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19.サトルは合コン、リリィはお留守番

え?え?何この展開。サトル、今からどっか行っちゃうの?


「リリィ、ちょっと出かけてくるから。母さんといい子にして待ってるんだぞ。じゃあ母さん、リリィを頼む」


「ハイハーイ。いい人見つけてくるのよ♡」


 えっ!?待って待ってー!


「ワン!ワン!ワン!」


 あたしは玄関まで追いかけて行ったけど、サトルは振り向きもせずにバタバタと行ってしまった。


「クゥーン・・・」

 ひどいよ・・・あたしを置いて行くなんて・・・


「まあまあリリィちゃん。そんな所にいないで、リビングにおいで」


 サトルのママが手をのばしてあたしを抱っこしようとしたけど、あたしはその手を噛んでやった。


 ガブッ!


「アイタッ!どうしたのリリィちゃん。大丈夫よ。サトルはしばらくしたら帰ってくるわ」


 プイッ


あたしはその言葉を無視して玄関先に座り込んだ。サトルのママはあの手この手であたしをリビングに連れて行こうとしたけど、結局諦めて一人でリビングに帰っていった。


あたしは一人、ただじっと玄関のドアを見つめてサトルの帰りを待った。


と、しばらく後。


ポンッ!


「ワンッ!ワンッ!」(パグぞうさん!?)


 目の前に、いきなりパグぞうさんが現れた。


「パグぞうさん!どうしてここに・・・!?」


「あんたがスネてるんじゃないかと思って見に来たんだよ」


「リリィちゃん?どうしたの?」


 サトルのママが玄関にすっ飛んできた。


 やばいっ!サトルのママが来た!


「キュンキュン♡」


 あたしはサトルのママの手をペロペロなめた。


「あら、機嫌が直ったの?ほらおいで♡」


 あたしはサトルのママに抱っこされながらパグぞうさんに話しかけた。


「パグぞうさん、もしかしてサトルの居場所知ってるの?」


「ああ。合コンに行ったよ。詳子と一緒にいる」


「ゴーコ・・・?ショウコ・・・!?なんで!?」


「オイラが仕向けたんだよ」


「ええっ!?なんで!」


「リリィちゃんどうしたの、急に吠えて。何かいるの?」


 やばいっ!

「キューンキューン♡」


「あらまた機嫌が直ったわ。おーよしよし♡」


 あたしはサトルのママになでられながらパグぞうさんを睨みつけた。


 パグぞうさんが言った。


「だってサトルと詳子を引き合わせなきゃ、オイラまた地獄行きだぜ?」


「うっ・・・」


「今日の為に毎日サトルを監視してて大変だったんだぜ?おっと、こうしちゃいられん。オイラ、サトルの様子見てくる。あんたも知りたいだろ?向こうで何やってるか」


「うん・・・でも、余計なことしないでよ!?」


「それはどうかな」


 ポンッ!


 パグぞうさんは消えてしまった。


「~~~」


「リリィちゃん、今度は何に唸ってるの?」


 うっ・・・

「クゥーンクゥーン♡」


 あたしは上目遣いで思いっきりサトルのママに甘えるフリをした。



★★以下、パグぞう視点★★


 オイラはまた合コン会場へ戻って来た。


 やっぱりリリィの反応は予想通りだった。とはいえ、オイラはやるべきことをやらねばならない。


 さて、サトルはどうしてるか・・・今日までずっとサトルを監視してるが、全く平凡な男だぜ。今日はビシッと男らしく、詳子と距離を縮めろよ!


 お?サトル、店に着いた時は詳子と離れた席だったけど今は隣じゃないか、やるじゃん!さあ、どんな会話をしてるか聞いてみよう。


 詳子がサトルに話しかけている。


「・・・それにしても久しぶりよね。中野君と飲むの」


「ああ、そうだね。同期会もいつの間にかやらなくなっちゃったもんな」


「皆、支社がバラバラになったし、忙しくなったもんね」


「うん。また皆で飲みたいね」


「・・・・・」


「・・・・・」


 おいっ!サトル、何か話せよ!


