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50.真実?(世界の終わりまであと22日/11)

現実の友も、

もう夢の中でしか会えない息子も、

時が過ぎて「思い出」になっちまえば同じこと。

ただそいつらへの思いを大事にしてりゃいいのさ。

            ─グゲン・ジンギ─


⚠注)このエピソードの最後に、

   どさくさ紛れの作者謹製大暴走ラフ挿絵

   を掲載中です(一応50回突破記念(;^_^A)。

   (完全期間限定/即撤回あり)


   なお挿絵は、画面右上の「表示調整」内にある「挿絵表示中」を

   クリックして、「挿絵を表示」とすることでOFFにできます。


   挿絵の非表示を望まれる方は、お手数ですが上記の対応を

   お願いいたします。



前回のあらすじ!

 帝都の街での命懸けの追っかけっこ。

 でも抱えていはずの「ゆーくん」が

 いつのまにか「ユユリコ姫」になっていて?


 しかも追って来るのは「勇者」の称号を

 持った剣士──なんで?


 バトルに巻き込まれた人々(NPC)を

 助けてるうちにいなくなったし。

 

 と思ったら。は? 「コミケ」?

 

 始まりです!


 がるどあ──ガルドアースウォーテイル第二章。

『憂鬱の魔導帝国』編(……こんなタイトルだったっけ?)。


 その本編シナリオ世界。

 まさにその帝国──

 レアルアーシア魔導帝国の帝都、ガルデン。


 文字通り絵に(というかCGで)描いたような青空の下。


 ちょっといろいろあって(コミケって……!)、心半分どこ行った状態のまま、風に遊ばれる風船のようにふらふらと流れてゆく「わたし」。


 リアル化したゲーム世界を「神視点」から眺めつつ、その「下」をゆく「ユナキ(わたし)」たち一行の後をついてゆく。


 リアルタイムで進行中の「最終章」からみれば過去の物語にあたる、がるどあの「本編世界」。


 そこでのわたしは、どうやら語り部としての「わたし」と、実際にゲーム本編の世界で行動する「ユナキ」とに分かれてしまっているらしい。


 それでも「わたし」の方は、こうして眼下の「ユナキ」を意識できる(その気なら「彼女」の視線からこの世界を見ることもできる)。


 けれど「ユナキ」の方は、「もうひとりの自分」が、神視点ポジから自分たちを眺めていることには気づけていないらしい。


 他の登場人物たちにも、基本的にわたしの存在は見えていないらしい。


 中には見えてるっぽいやつも約一名、いるけれど……


 そして「ユナキ」一行は、まさに今、その「彼」がいる場所へと向かって進んでいた。


 先頭を行くのは青髪ポニテ青年剣士、クロウくん。

 少し遅れて赤髪のツインテ「デミ」エルフ、ナナセちゃん。

 そして「わたし」──黒髪ロングの三つ編みお下げ少女、ユナキ。

 しんがりには巨漢の老戦士、グゲンさん(え、髪型? それは……まあ)。


 さらに、ユナキとナナセちゃんの間に挟まれるようにして、10歳くらいの女の子。

 空色髪のツインテ姫、ユユリコ・ういんでいる・なんちゃらかんちゃら……


『ユユリコ・ウインデイル・レアルイル=アルシアハート! ですにゃ!』


 あ、どうも……って。

 誰? 今あの子の名前言ったの!?


 きょろきょろと周りを見渡す──と。


 ユナキ一行を見下ろす石造りの建物の屋根の隅っこでうずくまっている猫を発見。


 世にも珍しい(ここではそうでもないのか?)ピンクと白のハチワレ顔が、ちらとこちらを見上げるようにして、にやっと笑った……ように見えた。


 まさか、あの猫が?

 いや猫なのか本当に?


 なんか猫耳の前にも白い突起がありますが。

 もしかして、ツノ?


 疑問だらけの中、当の「猫」があくびをしながら立ち上がる。

 こちらを見上げることもなく、役目は終えたとばかりに歩き出す。


「あ、待って、待って……」


 猫の方へ行こうとするが、体(?)は眼下のユナキ一行に引きずられる形で自由に動けない。


 仕方なく、下のユナキたちの会話に──「物語(シナリオ)」へと注意を戻す。


「とにかく帝星宮までは気を抜くな、みんな」


 先頭から声をかけるクロウくん。


 そういえば、彼を始め全員が戦闘モードのままだった。

 体を覆うアーマーに長剣や大弓。

 ユナキでさえ、自分の石の剣(イクタマソード)を背負っている。


 その上から白マントをつけているので、ちょっと見栄えが悪い。

 でも剣が大きいので腰に下げておくわけにもいかない。


 とにもかくにも臨戦態勢。

 って、ここは帝都で、そのど真ん中で。


 しかもその中枢──帝星宮へと向かっているのに。

 

 いくらゲームとはいえ、ガチ武装姿で大丈夫?


