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18.リリィ、サトルのママに会う

★★ここからリリィ視点に戻る★★


「一体こんな時間までどこに行ってたの?朝も起きたらもういないし」


 あたしは夕方になってパグぞうさんが帰ってくるなり言ってやった。パグぞうさんは、バツの悪そうな顔をして言った。


「あー・・・ちょっとヤボ用でな。朝は、なんか顔合わせづらくってさ。昨日神様からあんなこと言われて、あんた怒ってたじゃん」


「それは・・・」


 あたしはそれ以上何も言えなかった。正直、まだどうしたらいいのかわかっていなかった。


「オイラ、明日から毎日出かけるから。夕方には戻るから心配しなくていいぞ」


「別に心配してないし」


 あたしはウソをついた。


「っていうか、どこに行くの?」


「それは・・・そのうち言うよ。今は言えない」


「何それ。あたしに言えない場所ってどこなの?」


「オイラ眠くなったから寝る!」


 パグぞうさんは、そそくさと逃げるように寝床へ行ってしまった。


 なんか、怪しい・・・



◇ ◇ ◇



「それで最近、機嫌が悪いのね」


「別にそんなんじゃないし」


  土曜日の朝、あたしはお散歩先でハナとしゃべっていた。


ハナが言った。


「でも、寂しいんでしょ」


「さっ寂しくなんかないし!」


「ふふっ。無理しちゃって。でも毎朝どこに出かけてるのかしらね。今日もなの?」


「ううん、今日は家にいるよ。昨日まで毎日外に出てたけど」


「それにしても、この前はリリィもパグぞうさんも災難だったわね」


「そうだよ!もう二度とあんな怖い思いしたくない」


 地獄に行った次の日、夜のお散歩でハナに会った時に一部始終を話したのだ。


「あっ!そうそうハナ聞いて。明日トリミングに行くの!」


「あらそうなの。いいわね、私も最近行ってないな」


「そんでその後、サトルのママん家に行くんだ。すごく楽しみなの」


「サトルさんのお母さん?」


「うん。とっても優しいの」


 サトルのママは、あたしのことをすごくかわいがってくれる。いつもおいしいお水を飲ませてくれるし、おいしいおやつをくれるんだ。今からワクワクしちゃう。あー、早く明日が来たらいいのに。


「あー、どうか明日、うまく行きますように・・・」


 あたしは、その頃パグぞうさんがそんなことを祈ってるなんて全く知らなかった。


 そして、翌日。


「じゃあリリィ。行こうか」


「ワンッワンッ♪」  


 あたしはしっぽを最大限に振って喜びを表現した。

待ちに待ったお出かけだー!


「じゃあパグぞうさん、行ってくるね」


「おう。キレイになってきな。オイラはのんびりやってるよ」


 あたしはサトルと久しぶりのデートに出かけた。


 待ちに待ったデート、一件目の行き先はトリミングサロン。


トリミングサロンでは、いつもお姉さん達が出迎えてくれて、あたしのことをカワイイ、カワイイって褒めてくれる。

あたしはここのシャンプーが大好き。いい匂いだし、お湯はあったかいし、キレイになれる。


ただ、そのあとの散髪はキライ。だって高い所キライだし、じっとしてなきゃいけないし。でも終わった後、サトルがカワイイって言ってくれるからガマン、ガマン。


あたしはサトルに抱っこされてお店に入った。


「いらっしゃいませ。あら、リリィちゃん。今日もカワイイね」


「あっリリィちゃん。相変わらずカワイイ!」


「来てくれるワンちゃんの中でリリィちゃんが一番カワイイです」


 エッヘン!そうだ、あたしカワイイんだ♪


 サトルもあたしを褒められてうれしそう。さー、もっとカワイくなってこよ!



