剛腕との力比べ。唸る鋼鉄の拳
確定申告もあり、仕事も立て込んでいてストックが全くありません…。
お詫びと言ってはなんですが、次に連載する予定だった作品(12話分)を本日からこの3連休を使って随時upしていこうと思います。
『ラブ・オーバーフロー〜女神の祝福は魅了の呪いでした。メガネで98%封印しても、2%の漏れでヒロインが襲ってきます!〜 』という作品になります。
こちらの方も、ブクマ等応援していただけると嬉しいです。
「ちょっと、なんなのよこれ……」
あたしは、思わず自分の目を疑い、両手で目をゴシゴシとこすった。
「あ、おねえちゃん。おかえりなさい!」
ミリィの呑気な声。
なぜだか、まったくわからないけれど、あたしの目の前の平らな巨岩をテーブルにして、熱狂的な『腕相撲大会』が行われていた。
(……なんで、腕相撲大会が?)
魔王軍が攻めてきて、殲滅させて、異常な筋肉の幹部が出てきて……たしか、絶体絶命のピンチだったよね?
あたしの頭の周りを、ハテナマークががくるくると飛び回った。
「お嬢様、お戻りになられましたか」
リナが素知らぬ顔で、あたしの元へと歩み寄ってくる。
「えっと、リナ。これどういう状況?」
「ああ、これですか。実は——」
リナが、さもメイドとして当然の業務をこなしたかのような、落ち着いた声で状況を語り出す。
あたしが別空間に移動した直後。
タイタニスが「俺様は、あの小娘と戦いたいのだが、どこに行った!?」と、勝負を望んで暴れようとしたらしい。
そこでリナが「少々、野暮用で席を外しましたわ」と涼しい顔でこたえると、タイタニスは「ふんっ! つまらん、俺様は強いやつと戦いたいんだ」と言ってどかりと座り込み、あろうことか『あたしが帰ってくるまで待つ』と言い出したのだという。
しかし、ただ待つのも暇だからと、周りで震えていたドワーフたちを巻き込んで腕相撲大会が始まってしまった、とのことだった。
「……バカなの?」
あたしはつい、心の声をそのまま口から漏らした。
「ぐぬぬぬ……うおおおおお!」
目の前でカイルが、顔を真っ赤にしてタイタニスと腕相撲をして、あっけなく腕を沈められていた。
なんなの、このカオスな状況は……。
と、とにかく——。
相手が脳筋のバカだったおかげで、うまく時間稼ぎ出来たのだと思うことにしよう。
あたしは、深呼吸をして前へと歩を進めた。
……でも。
あんなに向こうの空間で、あたしはみんなのこと心配して胃を痛めていたのに……。
(あたしの、胃痛を返せえええ!)
時間差で、ふつふつと怒りが湧き上がってくる。
「……戻ったわよ!!」
あたしは、腕相撲をしていた、カイルとタイタニスの前へズンズンと進み出た。
「スズネ様! 申し訳ございません! 不肖このカイル、力及ばず負けてしまいました……! この情けない騎士に、罰をお与えくださいませ!」
カイルが申し訳なさそうに唇を噛みつつも、期待に満ちた表情を浮かべた。
「おお、小娘。逃げずに戻ったか! 」
耳がキーンとなるくらいのの太い声で、タイタニスは立ち上がり、不敵に叫んだ
「……まあ、被害が大きくならなかったからいいけど、あんたバカでしょ?」
あたしは冷ややかな目で、筋肉ハゲを見据えた。
「なんだと……?」
タイタニスの声が一層低くなり、顔が赤らんでいく。
それを見たドワーフたちが、蜘蛛の子を散らすようにサッと広場から離れていった。
「腕っぷしに自信があるみたいだけど、後悔させてあげるわ。勝負をつけるわよ……、変身っ!!!!」
あたしが左手のブレスレットを掲げて叫ぶと、世界が白銀の閃光に包み込まれ、体が装甲に包まれていく。
そしてお約束。勝手にポーズを決めるとあたしは叫んでいた。
「鋼鉄の拳で悪を砕く!装甲魔法少女サクラ!システム、オールグリーンッ!」
あたしは、タイタニスと同じように、腹回りの防御力ゼロの姿で広場でポーズを決めていた。
「おお! さっきの勇ましい姿に変身したぞ!」
「姉ちゃん、やっちまえ!」
「胴体どうした?」
その姿を見ていた周りのドワーフたちは、一斉に歓声を上げ、思い思いの言葉を口にしていた。
(うるさいわね! こっちは尊厳を削ってんのよ!)
さっきは、観客がいなくて逆に寂しいとか、すこしでも思ってしまった自分をぶん殴りたくなる。
ごつい手足のメカに包まれ、胴体だけ水着のような布面積の謎の女。
それがあたしだ!
(……もう、羞恥心なんて、どこかに行っちゃったわよ!)
あたしは、拳を握りしめた。
「ああ、お嬢様の、羞恥心を誤魔化すような、そのお顔……。ぞくぞく致しますわ……」
「おねえちゃん、その姿もかわいいよぉっ!」
「おお! スズネ様がタイタニスをねじ伏せるお姿、1秒たりとも見逃しませんぞ!」
リナ、カイル、ミリィ。毎度のことながら、背中から銃弾を打ってくる。
「いいから、あんたらは黙ってて!」
あたしは、肩をプルプルと振るわせた。
「いくぞ、小娘!」
タイタニスが、丸太のような太い足で地面を蹴る。
ドンっという思い音と共に、大地が振動した。
見上げるほどの巨体が迫ってくる。
速度はそれほどでもないが、圧倒的なきんにくのしつりょうが生み出す、とんでもないプレッシャーが放たれていた。
「いくわよ!」
あたしも負けじと背中のスラスターを吹かし、前へ飛び出す。
「うおおおおお!」
あたしの巨大な鋼鉄の右拳と、タイタニスの岩のような右拳が正面から激突した。
凄まじい爆音と共に、衝撃波が周りの砂や小石を円状にを巻き上げる。
拳の反動でズズズ……とお互い後ろに弾き飛ばされるが、スラスターを噴射させ踏ん張って堪える。
「ガハハハ! なかなか、やるじゃねえか! この俺の拳を正面から受け止めるとは」
タイタニスが、大胸筋をピクピクさせながら歓喜の声を上げる。
「あんたも、なかなかいいパンチしてるじゃない」
あたしたちは、お互いに睨み合いながら、ジリジリと距離を詰めていく。
そして——。
ガシィィィンッ!
あたしの鋼鉄の指と、タイタニスの極太の指が、プロレスの力比べのようにガッチリと組み合った。
「ほう! 俺様と力比べをしようってのか? おもしれえっ!」
タイタニスの腕の血管が隆起し、恐ろしい力が込められる。
あたしのロボアームもけたたましい駆動音を上げ、真っ向からのパワー勝負が始まった。
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