「みんな、すまん」


 ユナキの横を行くユユリコ姫が、前を向いたまま、


「本来なら、ハル……いや、護衛の者を伴わず街中へ出ることなどありえないのだが」


 なのだが! ──と二度言って。


「『あやつ』がまたしても御所を抜け出しおって! 何が『おなかすいた~』だ!」


 あやつ……って、もしかして「ゆーくん」?


 ゆーくん──ユユリ・ウインデイルくん。


 ユユリコ姫と同じ姿をした──というかたぶん同一人物。

 けれど心はとっても自由な不思議少年で(笑)。


 わたしにくっついて現実世界に出てきたり。

 さっきもパンをくわえて横道から飛び出してきたり。


 どういうタイミングで二人が入れ替わるのかはわからないけど。

 この様子だと姫の方は、あの子にかなり振り回されているらしい。


「いいですよ、ちょうどわたしたちも帝星宮へ向かうところでしたし」


 ユナキは、ちょっと背中の長剣を背負い直しつつ、


「さっきも、駆けつけて来た衛兵さんたちに話をつけてくれて、大ごとにならずにすみましたし。いてくれて助かりました」


 なるほど。

 そういうことになってるらしい。


 とにかく宿を出てから、一行はずっとトラブル続きだった。


 刺使徒(エクスブレット)たちの襲撃にあったり。

「勇者」の称号を持つ謎の青年剣士「レイ」と戦う羽目になったり。


 特に「レイ」さんとの戦いでは、街の建物が崩壊したりして、かなり大変なことになってしまっていた。


 けが人も出た。

 そこは治療士でもあるユナキが頑張って、どうにか人々を救うことができたけれど。


 もちろん彼らはNPCで、そういったバトルシーンに巻き込まれて右往左往するのが「役目」なのはユナキにもわかってる。


 わかってるけど、それでも見過ごせなかった。


 たかがゲーム。


 されどゲーム。


 それはこの「がるどあ」における、ユナキ(わたし)たち──ユナキとその弟くん、ユキくんとの合言葉。


 しかも今のユナキには、周りの全てが現実世界に準じた「リアル」なものに見えている。


 そんな世界で、実際に目の前で瓦礫に埋もれ、血を流している「人」を見過ごせるわけがない。


 いくら現場が厳しくて逃げだしたとはいえ、研修医となるまで6年間(受験を含めれば8年近く)、懸命に頑張って来た。

 

 そんな彼女には──わたしには、目の前の要救助者が、今その場で期続き苦しんでいる人々が、リアルかゲームのキャラか、プレイヤーかNPCかなんて、関係ない。どうでもいい。


 そこがゲーム世界だろうと。

 リアルの現実世界であろうと。

 救える命は救う。救ってみせる。


 もう二度と見捨てない。

 逃げない。逃げたくない。

 絶対に。


 ただそれだけだ。


 そんなユナキの姿にすっかり感化されたのか、その一件以来、かの姫はずっとユナキの傍にいるらしい。


 らしい──というのは、その時の「わたし」は、いわゆる「一方その頃」視点で、別のキャラクターにくっついていたからだ。


 勇者レイ。

 なぜか「勇者」の称号を持つ、謎の剣士。


 その彼の口から飛び出した「コミケ」って言葉。


『コミケ──コミックマーケット! そこがユナキとの真の戦いの場だ!』


 このゲーム世界にあっては、あまりに場違いな言葉。

 ましてそれを言っているのはゲームのキャラクター。


 その姿もあの神絵師がデザインして、開発会社のスタッフが作ったもの。


 だったらその行動もセリフも、あらかじめ用意されたものであるはずで。


 つまり誰かがそのセリフを書いているはずで。


 まさかトーヤ──魔王皇帝トーヤ?