◇ ◇ ◇



 トリミング終了。あたしはサトルの元へ帰ってきた。


「リリィ、おかえり。おー、キレイになったなぁ」


 でしょでしょ!あたしは褒められてうれしくって、サトルの顔をペロペロなめた。


 お店のお姉さんが言った。


「今回は、お耳の毛はツインテールみたいに長めで女の子らしくして、しっぽはまん丸でかわいらしく、ボディと足の毛は短めにしてます。リリィちゃん、お姫様みたいにカワイくなりましたよ。お耳にはピンクのリボンをつけておきました」


「ありがとうございます。よかったなぁリリィ」


 うん!あたしカワイくなった!


 他のお姉さん達も皆、カワイイと褒めてくれた。


 フフン、勝ったな。もうこれで詳子に勝ったも同然だ。やっぱり女はカワイイのが一番だね。


 あたしは上機嫌でお店をあとにした。



◇ ◇ ◇



「リリィちゃん♡よく来たね♡」


「さあさ、リリィちゃんお水飲みな」


「リリィちゃんの大好きなおいもスティックもあるよ」


「この前リリィちゃんに似合いそうなお洋服買ったの!サイズはこれでよかったかしら?」


「・・・あの、母さん。上がっていい?」


「あらいたのサトル。勝手に上がってると思ってた」


「母さんが玄関の通路塞いでるんだろ!」


「そんなことよりサトル!リリィちゃん、すっごくカワイくなってるじゃない」


「ああ・・・トリミング行ってきたからな」


「写真撮らせてちょうだい!ええと、カメラカメラ・・・あ、ティーバッグあるからお茶でも飲みなさい」


「ハイハイ。ハァ・・・ん?母さん、また写真増えてない?」


「そうなのよ。リリィちゃんがカワイイってお友達に評判だからどんどん写真が増えちゃって」


「ココのリビング、リリィの写真だらけだな。オレの家より多いし」


「お友達には“ウチのリリィちゃん”って言ってるから」


「オレの犬なんだけど?」


 サトルとサトルのママのおしゃべりが続いてる間、あたしはサトルのママが用意してくれたお水をペロペロと飲んでいた。

ここにはおもちゃもいっぱいあって、ボールとかでサトルのママが遊んでくれるんだ。


「さあさリリィちゃん、こっちおいで」


「ワンッ!」(はーい♡)


 あたしはサトルのママのお膝に飛び乗った。

なでなでしてー♡


「あー、リリィちゃんが来てくれるのを首を長くして待ってたのよ。待ち過ぎてツルみたいに首が伸びちゃったわよ。サトル、あんた夕飯食べてくでしょ?」


「ああ・・・うん」


「よかった!夜まで一緒にいられるねリリィちゃん♡」


 あたしはそれから、サトルとサトルのママと遊んで楽しく過ごした。

新しいお洋服はフリルとリボンがいっぱいついていてとってもカワイイし、ゴハンは滅多に食べられない、やわらかいお肉の缶詰だったし、おやつのおいもスティックも美味しかったし、あー幸せ♡


と、その時。


RRRR・・・


 ビクッ!何の音?


「ん?電話だ。・・・はい、もしもし」


「中野さん!何してるんすか!」


「何って」


「合コン今日ですよ!?もう始まってるのに」


「え?合コンは行かないって前に言っただろ。予定あるからって」


「でもその後、来てくれるってメールくれたじゃないですか!」


「ええっ!?」


「とにかく、今からでもいいんで来て下さいよー。料理も来ちゃってるし」


「えー・・・あ、母さん!」


「あ、もしもし?サトルの母です。いつもお世話になっております。今すぐそちらに行かせますから。場所は?・・・はい、駅前のね。伝えます。それでは失礼いたします」


ブチッ。ツーツーツー・・・


「はい電話。さっさと準備して行きなさい。リリィちゃんは私が預かっとくから」


「なんで勝手に行くって返事するんだよ!?」


「だってあんた。合コンにでも行かなきゃ彼女できないでしょ。いつになったら結婚するのよ?いつまでも一人身で・・・」


「あーハイハイ、行きます行きます!行けばいいんだろ?場所は?」


「駅前のいつもの居酒屋って言ったらわかりますって。パッとしない服だけど、しょうがないわね」


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