魔族の襲来! 翔ける自由の翼!!
「着信……!? ミリィから!?」
あたしは慌てて着信を通話へと切り替える。
脳内に響いたのは、泣き叫ぶようなミリィの声だった。
『おねえちゃん! たすけてっ!!』
「ミリィ!? どうしたの、何があったの!」
『ま、魔物が……! すっごくいっぱい、下のほうから……!』
通信の向こう側から、ドワーフたちの怒号と、建物が破壊される凄まじい轟音が聞こえてくる。
『ラビドルの人たちも戦ってるけど、敵が多すぎて……! ガラムおじちゃんが、ミリィを庇って、大怪我を……っ! おねえちゃん、早く、早くきてぇぇっ!』
「――ッ!!」
通信がノイズと共に途絶える。
「ミリィ! ミリィ!!」
坑道を飛び出したあたしたちの目に飛び込んできたのは、山の麓の平野部に見える、数千にも及ぶ魔族の大群だった。
「……ちょっと、冗談じゃないわよ」
あたしは、拳をギュッと握りしめた。
ミリィが泣いている。
あたしたちの仲間が傷ついている。
(イフリシアが言っていたのは。こういうことだったのね……)
魔族の侵攻。
まさか、ここまでの規模で来るとは想定外すぎる。
ミリィの焦った声からしても、一刻の猶予もなさそうだった。
このままではミリィもドワーフの里も魔物に滅ぼされてしまう。
「行くわよ! あたしの妹に手を出した連中、片っ端からスクラップにしてやる!! 『変身っ!!』」
あたしが叫ぶと同時に、体をまばゆい白銀の光が包み込み、あっという間に先ほどの装甲に身を包む。
やっぱり、ボディが気になるけど、そんな事を気にしている場合ではなかった。
(アル、飛べるのこれ?)
『もちろんさ』
アルはあたしの肩の上で、得意げに尻尾を振る。
(……りょーかい!)
ちょっと嫌な予感もするけど、今は時間が惜しい。
『スズネ。バーニア、起動するよ!』
(え? バーニア!?)
あたしの背中に付いている機械の羽が、ガシャァンッ!と重低音を立てて横に広がっていく。
直後、羽の下に付いているノズルから、ものすごい勢いでパステルカラーの魔力が噴射され、あたしは一瞬のうちに大空へと射出された。
「あばばばばばばば!」
舌を噛みそうになるほどの強烈なGが、あたしを襲う。
まるで打ち上げられたロケットのように、ものすごい勢いでぐんぐんと空へ上昇していった。
あっという間に下の景色が、どんどん小さくなっていく。
(制御しないと! 死ぬ、死んじゃうううううう!!)
あたしは半分パニックになりながら必死に止まるイメージを頭に思い浮かべる。
バーニアの噴出が徐々に小さくなっていき、なんとかスピードを抑えて空中で静止することができた。
「ば、バカなの?! このまま宇宙までぶっ飛んでいくところだったじゃない!!」
あたしは目に涙を溜めながら、大気圏まで突っ込んで燃え尽きる自分を想像して震えた。
空中に魔力でふわりと浮きながら「もふん」と鳴くアルを横目に、あたしの動悸は未だに収まらないでいた。
(い、今は、そんな事言ってる場合じゃない!)
気を取り直し下を見下ろすと、何百、いや何千はいるであろう魔族の軍勢が見える。
ドワーフの里へは一次攻撃を行っただけのようで、本体は平野部で突撃の時を、今か今かと待ち侘びているかのようだった。
『里の方はとりあえずは、なんとかなりそうだね。一旦は撃退したみたいだ。ミリィも無事だよ』
アルの言葉に胸を撫で下ろす。
しかし、次の攻撃に持ち堪えられるとは到底思えなかった。
「数が多すぎるわね……」
あたしは魔族の軍勢を見下ろしながら、小さく呟いた。
『スズネ。強制合体だよ。ドッキングして敵を一網打尽にするんだ』
アルが怪しげに口元を緩めながら言った。
(……嫌な予感がするんだけど)
『いくよスズネ! ドッキングモードだ!』
あたしの不安を尻目にアルが叫ぶと、左手のブレスレットが激しく輝き出す。
直後、ブレスレットから巨大な魔法陣が空中に展開され、あのボロボロになったはずのスワンボートが勢いよく飛び出してきた。
(うそでしょ!? あの人力ペダルのポンコツ白鳥!?)
あたしの額につーっと冷たい汗が流れる。
『そう、そのまさかさ! システム・ドッキング!』
「ええええええええ!!」
あたしの絶叫と同時に、巨大な鉄の白鳥がガシャン!ガゴン!と鼓膜を震わせる重低音を立てて空中で分解した。
いや、分解というよりは、それぞれのパーツが精密な歯車のように組み合わさり、新たな兵装へと形を変えていく。
白鳥の巨大な胴体パーツが、あたしの背中の羽の部分へと吸い寄せられるように集まる。
そして、次々に背中のパーツと組み合わさり、形を成していく。
重厚な金属音が響き、白鳥の羽が大きく扇状に展開して、無数の光を放つ複数の砲塔へと変形する。
さらに、白鳥の頭部パーツがガシャガシャと形を変えながらあたしの頭部に装着され、メカニカルなヘッドギアとなった。
ピピピッ……ウィキィィィン!
あたしの目の前に、緑色に発光するホログラムディスプレイが展開される。
(おおお……! なんか、再放送で見たロボットアニメみたい! ちょっとカッコいいかも!)
と、思った矢先のお約束。
あたしは、勝手に体を操られ、空中でポーズを決め叫んでいた。
「装甲魔法少女サクラ!フリーダムモード!システム、オールグリーンッ!」
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次話の更新についてなのですが、確定申告が迫っており、執筆の時間が取れないため、確定申告後(3/16以降未定)とさせていただきます。
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