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おっさん隊長になる〜ぼっちのおっさんに仲間ができました  作者: プラチナ


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第22話眩しい休日


「隊長、遅いっすよー!」


 待ち合わせ場所に到着すると、凪がこちらに手を振っていた。


 黒髪ロングのウルフカットに、すらりとした体つき。白いシャツに細身のパンツで凪はシンプルな私服姿だった。


「ごめん、ごめん。待った?」


「5分くらいっすね。罰として、今日は隊長のおごりで!」


「ええっ!?そ、それはちょっと…凪くーん!」


「あははっ、冗談っすよ!」


 凪は楽しそうに笑っていた。


 ーーまったく、調子のいいやつだ。


 けれど、その笑顔を見ていると、こちらまで自然と頬が緩んでしまう。


 今日は凪に誘われて、遊びに来ている。


 普段は隊長として接している相手と、こうして休日に出かけるのは、なんだか不思議な気分だ。


「じゃあ、行きましょうか。隊長!」


「うん!」


 並んで歩き始める。


 すると、凪がちらりとこちらを見た。


「ーー隊長、今日なんか緊張してません?」


「そ、そんなことないよ?」


「ほんとっすかー?」


「ほ、本当!!!」


「ふーん?」


 凪はにやりと笑った。


 ……絶対に面白がっているな。


 何というか、友達がいないので他人と遊ぶのも久しぶりなんだよぁな。慣れていないんだ。


 しかし、俺も38歳の男だ。20歳の青年と出かけるくらいで、いちいち緊張してどうする!


 そう自分に言い聞かせるのだが、隣を歩く凪はどうにも目を引く。


 可愛らしい顔立ちをしているのに、ふとした横顔は驚くほど凛々しい。


 すれ違った女性が、思わず振り返っているのを見てしまった。


 ……わかるよ、本当に。


 普通に凪、可愛いもん。


 俺だって、初めて凪を見たときは驚いた。


 こんなに綺麗な顔をして良い匂いをした男がいるのか?と。


 しかも本人は、それをよくわかっていると思われる。


「隊長、何見てるんすかー?」


「い、いや!なんでもないよ!」


「僕の顔?」


「ち、違う違う!」


「えー、別に見てもいいのに……」


 凪は悪戯っぽく笑う。


「隊長に見られるの、嫌じゃないっすよ?」


「ーーーー!?」


 ……この魔性め。これだから!!


 くっ、俺は決してホモではないが……くっ!!!


 俺は返す言葉もなく、黙って歩くことしかできなかった……


 俺は凪と一緒にゲーセンに行き、格ゲーとクレーンゲームをした。


 格ゲーには自信があったが、普通に凪にボコられた。


 へこんでいたが、密かに欲しかったアイドルゲームのぬいぐるみをクレーンゲームで凪に取ってもらった。


 凪が天使に見えた!


 いや、実際天使のように可愛いけどさ…


 昼食は凪が行きたいと言っていたパンケーキが美味しい喫茶店に寄った。


 男が昼にパンケーキかよと思ったが、パンケーキを食べ幸せそうにしている凪を見て、俺も幸せだった。


 昼食を済ませた俺達は、公園のベンチで並んで休憩をしていた。


 凪はキッチンカーから買ってきたアイスを片手に、スマホを眺めている。


「隊長、これを見てくださいよ」


「ん?」


 差し出された画面には、凪が撮ったらしい写真が映っていた。


 青空を背景に、街路樹の緑が鮮やかに写っている。


「おお、綺麗だね!写真上手なんだ」


「まあ、たまに撮るんすよ。景色とか、食べ物とか、野良猫とか!」


「へえ……」


「隊長も撮ります?」


「いや、俺はいいよ。写真なんて、あんまり撮らないからな」


 そう答えると、凪は少しだけ首を傾げた。


「もったいないっすねー!」


「え?」


「楽しかったこと、残しておけばいいのに」


 凪はスマホをしまい、空を見上げた。


「僕、あとで見返すの好きなんすよ。あのとき楽しかったなーって思い出せるから」


「……そうか、良い考えだね」


「でしょ!じゃあ、今日も撮っときましょうよ!」


「えっ、今日を?」


「そうっす。せっかく隊長と遊びに来たんだから!」


 凪が寄ってきて、俺に密着してきた。


 うおっ!?凪君!近い近い!????


「ほら、隊長。こっち向いて!」


「う、うん!?」

 ドキドキ


 スマホを上に構える凪。


 カシャッ。


「撮れました!」


「……ふぅー、どれどれ」


 画面を覗き込むと、そこには少しぎこちない笑顔の俺と、隣で満面の笑みを浮かべる凪が写っていた。


「うーん俺、なんだか疲れた顔してるな……」


「そうっすか?普通っすよ」


「いや、凪と比べるとさ。なんかー、やっぱり若さが違うというか……」


 あっ……


 言ってから、少し自分に後悔をした。


 別に、凪に気を遣わせたいわけじゃない。


 ただ、こうして並んでいると、どうしても思ってしまうのだ。


 20歳の凪には、これから先にいくらでも時間がある。


 新しいことを始めるのも、失敗するのも、誰かと出会うのも。


 きっと、俺よりずっとたくさんの可能性があるのだろう。


「……隊長?」


「ああ、ごめんね。ちょっと考え事をしてた」


 凪は俺の顔を見つめたあと、ふっと笑った。


「じゃあ、隊長も今からいっぱい遊べばいいじゃないっすか」


「え?」


「俺、まだ行きたいところいっぱいあるんすよ!次は映画とか、旅とかも良いっすねー!」


「……ははは。凪は元気だなあ」


「若いんで!!!」


 凪は胸を張った。


「こっ、こいつー!」


 俺も笑ってしまった。


 眩しい。


 若さというのは、こんなにも眩しいものなのか。


 でも、少しだけ思った。


 こんな自分でも、凪と一緒に過ごす時間を楽しんでいいのかもしれない。


「……じゃあ、また誘ってくれる?」


 俺がそう言うと、凪は一瞬きょとんとして、それから嬉しそうに笑った。


「もちろんっすよ!」


 そして、俺の肩を抱いて


「次も逃がしませんからね、隊長!」


「ーーははは……お手柔らかにね……」


 くっ!!?凪くーん!!!!!!!!!!?

 ドキドキ




 2人の遊びも終わり、帰り道。


 夕方の光の中、凪の笑顔がきらきらと輝いていた。


 可愛らしくて、格好よくて、元気で。


 俺にはとても眩しい、20歳の青年。


 こんな若者と一緒にいると、自分まで少し若返ったような気がしてしまう。


 そんなことを考えながら、俺は凪と並んで帰り道を歩いた。

面白かったと思ってもらえましたら、評価などいただけると嬉しいです。

また、完結済の作品『おっさん少女になる』もございますので、そちらもごらんいただけましたら幸いです。

こちらは金髪美少女TSものになります。

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