第24話一緒に墓参り
休日の朝、俺はましろと2人で街外れの墓地を訪れていた。
今日は、ましろの兄のお墓参りに付き合う約束をしていたのだ。
ましろの兄は、かつて自衛隊に所属し、怪物討伐任務に従事していた。しかし、4年前の怪物の大侵攻を食い止める富士山血戦で命を落としている。
「海野隊長、今日はお付き合いいただきありがとうございます」
「いやいや、気にしなくていいよ。俺も特に予定はなかったからね」
「それでも、お時間をいただいて嬉しいです」
ましろは丁寧に頭を下げた。
彼女の手には花束と、墓参り用の必需品が入った袋がある。
墓地に到着すると、ましろはすぐに掃除を始めた。
墓石を丁寧に拭き、周囲の落ち葉を拾い、水を取り替える。
俺も隣で手伝ったが、ましろの方がずっと手際がよかった。
「すごい、ましろちゃんは、いつもこんなにきちんと掃除しているの?」
「はい。兄のお墓ですから」
ましろは少し照れたように微笑んだ。
やがて花を供え、持ってきたお菓子と缶コーヒーを墓前に置いた。
「兄は、このコーヒーが好きだったんです」
「そうなんだ」
「任務から帰ってくると、いつも飲んでいました。私にもよく買ってくれましたけど、苦かったです……」
ましろは懐かしそうに墓石を見つめた。
「ふふっ、優しいお兄さんだったんだね」
「はい。私の自慢の兄です」
そう言って、線香に火をつけ、ましろは静かに手を合わせた。
俺も隣で手を合わせる。
しばらく、二人で黙っていた。
「……兄は、立派な人でした」
ましろが静かに口を開いた。
「誰かを守るために自衛隊に入り、最後まで怪物と戦っていました。私も、そんな兄に憧れて、兄の仇を取りたくて、怪物退治を始めたんです……」
「……」
「でも、実際に怪物と戦うと怖いですし、失敗することもあります。まだまだ兄のようにはなれません」
ましろは少しだけ俯いた。
俺は何か言おうとしたが、すぐには言葉が出てこなかった。
こういうとき、気の利いたことを言える人間ならいいが、残念ながら俺には無理だ。
「……まあ、なんというか」
「え?」
「お兄さんと同じになる必要はないんじゃないかな。ましろちゃんには、ましろちゃんのやり方があると思うし」
「私のやり方ですか?」
「うん。俺から見れば、ましろちゃんは十分頑張ってるよ。学生なのに立派過ぎるよ……」
少し気恥ずかしくなって、俺は墓石に視線を逸らした。
「……うまく言えなくてごめんね」
「いいえ」
ましろは柔らかく微笑んだ。
「隊長らしいですね」
「そっそれ、褒めてるのかなー?」
「もちろんです!」
そう言って、ましろは小さく笑った。
墓参りを終え、片付けを行なった。
帰る前に、ましろはもう一度墓石の前に立った。
「お兄ちゃん。また来るね」
その声は、いつもより少しだけ幼く聞こえた。
俺は少し離れたところで、彼女が挨拶を終えるのを待っていた。
「お待たせしました」
「うん。じゃあ帰ろうか」
歩き始めると、ましろが俺の隣に並んだ。
「隊長!」
「ん?」
「今日は一緒に来ていただいて、本当にありがとうございました」
「あぁ、気にしなくていいよ……」
「それでもです。実は、一人で来ると少し寂しくなることがあって……今日は隊長がいたおかげで心強かったです」
「そっそう?それならよかったよ」
俺は頭を掻いた。
正直、俺に何ができたのかは分からない。
ただ、隣にいただけだ。それだけ……
「それなら、また来るときは声をかけてよ」
「本当ですか?」
「うん。俺でよければいつでも付き合うよ」
すると、ましろは少しだけ俺の袖をつまんだ。
「では、次もお願いしますね」
「う、うん」
「約束ですよ?」
「わかった、約束するよ」
ましろは嬉しそうに笑った。
そのまま少し歩いたところで、彼女がぽつりと言った。
「隊長と一緒にいると、安心します」
「……そっそそそ、そう?」
「はい。とても……」
「……」
……なんだか照れくさくなって、俺は前を向いた。
はあ〜、38歳にもなって、若い女の子の一言にいちいち動揺してしまう。
情けない。これは治るんだろうか?俺の性か?
それでも、隣で笑うましろを見ていると、今日ここに来てよかったと思えた。
「隊長、帰ったら皆さんにもお土産を買っていきませんか?」
「いいね。凪や凛も喜びそうだ」
「はい。皆さんに美味しい物を買っていきましょう」
ましろはいつもの真面目な表情に戻りながらも、どこか嬉しそうだった。
亡くなった人を大切に思いながら、今を生きている人たちとの時間も大切にする。
そんな彼女の隣を、俺はゆっくりと歩いていった。
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こちらは金髪美少女TSものになります。




