16.説得!(世界の終わりまであと24日/11)
第十六話(15.)あらすじ!
今度こそカウントスリーで始まった
魔剣士ちーさん(銀狼のチハヤ・ルースくん)
とのガチバトル!
前回瞬殺された技こそ回避できたものの、
それ以降は防戦一方!
さらに肝心の説得作戦には予想外の邪魔が入って……
「え、わたしたち、手加減されてる──?」
いざバトル真っただ中の本編へ!
──だめだ!
勝手に口をついて出てくるバトルボイスをなんとかしないと、話すに話せない!
『ボイスは設定で消せる!』
襟の黒猫バッジから、ゲーム世界の外(現実世界)にあるスマホ経由で「わたし」を操って戦っている弟くんの声。
「せせ設定? どうやるの? きゃっ!」
敵──魔剣士チハヤ・ルース(チハヤくん)の重い一撃!
この子、小柄なわたしと大して体格差ないのにどうしてこんなに力あるの!?
「──『ヒーリア』、『ヒーリア』!」
治癒師の自動スキルが発動、がくんと減ったHPを回復する。
うわそういえばHPとか全然見てなかった。
はっは……助かった。
やっぱり治癒師でよかった。
『いやだめだろ! 「アリア」なら自分や仲間のHP見てないと!』
どんなピンチでも姉へのツッコミ&ダメ出しを忘れない弟くん。
『説得するなら早くしてくれ! 魔狼化されたらおしまいだぞ!』
「まろーか?」
『焔系2発の後、放っておくと──うわ! くっそ自分で調べろ! ほら!』
敵に重なるように半透明のウィンドウが開く。
ユキくんが操作して開いてくれたらしい。
バトル中に余計なことさせてごめん──うりゃ! 二連撃!
「よっ、はっ! ──このウィンドウ画面邪魔じゃない?」
『え、どれ!?』
そか、スマホ側で操作してるユキくんには見えてないのか。
とはいえ、わたしだってのんびり読んでる暇はない。
とにかく要旨だけを読み飛ばしていく。三連撃!
「えっと、……へえ?」
チハヤくんと重なったウィンドウに、自動で彼のキャラ設定が表示される。
それによると、チハヤくんはそもそも魔狼系のキャラクター。
真の姿は狼(魔狼)で、今の人の身は仮の姿らしい。
そういえば頭にケモミミ、あるもんね……かわいいからスルーしてたw
いや「w」じゃくて。
焔系の抜刀解放式技2回の後でさらに同系統の技を使うと、ええとそれが特殊技とかに変化して、狼の姿になるらしい。
いわばチハヤくん第二形態(いや彼にとっては元々こちらが真の姿か)。
もちろん各ステータスば爆上がり。
さらに魔狼姿で使える新たな瞬殺技もある。
現状でそんなモノに化けられたら、次の瞬間また瞬殺されて終わりそう。
もう「会話で説得」どころじゃない。
そもそも「魔狼化」したチハヤくんに、人の言葉が通じるかもわからないし。
今のところはユキくんが近距離での剣撃戦に持ち込んで、チハヤくんに遠距離攻撃=魔狼化の起点になる抜刀解放技を使わせないようにしている。
けれど、それもいつまで続けられるやら。
急がねば!
「設定せってい……バトルボイス……えいえい! あった! うりゃ──!」
バトルボイス──OFF!
「三連──!」
………………げ! ……げ?
「あ、あー? あー、……止まった?」
依然としてユキくん操る「わたし」は、目の前のチハヤくんと壮絶な鍔迫り合いを演じている。
何度叫ばされたかわからない連続技も出てる。
でも余計な声は出ない。やった!
よし、やっとわたしのターン!
いよいよ説得だ!
「──おい!」
そうそう、まずそんな感じで声をかけて……って?
「ええ──え?」
「おまえだ、おまえ!」
「は? わたし?」
あれ?
あれれ?
「聞こえてるならちゃんと返事しろ!」
相変わらず容赦ない(それでもユキくんに言わせれば「手加減してる」らしい)攻撃の中。
相手のほうから声、かけてきた──!?
「な、なんで──?」
がしん!
