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27.リアルゲーム(世界の終わりまであと23日/3)

すべてはこの星のこの世界の小さな塵にすぎないけれど……


前回のあらすじ!

 ゲームキャラ姿でスマホもサイフもない中、

 やっと見つけたリアルマネー。

 でもそれはルービックキューブ型貯金箱!

 しかも4✕4とか極悪すぎる!


 どうなるかと思ったけれど、

 謎少女改め謎少年のおかげでさくっと解決!


 よしこれでユキくんとこ(実家)へ行けるぞ!

 ──たぶんww


始まりです!

 わたしは見事に色の揃ったルービックキューブ型貯金箱を、軽く上下にゆすってみせる。

 うん、重い重い。手応えじゅうぶん。


「はてさて、中身はおいくら万円入ってるかな、と」


「わくわく、ですね~?」


 なんの変哲もないごくありきたりな都内のアパートの一室。


 その部屋の真ん中に座り込んだわたしの手元をのぞきこむようにして、空色髪のツインテ少女……じゃない、ゲーム世界からやって来た謎少年ユユリくん──通称ゆーくんが身を乗り出してくる。


「待て待て焦るな。これ全部10円とか、そういう可能性もある!」


 こちらも負けじと、腰の下まで届く三つ編みお下げの黒髪を床の上に垂らしつつ、興奮でずり下がったメガネをくいっと戻しながら、


「じゃあ開けるよ? ええとこれか。よし──開けゴマ!」


 底にあるタイル状のふたを外す──と。


 ざら~~~~~~!


「うおう!」


 出てくる出てくる。


 しかも銀色でも銅色でもない。

 そして大きい。


 これは。

 

 この色は。この大きさは!


「500円玉じゃん! これ全部!?」


 形だけじゃなく、本当にぐるぐる回して遊べるタイプなので正直あまり期待してなかった。

 でもざっと見ても20~30枚くらいある。


「これ全部金貨ですか~?」


「ううん。ほら金色ってより、このへんとか色違うでしょ?」


「へ~。でもきれいです~」


「じゃあこれ、記念に」


 ピカピカの一枚を差し出す。


「いいんですか~!」


「これ解いてくれたお礼。まあとっといて!」


「ありがとです~!」

 

 ふわふわ喜ぶ謎少年。


 心なしか、本当に体がふわふわ浮いてるような気がするけど。

 頭の後ろのツインテが、風もない室内でゆらめている気がするけど。


 まあゲームキャラだしね。

 ……そういうことにしておこう。


「ひのふの……全部で28枚か」

 

 妙になじみ深い数だな。

 でも数字でいうなら、17枚とかよりは遥かにマシか。


 うん。やっぱり年上は正義!

 

「500円玉が28枚……1万4000円か」


 持ち運びはちょっとめんどうだけど、金額的にはじゅうぶん。


 あと確か、同じ硬貨って一度に使える枚数に制限あったはず。

 でも電車賃とか、ちょっとした食べ物を買うくらいなら問題ない。


「これでユキくんとこへ行けるぞ! ──さむ!」


 なんか寒いと思ったら、そうだ、エアコン最低温度でぶん回してたんだっけ。


「ええとミスタースコッティ、エアコンの温度は25度に。あと今何時?」


「25度に設定しました。時刻は午後7時12分です」


「ありがとうスコッティ」


「どういたしまして艦長」

 

 ……艦長?


 いやそれはともかく。


「午後7時か……そんなもんか」


 弟の大学四年生、ユキくん(22歳)のところでがるどあ──『ガルドアース・ウォーテイル』にログインしたのが、確か午後5時過ぎくらい?


 それから現実世界では二時間くらい過ぎてる感じか。

 実際にゲーム世界にいたのがどれくらいか実感ないけど。


 UR級の超難敵、魔剣士チハヤ・ルース──チハヤくんを大逆転でチビ魔狼化させ、仲間にしかけたものの、バグ絡みの強制ログアウトで気がつけばこの部屋にいた。


 感覚的にはあっと言う間な気もするけど。

 現実世界との行き来には時差があると言われたらそれまでだし。


 そのあたりはいったん戻ってユキくんと詰めるしかない。


 営団メトロ千馬木駅近くにある歳矢のアパートから、ユキくんのいるわたしの実家(京快線雑式駅)までは、寄り道しても1時間ちょっとか。

 時間的には問題ない。


 でも会社はどうしよう? うーん。

 一応忌引き扱いで3日は休めるから、あと2日ある。


 いいや。それも後で考えよう!


「さてと、じゃあとにかくまずはこの500円を入れる袋かバッグを……どしたの?」


 いつの間にかわたしの前から消えていたゆーくんが、歳矢の机の横、サイドボードに置いてあるAIスピーカーをのぞき込むようにして、


「今これ、しゃべってました~?」


 長い長いツインテを揺らせて振り返る。


「もしかして魔法、ですか~?」


「じゃないけど──そうだね、正直、たまにわたしもそんな気がするよ」


 だって普通に話しかけただけであれこれ答えてくれるとか。

 スマホもそうだけど、何気に世界がすごいことになってる気がする。


 わたしがその手のことに疎いだけかもしれないけど。


 でもほんと、もう電気仕掛けでなんでもできそうな勢いだし。


「まあ、いうなれば電気魔法──とか?」


「へえ~?」


「ちょっと話しかけてみる?」


「いいんですか~!?」


「ちょっとだけならね。こっちもその間に用意するものとかあるし」


 わたしは大量の500円玉を入れるものを求めて家探しつつ、


「最初に、ミスタースコッティ、って呼びかけて。あとは好きに話していいよ」


「はい~! ええと、みすたー、すこってぃ?」


「はい、なんでしょう艦長」


「かんちょう、って、なんです~?」


「主に戦闘を目的に作られた軍艦を指揮する最上位者に対する呼称です」


「ボクはそんな人じゃないですよ~。ボクは~……」


 あれ? と首をかしげる。


「ボクは、ええと……?」


「──わからないの?」


 部屋の中をあちこちがさごそやってるわたしに向かって、苦笑い。


「みたいです~」


「記憶がないの? ま、ゲーム内じゃよくある設定だよ。気にしないで」


 健忘──いわゆる記憶喪失。

 ひとことでそういっても、症状に応じてけっこう種類があるけれど。


 なんであれ、もし本当の人間だったらけっこう大ごとだ。

 何せ相手は脳内──脳みそが相手だから。


 救急外来ならまず最低限バイタルと血糖値、頭部CTはガチ。

 あと必要ならMRIも追加して──


「ゲーム? ですか~?」


「あ、気にしないで──それは」


「やっぱりここ、ガルドアースじゃないんですね~?」


 ──え?


 研修医モードから一気に引き戻される。


「ゆーくん、今、なんて?」


 体ごと振り返った空色ツインテの謎少年は、軽く頭を巡らせるようにして、


「そっか、ここがリアル世界──トーヤが言ってた現実世界、ってやつなんだ~」

 

 言って、ニコッと笑う。


 それを見たわたしの手から、まるで傷口からあふれ出た流血のように、ざらざらと500円玉が落ちてゆく。


「ゆーくん……ユユリくん、あなたは──」


 あなたは、いったい何者なの?


次回予告!

 最後の最後で衝撃の告白!

 ああ書いちゃった( ̄▽ ̄;)!


 どうするこれ? まだ間に合うぞ?

 編集する? このまま突き進む?

 

 どうなる次回! 乞うご期待!

 (とりあえず実家へ戻る予定……たぶんww)

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