 しばらくの沈黙を破ったのは詳子の方だった。


「そういえば、中野君のワンちゃん、元気?リリィちゃんだっけ?」


「ああ、うん。あの時は本当にびっくりしたよ。まさか小宮さんがいるとは。あいつは変わらず元気だよ。今日は実家に預けてる」


「そうなの。ご実家で寂しく帰りを待ってるんじゃない?ずっと玄関で待ってたり」


「うーん、たぶんそうだろうな。むしろ怒ってるな・・・って、小宮さん犬飼ってないのに詳しいんだ」


「小さい頃に飼ってたから」


「そうだったんだ」


「今は飼ってないけどワンちゃんは好きだから、時々ふれあい体験に行ったり、この前もそうだったけど、ドッグランに行く友達について行って友達のワンちゃんと遊ばせてもらったりしてるの」


「ふれあい体験?」


「うん、動物園とかでやってる」


「へー、楽しそう。でもウチのリリィ、他の犬の匂いを付けて帰ると機嫌が悪くなりそうだ」


「本当に中野君のこと大好きなんだね。 ねえ、リリィちゃんの写真とかあったら見せてほしいな」


「あ、うん、あるよ。・・・最近だとこれとか」


「うわぁ、カワイイ」


「甘える時だけね。普段はワガママで大変だよ。甘やかしちゃったかなぁ?」


よしよし、犬の話題で盛り上がってるし、イイ感じだ。あとはこれを今日以降につなげられるかだな。


 そして、合コンの終わる時間が来た。皆がぞろぞろと店から出る間、サトルが詳子に言った。


「あのさ・・・」


「?何?」


「えっと・・・」


「・・・?」


「・・・っ!今度!ドッグランに行くんだけど小宮さんも一緒に来ない?」


「えっ?」


「あ、いや、もし良ければリリィと遊んでやってほしいな、と思って・・・」


「・・・うん、行きたい」


 詳子はいきなりの誘いに戸惑っていたけど、ちょっと顔を赤くして、笑顔で答えた。


犬をダシに使うとは・・・まあ何はともあれ、初デートにこぎつけたぞ。


 そしてオイラはサトルと一緒にリリィの待つ家へ帰っていった。二人がデートすることになったって言ったら、あいつどんな顔をするだろう?今から心配だが、デートをブチ壊すまねだけはしないでほしい。



★★リリィ視点に戻る★★


「ただいま~・・・ってうわー!!」


 あたしはサトルが帰ってきてドアを開けた瞬間、飛びかかってその手に思いっきりガブッと噛みついてやった。


「痛いっ!痛いってリリィ!離して!」


「ウーッ!ウーッ!グルルル・・・」


「置いて行ってごめんなリリィ。許してくれよ」


「ワンワンワン!!」(よくもあたしを一人置いて行ったな!!)


「ワンワンワン!!」(しかもショウコと一緒だったなんて!!)


 あたしはその後も、サトルが抱っこしようとするたびに手にガブリと噛みついてやった。


「痛ってー」


「お帰りサトル」


「あ、母さんただいま」


「リリィちゃんすごい怒ってるじゃない」


「うん。今日はめっちゃ機嫌悪い」


 そりゃそーでしょ!!あたしはプンプンなんだからね!!


「そうそうサトル、あんたが出かけてる間リリィちゃん、なんだかヘンだったのよ」


「ヘンって?」


 あたしはリビングで、サトルのママの膝の上に乗ってゴロゴロしていた。サトルがこっちおいでって言っても無視。


「それがね、急に宙を見て吠えだしたり、私に甘え出したり、また何かに唸ったりコロコロ態度が変わってね」


「虫でも飛んでたんじゃないの?ウチでも時々、何かに向かって吠えてるよ」


「そうなの?」


「なあリリィ、そろそろ許してくれないかな?こっちおいで」


 プイッ


「やっぱダメか・・・ハァ」


「ところであんた、今日の合コンどうだったの」


「うん?まあまあかな」


 ピクッ!


 まあまあって何!?パグぞうさんに聞いてやる!




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