 いや第二章ではまだ魔王皇帝じゃなったんだっけか。


 とにかくその正体は、元々このゲームの開発会社のチーフだった人。


 仕事(最終章作り)のし過ぎ+熱中症で亡くなったあと、このゲーム世界に転生した、わたしの元ダンナだった人。


 彼は現実世界の自分が心血注いでいた最終章の、その最後の舞台である魔帝城で、やっぱりこのゲームを作って(わたしの行動に合わせてリアルタイムでシナリオを書き換えて)いるらしい。


 死んでもそこでゲーム作ってるとか。

 どんだけ好きなんだ──ってのはさておき。


 だとしたら、先のコミケ云々は、彼が言わせたってこと?


 それとも最終章とは別に、本編は本編で別の誰かが作ってる?


 いずれにせよ、現実世界のわたしは、そのコミケに出展するがるどあ開発会社の広報さん──ミズカさんから、彼女たちの企業ブースのステージでコスプレしないかと誘われている。


 この「ミズカ」さんもちょっと謎な人なんだけど。

 まだちょっとよくわかわないってのが正直なところ?


 とにかく彼女は、ゲームキャラ姿のまま現実世界にいたわたしを見て即断したらしい。


 まあね、それはもうコスプレどころじゃないから。

 本人だから。


 これもさておき。


 とにかくわたしは、あれこれ考えた末、そのお話を受けることにした。

 そのコミケ──夏のコミックマーケットは、リアル時間で5日後。次の土曜から始まる。


 もちろんその前に、わたしの目的である「最終章挑戦」だって忘れちゃいけない。


 なんたってそれには、このゲームのサービス終了阻止=がるどあ世界の継続=魔王皇帝トーヤとの、二度目の──今度こそ最期の──お別れ阻止がかかっているのだ。


 本当はこんな「過去の世界」で、もたくたやってはいられない。

 さっさと最終章に戻って、先へ進まなくてはならない。


 でも今戻っても、たぶん先へは進めない。

 そこには間違いなく、ダンジョンから抜け出した「ドラゴン」がいるから。


 どうやってか現実世界に出現し、そのまま最終章のゲーム内まで追っかけて来た強敵。いや狂敵か。


 そのブレスは強烈で、わたしはもちろん、一緒にその場にいた(ボスクラスのスペックを持つ)魔剣士チハヤくんや、なぜか自分の車ごとゲーム世界に飛び込んで来た弟のユキくんごと「瞬殺」されてしまった。


 ちなみにがるどあの最終章では、一度死んだプレイヤーは二度と復活しないことなっている。

 強制的にログアウトされ、事実上その場で敗退が決定してしまう。


 ところがわたしは、なぜかログアウトせず、こうして過去のがるどあ世界に飛ばされている。


 ユキくんやトーヤのようにゲームに詳しくないのでよくわからないけど、もしかしたら、まだドラゴンによる瞬殺が「確定していない」のかもしれない。


 それがいわゆる「仕様」なのか、またもや例の「バグ」のせいなのかは別論。


 もしそうだとしたら、まだ最終章に戻れる可能性があるってことで。


 なんの根拠もないけれど、何よりこうして「物語」が続いているってことが、その証拠かもしれない。


 たとえばこの第二章──過去のがるどあ世界で何か変化を起こせば、未来の最終章へ戻った時、あのドラゴンがいなくなってるとか。


 ドラゴンの襲撃自体、なかったことにできるとか。


 その可能性があるから、わたしはまだ強制ログアウトされずに、こうしてゲームを続けていられてるのでは?


 もちろんすべては推測でしかない。


 だとしても、今はとにかくゲームを続けるしかない。


 大丈夫。ヒントはある。


 この第二章には、ドラゴンを操れるお姫さまがいるらしいのだ。


 しかもその彼女、マツリハ姫──マツリちゃんこそ、わたし──この第二章にやってきたユナキと、クロウくんたちを引き合わせた張本人なのだから。


 とはいえ現在、その彼女は行方不明で……って。


 あれ?


 みんなは? 「ユナキ」はどこ?


 気がつくと、「わたし」はひとりぼっちで宙にぷかぷか浮いていた。


 ちょっと、「神視点の語り部」がいなかったら、何もわからないじゃん!


 周りを見る。


 全体的にぼんやりしていて、よくわからない。

 まるで思いっきり度数のずれたメガネをしているよう。

 何も見えないし、目が回りそうだし。ちょっと頭痛もするかも。


 ばたばたばた、どこにあるかわからない「手」を振ってみる。


 お? 動くぞ?


