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【9000PV感謝&4章完結】異世界★魔法少女― 転生初日に聖女扱いされましたが、変身が罰ゲームすぎます! ―  作者: もりやま みお
第4章 鉄の掟と、鋼の乙女【ドワーフの里編】
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回復の代償

 魔王軍幹部タイタニス。

 ふざけた格好だけど、実力は本物みたいだ。

 威圧感というのだろうか、肌にビリビリと感じる魔力。


(これ、魔力切れのあたしに勝てる相手じゃないでしょ……)


 額に冷たい汗が浮かぶ。


「カイル。あんた、あいつに勝てそう?」

 あたしは、隣で剣を構えるカイルに小さく尋ねた。


「……分かりません。ですが、このカイル。スズネ様が勝てというなら、この命を賭けて勝って見せましょう!」

 カイルはそう言って、力こぶを見せた。


『今のカイルじゃ勝てないだろうね』


「ちょっと待って! カイルがダメでガラムが負傷している今、誰があいつに勝てるっていうのよ!? あたし魔力切れよ?」

 冷静に言い放つアルに、あたしは頭を抱えた。


「なんか、一瞬で魔力回復する方法とかないの? なんか、ポーションとかそういうの」


『スズネの膨大な魔力を回復するようなポーションは、この世界には存在しないよ。……ただ、回復する手段がないわけじゃない』


「え?あるの?あるならさっさと言いなさいよ!」


「でも、この方法はデメリット、というか、代償が必要なんだよ」


「……代償?」


 嫌な言葉の響きに、あたしは思わず息を呑んだ。


「スズネ。君には今から、この世界とは時間の流れが違う別空間に行ってもらう。あちらの時間は、この世界よりも早く経過する。君はそこで半日から一日を過ごす。そして、魔力を回復させて帰ってくるんだ。こちらの世界ではだいたい10分ってところかな」


「10分……」


 魔王軍の幹部を前にすると、あまりにも長い時間に感じる。

 カイル、リナ、ミリィ。この3人で幹部相手に持ちこたえられるだろうか?

 でも、やるしかない!

 どのみち、魔力が空っぽの今のあたしじゃ何もできないんだから。


「で? 代償ってなんなの?」


『向こうにいた時間分だけ、こちらで過ごしたことになる。つまり、向こうで一年過ごせば、こちらでも一年歳を取るってことさ』


「……つまり?」


『こちらのスズネも、1日分年を取るってことだね』


「……は!?」


 あたしは、我ながらアホな声を出した。

 当たり前すぎる……。つい、体操を踊りたくなるぐらいに。


「それだけ?」


『それだけだよ』


「何が代償よ。当たり前のことじゃない!」


 あたしは、無駄にもったいつけたアルに履き捨てるように言うと、即座にカイルとリナに向き直り、指示を出した。

「カイル、リナ! いい?あたしは魔力を回復させるために10分ここを離れる。だから、あの筋肉ハゲを10分だけ足止めして!」


 カイルと、リナもあたしの加護で強化している。

 10分位であれば、なんとか足止めくらいはできるはず……いやmしてもらわないと困る!


「スズネ様。不肖このカイル。全力で10分足止めして見せましょう!」

「お嬢様のために時間を稼ぐ。……メイドとしてこれ以上の名誉はございませんわ」


 二人はいつになく真面目な顔で、あたしの目を見て頷いた。


「あと、ミリィが無理をしないように、しっかり監視しててね!」


 あたしはそう言って、ミリィの頭を撫でた。


「ミリィ、あたしは10分席を外すから、リナとカイルの言うことをよく聞くのよ?」


「わかったよ、おねえちゃん」

 ミリィの素直な返事に後ろ髪を引かれながら、あたしはアルに向き直った。


「アル!さっさとその別空間とやらを開きなさいよ!」


『はいはい。魔法の扉(マジカル・ドア)!』


 アルが短く鳴くと、あたしの目の前の空間がぐにゃりと歪み、扉が現れた。

(なんか、また青い猫型のやつっぽいけど……)

 あたしはあえてツッコまずに、光の中へと飛び込んだ。


 ◇


「……な、何ここ……」

 扉を抜けると、雪国……いや、何もなかった。

 上も下もわからないような、ただただ真っ白な空間。

 部屋なのか、そうでないのかも分からない、

 なのに、なぜか目の前にベッドが一つ。異彩を放つように存在していた。


(……とりあえず、何も考えないで寝て休めってこと?)


 あたしはベッドにだいぶした。


「最近、バタバタでゆっくりできてなかったし、魔力切れで疲れてるし、とりあえずゆっくり寝るか――って、そんな簡単に寝れるわけないでしょ!!」


 あたしの、ひとりノリツッコミが、真っ白な空間に響き渡った。


(音は反響するのね……)


 いや、そんなことはどうでも良かった。

 あたしがここで一日過ごせば、魔力は満タンになる。

 でも、あっちの世界では今もカイルやリナ、ミリィが、あの筋肉ハゲ――タイタニスを相手にして10分無事でいられる保証なんてないのだから。


 ……。


 静かすぎる空間が、不安をかき立てる。


「あーもう!心配で胃に穴が開きそうっ!」


 あたしは立ち上がり、ウロウロと歩き回った。

 ラジオ体操をしてみたり、無意味にスクワットしてみたりしたけど、全く気が紛れない。


(カイルが血まみれになって……、リナが庇って……、ミリィが泣き叫んで……)

 最悪の想像ばかりが頭をよぎる。

 早く。早く回復して!

 あたしは真っ白な虚空に向かって、何度も何度も祈り続けた。


 でも、気がついたらあたしはベッドで、これでもかと言うくらい、ぐっすりと眠ってしまっていた。

 映画館で寝てしまって、やばい!って起きた時のような罪悪感。

 意外と一日ってあっという間なのね……


(……めっちゃスッキリしてしまった)


 繊細なフリをしても、疲れには勝てないってことよ。

 うん、そう言うことにしておこう。


『魔力は回復したみたいだね、スズネ』

 何もない空間にアルの声が響いた。


「アル!もうバッチリよ!おかげさまでぐっすり休ませてもらったわ!」


 あたしがそう言うと、目の前に、音もなくあの扉が現れた。


「さあ、帰還よ! みんな、どうか無事で居て!」

 全身にみなぎる魔力を感じながら、あたしは悲壮な覚悟と共に、元の世界へ繋がる扉へと飛び込んだ。



 ◇


 悲惨な戦場。血の海に沈む仲間たち。

 そんな最悪の光景を覚悟していた、あたしの視界に飛び込んできたのは、予想の遥か斜め上をいく、信じられないような光景だった。

いつもこの作品をお読みいただき、ありがとうございます。


確定申告もあり、仕事も立て込んでいてストックが全くありません…。

お詫びと言ってはなんですが、次に連載する予定だった作品(12話分)を本日からこの3連休を使って随時upしていこうと思います。

 『ラブ・オーバーフロー〜女神の祝福は魅了の呪いでした。メガネで98%封印しても、2%の漏れでヒロインが襲ってきます!〜 』という作品になります。

こちらの方も、ブクマ等応援していただけると嬉しいです。


『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします!


面白かったら★5つ、つまらなかったら★1つ、正直な感想で結構です。


また、ブックマークもしていただけると嬉しいです。

皆様の応援が、作品執筆のエネルギーになります!

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― 新着の感想 ―
終わったんですね!やったー!楽しみです! スズネちゃん、魔力切れだなんて....。 代償が怖くなくて良かったです、眠れないって大丈夫かな? あ、あれ.....?ね、眠れないって言ってなかったっけ? か…
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