10.疑問(世界の終わりまであと24日/5)
⚠注)このエピソードの最後に、
凝りもせず作者謹製大暴走ラフ挿絵の第三弾掲載中です。
(完全期間限定/即撤回あり(^^;)
なお挿絵は、画面右上の「表示調整」内にある「挿絵表示中」を
クリックして、「挿絵を表示」とすることでOFFにできます。
挿絵の非表示を望まれる方は、お手数ですが上記の対応を
お願いいたします。
あれ?
あれれ?
「もう一回」
「なんだよ、何が見つけたのか?」
「いいから、お願い。もう一回」
モニタ画面の中で、先と同じ画像が繰り返される。
「……最初に見た動画も見られる?」
「いいよ」
わたしの真剣度が伝わったのか、素直に動画を再生してくれる。
それを見て、聞いて。
「──違う」
「違う……? って、何が?」
「声」
「声?」
「そう。声」
うん。間違いない。
「あー! だから声がどうしたってんだよ!」
わたしは、プレイヤーが大扉を出る直前でユキくんに止めてもらった画像を示しながら、
「わたしのときは、ここから出た瞬間、声が聞こえたの」
「どんな?」
「ええと、なんだっけ。確か……『死ねやこのオロカもーん!』みたいな?」
「誰ソレ?」
「さあ?」
でも状況を考える限り、思いつく相手はひとりしかない。
「わたしじゃなければ、チハヤくんだろね」
「チハヤくん? ……いや、でも、あれ? ここでそんな声入ってたかな」
止めていた動画を再生する。
「……別に何も聞こえないけど?」
プレイヤーや仲間キャラの掛け声や技名は別論、そもそも当のチハヤくんはほとんどしゃべらない。
声に出すのはせいぜい技名くらい。
あとはプレイヤーが倒れる直前、『ダメ、勝てないよ』って。それだけ。
「でも間違いないよ。わたしのときは、姿こそ見えなかったけど、大扉のすき間から出たとたんそう言われて、それで瞬殺? されちゃって」
「扉のすき間から出た?」
「そっか、そこも違うんだっけ」
動画では、プレイヤーが大扉に触れると、ばーんと開いてそれが開く。
そして仲間たちと一緒に外へと出てゆく。
わたしのときのような、半分外れかかったような形にはなっていない。
「ナキ姉、もしかして全然別のゲームやってる?」
「なわけないでしょが……でもないのかな?」
「あー、だからどうなってんだよ!」
ここらが潮時かな。
わたしはポテチの袋(とっくに空になっていた)を部屋のテーブルに置くと、改めて椅子に座るユキくんの前に立つ。
「ちょっと信じられないかもだけど。聞いて。最初はあいつ──歳矢が死んだって連絡受けて駆けつけたアパートで……」
「アパート? 病院じゃなくて?」
言われて、初めて気がついた。
そうだ、わたしなんでアパートに行ったんだろう。
その手の連絡を受けたら、普通なら真っ先に行くのは病院だろうに。
だってそこに「彼」はいるのだから。
「……もしかしたら、呼ばれたのかも」
「誰に?」
「彼に──魔王皇帝に」
何かいいたそうなユキくんを制して、わたしは先を続ける。
その部屋で、ガルドア世界へと転生した歳矢──魔王皇帝トーヤと出会ったこと。
その彼からの招待状でログインしたら、次の瞬間、自分もそのゲーム世界にいたこと。
「そこでは全部がリアルで、風の匂いも、光のまぶしさも。そうそう、鳥の声もしてた」
なぜか名前も知っている。キリツグミ。
それはたぶん、あの世界の「わたし」が知っている知識。
わたしは、手にあの石の剣の感触を思い出しながら、
「まあ見た目は今のわたしじゃなくて、ゲーム世界の人になってたけど──ただ」
「ただ?」
「後から検索してみたんだけど、見つからないんだよね、その画像」
そう。
あの黒髪の三つ編みメガネっ娘の姿は、公式/非公式/ファンアートの別なく、どこにもなかった。
あの斎場で。あいつの柩の前で。
ゲーム世界から戻ってから、ずっとその姿を探してた。
でも見つからなかった。
「黒髪メガネ? プレイアブルキャラで黒髪キャラなんていたかな?」
ゲーム開始の時点で、プレイヤーの分身となるキャラクターを選ぶことができる。
けれどその候補の中に、黒髪三つ編みメガネはいない。
このゲームはソロプレイが基本なので、差別化を目的としたキャラメイクはない。
最初に選べる女性型プレイヤーは、茶色のボブカット+青い目の少女。
あのときの「わたし」とは、似ても似つかない。
「いったいどうなってるの?」
「こっちが聞きたい」
うーむ。
わたしは、画面に出てる公式設定のキャラ一覧を眺めながら、
「いないねえ。確かに黒髪キャラは」
「だいたい黒い髪と目の色って、魔王皇帝ひとりだけだったはず」
言って、ユキくんは公式ページに上がっている「彼」のイラストを拡大表示させる。
魔王皇帝トーヤ。
正式には、魔王皇帝トーヤ・メレゲ・マキナス(やっと覚えた。)
もちろんリアルの彼が仮装したようなやつじゃなくて、ちゃんとあの絵師さんがデザインしたやつ。
すっごい美形。もしリアルの歳矢があれだったら、いろんな意味でヤバイ。ヤバすぎる。
はあはあ。
──じゃなくって。
「そうだ、これ聞いておきかったんだけど」
「何?」
「名前。魔法皇帝トーヤ──この名前って、昔から? ええとだから、このゲームが始まってからずっと、これだった?」
「そういえば、最初は違ってたかな?」
──え?
↑一応チハヤくん(のつもり)です。
彼自身もユキナと髪型(三つ編み)かぶってるな(^^:)




