声明文。そして、帰還... ~女公爵、約束と休憩をする~
果香(10月)、18日 午後4時32分
ペテログラード、ゲオルギ宮殿、謁見の間
「して、どうした?エカチェリーナ」
「はい。実は提案がありまして...」
「提案...何だ?」
「世界にノスエウロパ同盟国が我々に奇襲を行おうとしている事を訴えるのです」
「...つまり世界にノスエウロパ同盟国の非難をさせたい、と?」
「はい。我々が完全なる被害者である、と訴え、国際社会を味方に付けるのです」
「成程。そうしたらポルシュカ王国もそう簡単には手出しも...」
「その通りです、陛下」
「...分かった。やはり大義名分は重要だからな。その通りにせよ」
「有難うございます、陛下。...では」
パタパタパタパタ...
「...よろしく頼む、エカチェリーナ」
......
ゲオルギ宮殿、宰相室
...宰相に相談して文を決めようと思ったけど、まさか宰相が...
「初めましてになるね。よろしく頼むよ、エカチェリーナ」
...セルゲイ・イヴァンノヴィチ・リーン殿下(つまり叔父)とは思わなかったわ...
「...挨拶に行けず申し訳ありませんでした、セルゲイ殿下」
「いや、大丈夫だよ。最近忙しかったようだしね」
「...やはりお聞きになっていましたよね」
「ああ。そこは我が公爵家の情報網で、ね?...にしてもここまで可愛い子が産まれていたなんてな...」
「え...?お母様はお知らせにならなかったのですか?」
「...色々とあってね」
「...まぁ深くは聞きませんわ。...それで本題に戻りますが」
「ああ。上手く言葉を選んで世界に発表するとしよう。...それで我が国に味方が増えるならば」
「...殿下?もしこの一連の件が終わりましたらリーン分家公爵領へ向かってもよろしいですか?」
「それは良いが...どうして、だ?」
「...私に出来るか分かりませんが、不妊治療を...」
「何故それを...?」
「...ある情報筋から手に入れました」
「...彼奴か。
...確かに相当の魔法の使い手とは聞いてはいるが...出来るか...?」
「正直何とも言えません...ですが、全力を尽くしたいと思います、殿下」
「そうか...分かった、よろしく頼むよ」
「...ありがとうございます。では、考えましょうか」
「ああ」
・・・・・・
「...という感じで行きましょう」
「いきなり押し掛けて考えさせてしまい、申し訳ありませんでした、リーン殿下」
「いえ、祖国の為です。...それにこういう時は有難うございます、ですよ?エカチェリーナ殿下」
「...有難うございます。この恩は必ず、返しますので...」
「うむ、よろしく頼む」
「...お父様」
「...エカチェリーナ殿下」
「...あっ...お忘れください、リーン殿下」
「...お気を確かに。では」
「ええ、ありがとうございました」
・・・・・・
廊下
「はぁ...」
幾らお父様が恋しいからって...
「お嬢様」
...?この声は...
私は後ろを向いた...
「今日もお疲れさまです、お嬢様」
...あれ?マーリンが目の前に居る...何で...?
「え、お嬢様?」
「...貴女上手く逃げ切れたの?」
「?...当たり前の事ですよ?」
「...マーリン...!!」
私は抑えきれなくなって、抱き付いた。
「うわぁ?!...っと...どうしたのですか?お嬢様...」
「エカチェリーナって呼んで」
「え、し、しかし...」
「...」
「え、エカチェリーナ様...」
「エカチェリーナ!」
「え、えっと...あの...え、エカチェリーナ...」
「...マーリン!!」
「......ただいま帰りました、エカチェリーナ」
「...お帰りなさい、マーリン」
「...はい。さ、執務室に戻りましょうか」
「...分かった」
やっと帰ってきた...私の...私だけのマーリン。
...やっと...この笑顔を守れる。
・・・・・・
執務室
「お帰りなさいませ、エカチェリーナ様」
「...あれ?カメーネフ?」
「はい、私ですよ?」
「...貴方私附きじゃ...」
「陛下からエカチェリーナ様に仕えるように、と命令を」
「...貴方も私の隣で働いてくれるのね?」
「勿論です」
「...帝国最高の諜報部隊の隊員に?優秀なメイドのマーリン...最高ね」
「「さて、何をしましょうか?」」
うーん...
「...ちょっと休憩!」
「そう言うと思いましたので紅茶を用意しております、エカチェリーナ様」
「では私は入ってきた情報の精査を」
「...私の周り、有能過ぎて何も言えないわね」
...今日も私の周りは、良い人達ね。