剣と剣が✕の字に交差して、一瞬両者の動きが止まる。
チハヤくんの金色の瞳が、まっすぐこちらを見ている。
「おまえ──誰だ!」
ぎく。
「え、えっと……」
まさか、わたしが「ゲーム世界の外から来たリアルの人間」だってバレてる?
「どうして我が主と同じ目の色をしている!」
チハヤくんの表情が、さらに厳しくなる。
「髪の色まで──その色は、漆黒は、この世界でただ一柱、あのお方のみに許されたものだ!」
あ、そっち?
……だよねえ。
「えっと、これは……」
激しいバトルで鼻先に落ちたメガネ(やっぱり芸コマ)越しに、えへ、と苦笑い。
ちなみにそのせいか、ウィンドウ内におまけで出ていたわたし自身のステータスでも、「命中率」が5%ダウンしてる。
細かすぎる……
「どうした! 答える気がないなら今すぐこの場から消し飛ばしてやる!」
「わわ待って、待ってって! ええと──」
この世界の魔王皇帝トーヤは、実は元々わたしのいた世界の人で、
だからわたしと彼は──歳矢は、実は同じ世界の人間で、
この髪や瞳の色が同じなのも、きっとそのせいで、
ぱくぱくぱく……口は動けど声には出せず。
だめかな、やっぱり?
「はっは、なんでだろね?」
「ふざけるな!」
手にした剣ごと突き飛ばされる。
起き上がろうとしたわたしの胸元へ、さらに突きつけられる細身の剣。
よく見れば、刀身にいくつか、星のような輝きを持つ宝石がはめ込まれている。
それぞれ七色の光を宿し、剣全体もうっすら炎に包まれてるようにも見える。
次の瞬間にも、その剣から瞬殺の焔が放たれそうな雰囲気。
死ぬ。絶対死ぬ!
魔狼化とか、もうそれ以前に終わってしまう!
でも身動きできない。体が動かない。
さすがのユキくん(バトル担当)も、逃げようがないらしい。
この剣、きっとSR級のレアアイテムなんだろなあ……SSRかも。
出しっぱだったウィンドウ画面が、わたしの視線に合わせるようにその剣に重なる。
浮かび上がる「七星剣」の文字。
ちなみにレア度はUR+☆4──URって何?
しち、せいけん? ……いや違うか。
文字の上に、いかにも中二病的なネーミングがついてる。
「ええと……せぶんす、セブンスセイヴァー?」
「──! おまえなぜこの剣の真銘を!? うわ!」
チハヤくんの手にしていたその剣が、いきなり輝き始めた。
「まさか、まさかそんな──!」
『そうか!』
何かに気づいたらしいユキくんが、外のスマホから何かの行動を選択したらしい。
『真銘解放・零式──真七星剣!』
勝手に口が開いて、「わたしの声」が叫ぶ。
瞬間、その剣にまとわりついていた炎が消え、代わって青い光を放ち始める。
同時に刀身に埋め込まれた星々のきらめきも増してゆく。
「うわ!」
剣がまるでチハヤくんの手を振り払うように離れ、宙に浮く。
『握れ!』
襟の黒猫バッジから、怒鳴るようなユキくんの声。
『バグだ! こっちは操作できない! 自分で動け!』
こんなときに!
わたしは手にしていた石製の自分の剣~ウィンドウには「生玉神剣/UR+☆3」の表示~を地面に突き刺すと(ごめんね!)、改めて宙に浮くチハヤくんの剣に目を向ける。
外の世界にあるスマホ画面ではフリーズしているらしい「わたし」の体に、力を籠める。
「動け、動け、動け……」
チハヤくんのほうも動けないらしい。
中空で七色に光る自分の剣を、信じられないという目で見ている。
「動け、動けったら──!」
やっと腕が上がる。
その手をのばす。
それを見て、チハヤくんも動こうとする。
ゆっくりとのびる彼の手。
宙で浮く輝く聖剣に、双方からのばされる手。
「渡す、もんか……!」
心の奥底から絞り出すような、苦悶の声。
「その剣だけは──絶対に!」
次回予告!
説得するはずが急展開のガチバトル続行!
ゲーム内のわたしたちに起きているのはバグ?
それとも──?
次回、いよいよバトル決着?
お楽しみに~~~!(緊張感なし(^^;ww)




