ぎていった。


「サトル、めっちゃキンチョーしてるみたいだった」


「そりゃそうだろ。ま、サトルが帰って来た時の顔見たら全てわかるさ」



◇ ◇ ◇



 そして、あたし達が家に帰ってきてから数時間後。


「ただいまー」


 サトルが帰ってきた!あたしは急いでサトルを出迎えに行った。サトルの顔を見ると、すっごくニコニコしている。


「おーリリィ。いい子にしてたか?」


 サトルはあたしを抱っこした。あたしはサトルのニコニコ顔をペロペロした。


――よかったね、サトル。


 それにしても、パグぞうさん、どこに行ったんだろ?


 あたし達が家に帰ってきてしばらくしたら、「ちょっと出かけてくる」って言ってどっかに行っちゃった。もう夜なのに、まだ帰ってこない。


 サトルがお風呂に入ってる間、あたしは部屋の中をうろうろして探しまわった。だけどパグぞうさんはいなかった。


なんだかヘンな感じ。

いつもはパグぞうさんとしょうもない話をしてたこの時間が、今日はとても静かだ。


 結局寝る時間になっても、パグぞうさんは帰ってこなかった。


 まあ、いっか。明日になったらひょっこり帰ってくるかも・・・


 あたしは眠くなったので、ハウスの中で丸くなって寝た。



◇ ◇ ◇



「リリィ、寝ちゃったわよ。・・・いいの?このまま行っても」


「ああ。面と向かってお別れってガラじゃないし」


「私は・・・ちゃんとさよならを言った方がいいと思うけど」


「あんたから言っといてくれよ。さよならと、それから、ありがとうって。それにしても神様、遅せーな」


「あなたが昼間からずっと待ってるからでしょう。

リリィがあなたのこと探してるのに、あなたはずっとマンションの屋上に隠れて・・・。私、リリィに何て言ったらいいかわからないわ」


「オイラのことよりあんたの正体聞いてびっくりするだろうよ、ハナ。まさかあんたが天使だったなんてな」


「フフッ。うまく“普通の犬”をやってたでしょう」


「オイラも、真夜中にあんたん家に忍び込んだ時に初めて知って驚いたぜ。

あんたが暗闇の中、目を光らせて

『ママのことは私に任せて』って言うんだもんよ」


「正体がバレないように仕事をしてたけど、あの日はもうバラすしかないなって思って」


「まさかあんたが、神様からつかわされたオイラ達の見張り役だとはな」


「あなたが地獄へ連れて行かれるまでは別の仕事をしてたのよ。でも、ちょうど隣に住んでるからこっちの仕事をしてくれって神様に言われたの」



◇ ◇ ◇



 パグぞうさんの声が聞こえたような気がして、あたしはふと目を覚ました。


「ムニャムニャ・・・パグぞうさん、帰ってきたの?」


 周りを見回しても、いる気配はない。なんだ気のせいかと思って再び寝ようとした時、目の前が急に光でいっぱいになった。


「なっ何コレ!?まぶしい・・・!!」


 そしてまぶしい中、目を開けると・・・


「ハナ!どうして!?」


 でも、いつものハナとは違っていた。背中に大きな翼が生えていて、頭の上には光る輪っかが乗っている。


・・・これって・・・


「・・・神様みたい・・・」


「神様じゃないわ。リリィ、私ね、実は天使なの」


「へ!?て、天使!?」


「私のことは後で説明するから、早く来て」


 ハナが前足を上げると、あたりがもっとまぶしくなって、あたしは目をつぶった。そして、風を感じて目を開けると・・・


「ひょええっ!ここ、どこ!?」


「マンションの屋上よ。リリィ、時間がないの。パグぞうさん、もうすぐ天国へ行ってしまうからその前にちゃんとさよならしないと」


「ええっ!?今日行っちゃうの!?そりゃ、サトルとショウコは両想いになったんだろうけど、今日の今日だよ!?早すぎるよ」


「ほら・・・こうやって騒ぐから会わないでいたのに」


「あっパグぞうさん!!ひどいじゃん!!ハナが呼びに来なかったら、自分一人で天国に行くつもりだったんだ!!何よカッコつけて!!」


「かっ・・・格好つけてなんかねーよ!ただオイラは・・・涙のお別れなんて嫌なんだよ。あんた、なんか泣きそうだと思って」


「なっ・・・泣かないよ!!なんでパグぞうさんなんかの為に・・・パグぞうさん・・・ううう~~~」


「ほら!泣くじゃん!だから嫌だって言ったのに」


「ううう~~~」

あたしは悲しくって、何も言えなくなってしまった。


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