間話 殿(しんがり)
シャイデル達がフェルト公爵領から逃げ出した時のお父様、お兄様とフェルト騎士団の殿の部分よ。
「チャールズ・キーフ・フェルト公爵、シャイデルはどこだ?」
「婚約破棄した殿下に教える義理はありません」
「ほう...命令でも、か?」
私は笑顔で言った。
「勿論です、殿下」
「...舐めやがって」
「おや、皇族たるものがそのような言葉をよろしいのでしょうか?」
「...掛かれ!」
「突撃!」
......
「いよいよ、か...」
私はフェルト騎士団団長、パブロフだ。
彼我の戦力は7000と4000。
我々の任務はシャイデルお嬢様を逃がすまで殿を続ける事だが...流石に厳しいな...
既に死傷者を除いて1000を切り、私は天を仰いだ...
そんな時だった。
急に敵側にどす黒い雲が集まりだし、我が方に光が当たりだしたのは...
皆驚き、空を見上げていると急に敵側に稲妻が走り、我が方には神秘的な光が流れ込んできたのだ。
「うわあぁぁぁ!」
「熱い!あぢぃ!あぢぃー!」
「水だ!水をくれ!」
「おお!傷が!傷が癒えていく!」
「腕が、生えてきた?!」
「力が、力がみなぎってきた!」
これは...まさか...!
「流石、私の娘だな...パブロフ!」
「はっ!」
「改めて命令を下す!負傷者除く残存兵力が1700を切ったら1000を撤退に回し、残りは殿を勤めさせよ!負傷者も撤退に回せ!」
「...了解しました」
どうやら生きては帰さぬつもりらしい...ま、こんな最期も良いか、閣下に何度命を救われたか...さぁ、行こう!
「総員、突撃!」
......
先程の光で一時盛り返したがやはり多勢に無勢、か...
「チャールズ公及びジョン様、戦死せり!」
なっ...そんな馬鹿な...嘘だろ...?あの閣下が...
「......サハロフ!お前の隊は撤退しろ!俺が責任を取って殿を行う!負傷兵も退かせろ!」
「っ...それは!」
「今退かなかったら誰がフェルト騎士団を指揮するんだ!早く退いて奥様とお嬢様を御守りするんだ!」
「くっ...了解しました。負傷兵及びサハロフ隊は撤退する!退け!」
...これで良し...負傷者も引き始めたな...
...いや、数十人こっちに...まさか...
「団長、我らもお供します」
「団長達だけ抜け駆けは許さないからな」
「お前ら...」
本当に馬鹿野郎共だ...
俺は涙を流したが直ぐに拭き取り、最後の命令を下した...
「...総員突撃!よもや生きて帰れると思うな!誇り、家族、大事な人の為に戦って死ね!!」
「万歳ー!」
「うわあぁー!!」