 どこかへ移動してゆく。


 同時に視界も晴れてくる。


 そこはどこぞの宮殿内のようだった。

 見覚えがある。


 そうだ、あの廃聖堂に似た聖堂風のこの部屋は。


「帝星宮……って、わ? あれ?」


 高度が下がっていく。

 なんか重い。


 ばたばたばた。だめか。


 まるで夢の中でそれまで飛べていた空が飛べなくなって、落ちてゆくような。


 ずるずると、何かに引きずり降ろされるような。

 

 どこか水の中に引きずり込まれるような。


「なんだこれ……息が……でき……な……」


 どたん!


「わっ! ったたた!」


 思いっきりしりもちをついて、しばらくそのまま固まってしまう。


「何? わたしどうした──って? あれ?」


 じっと手を見る。

 なんか大きい。


 体を見る。

 シンプルな黒いワンピース。

 

 薄手の黒いストッキングに包まれた足。


 男物のつっかけ。


 ──それは。


「え? わたし? 戻ってる?」


 それはリアルの──現実の「わたし」。


 三つ編みお下げの推定17歳のゲームキャラ、ユナキ・ミツヤーではなく。

 ひっつめポニーの、満28歳の葬式帰りの社会人、光谷(みつや)優樹南(ゆきな)だった。


「これ、でもここ、リアルじゃない……よね?」


 周りは絢爛豪華な宮殿世界。

 もし現実世界なら、ここはルーブル宮かサクラダファミリアか。

 

「残念ながらどちらも間違い」


 声がした。

 聞きなれた声。


「ここはがるどあのゲーム世界。その本編第二章の舞台。帝星宮ラグナレクだよ」


 わたしは痛みを無視して立ち上がり、声のした方へ振り返る。


「ユキくん……」


 そこには、シンプルだけどひと目で上等だとわかる黒装束を纏った彼が立っていた(わたしのつるしの喪服とは大違い)。


「それは止めた方がいい。危険だよ」


「え──何が?」


「ゲームキャラじゃないその体で、こんなところに出てくるなんて」


 口調も、態度も、それはまったくユキくんそのままで。


「リアルの体で死んだら、本当に死んじゃうから」


「別に好きで出て来たわけじゃないし、わたしにも何がなんだか……」


 そんなわたしの混乱をよそに、「ユキくん」は淡々と、


「ここはゲーム世界。そしてナキ姉は『主人公』。物語として、いつどこでバトルに巻き込まれるかわからないんだから」


 そうなったらゲームキャラとは違う「生身」の体なんて、魔法弾の一発で文字通り即死だよって。


 そこにファンタジーはない。


 リアルな体でいるこの世界は、もうゲームじゃない。


「早く戻って。方法は簡単、それも一種のバグだから、まずインベントリを開いて、武器の生玉(イクタマ)ソードをいったん下げて……」


「聞かせて」


 わたしは言った。


「……何を?」


「もちろん、真実を。本当のことを」


「やめた方がいいよ?」


「やだ」


 男物の、歳矢(としや)の──この第二章世界のどこかで魔王皇帝の座を狙っているはずの男のつっかけで一歩進んで、さらに言う。


「聞くまでは戻らないから。たとえバトルに巻き込まれたって、ここを離れないから」


「脅迫?」


 あくまで口元の笑顔を引っ込めない「ユキくん」。


「あなたがもし本物のユキくんなら、わたしが死んだら絶対後悔するよ?」


「ナキ姉ほどじゃないと思うけど」


「……何? なんだって?」


「じゃあひとつだけ。おれはおれだけど、おれじゃない」


「──なんのこと?」


 ふう、とため息一つ。


 それで意を決したように、


「おれは──ユキくんは、ナキ姉の弟は、もういないんだ」


 死んでるんだ、と。


「二年前に」


 ナキ姉が、研修医をリタイアした年に。


 ──暗転。






























挿絵(By みてみん)

  ↑

 まあ本編はそれどころじゃないって

 感じですがww

 こちらはこちらで記念ということで( ̄▽ ̄;)

 

  ………あ、Earthの「r」忘れた(・_・;?

 ま、まあそのうち直しますよ?

 はい、きっと(^^;; ──直しました!

次回予告

 ……?

 …………?


 ええっと?

 

 以下次回……?


 おたのしみに?


 ……あれ?

 ドラゴンは? チハヤくんは? 

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