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【9000PV感謝&4章完結】異世界★魔法少女― 転生初日に聖女扱いされましたが、変身が罰ゲームすぎます! ―  作者: もりやま みお
第4章 鉄の掟と、鋼の乙女【ドワーフの里編】
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英雄候補ガラム

 里長に教えられた通り、里を奥へと進む。

 火山の影響で活気のない、この里で目的の建物は明らかに異彩を放っていた。


「……ねえ。 本当にここなの?」


 あたしは、目の前の光景に目を疑った。

 石造の工房が立ち並ぶ中、そこの入り口の看板にはファンシーな丸文字で「ガラムのカワイイ工房」と書かれている。


 カワイイ工房?

 ……えっと。

 確かここ、ドワーフの鍛冶屋だよね?


 嫌な予感がして、入るのをためらっていると、中から太く低い怒鳴り声が響いてきた。


「違う! お主らはカワイイについて何もわかっとらん!」


 カーン!カーン!という甲高い金属音に混じって、暑苦しい説教が聞こえる。


 あたしたちは顔を見合わせ、恐る恐る工房の扉を開けた。


 熱気がこもる工房の中央。

 赤々と燃える炉の前に立っていたのは、見事な筋肉の鎧を纏った、丸太のように太い腕を持つドワーフの男だった。

 立派な髭を蓄え、額に汗を光らせてハンマーを振るう姿は、まさに腕利きの職人。


 ――ただ、決定的に、いや。絶望的に、頭がおかしかった。


 その豊かな髪は、なぜか左右二箇所でキッチリと分けられ、それぞれピンク色の小さなリボンでまとめられている。

 あごひげは三つに編み込まれ、鮮やかなピンク色に塗装されたハンマーを振るう動きに合わせて、ぷらぷらと左右に揺れていた。


(……これが、英雄候補? 完全に変人じゃない!!)


 あたしの中の「豪快で頼れるドワーフのおっちゃん」像が、ガラガラと音を立てて砕け散っていく。


「ええー! でもガラム先生ぇ、衣装とか、リボンとフリルが多すぎる気がしますぅ〜!」

「そうだよぉ! 私たち、もっとシンプルな可愛さがいいんです!」


 ツインテール髭ドワーフの前には、先客がいた。

 派手な装飾の鎧やローブを着た、いかにもアイドルといった風貌の、可愛らしい人間の女の子三人組だ。


「分かっとらんの! アイドルのカワイイとは()()()なのじゃ! 短い丈! メンバーカラー! そして絶対領域! お主らの好みなど聞いておらん。 ファンが見たいのは『完成された虚構』としてのカワイイなんじゃ! 恥じらいを捨て、笑顔でどんな衣装でも着こなしてみせる……それこそがプロのアイドル冒険者じゃろうが!」


「「「えええ〜……」」」


 女の子たちが、心底嫌そうに文句を言っている。


(……なんか、すっごいカオスな空間にお邪魔しちゃった気がする)


 あたしが入り口で固まっていると、後ろからリナが涼しい声で解説を始めた。


「お嬢様。 あの方々は、王都を中心に活動するAランク冒険者パーティ、迷宮乙女(ラビリンス・ドールズ)、通称ラビドルの皆様ですわね」


「え、Aランク!? あんな若い女の子たちが?」


「ええ。 ですが、実力はCランクにも満たない程度。熱狂的なファンたちからの過剰な支援と、ギルドへの多額の寄付によってAランクに押し上げられた……ある意味で、冒険者業界の闇を体現したようなアイドルグループですわ」


 リナの容赦ない辛口解説に、あたしは思わず苦笑いした。


 なるほど、冒険者アイドル。

 実力不足を補うために、あるいはもっと人気を出すために、腕利きの職人であるガラムに、装備を頼みに来ているわけか。


「ん? なんじゃお前さんたちは。見ない顔じゃな」


 ガラムが、ピンクのハンマーを肩に担いでこちらを振り返った。

 同時に、ラビドルの三人もこちらに気づく。


「あ、ほんとだ。可愛い子! ねえねえ、もしかして君もガラム先生にプロデュースしてもらいに来たの?新しいアイドル志望?」


 リーダー格らしい、水色基調の衣装に身を包んだショートカットの女の子があたしに駆け寄ってきた。


「あ、いえ! あたしたちはただの旅人で……武器の強化と、他にも、まあ色々と……」


 あたしが慌てて否定すると、女の子たちは「なんだぁ」と少し安堵したような、親しげな笑顔を見せた。


「私はリーダーのリノ! こっちはコトミと、ナナよ。私たち、ガラム先生にずっとプロデュースしてもらってて、今度の王都のイベントに向けて、特注の()()()装備を作ってもらってるんだけど……」


 リノが、ガラムが作った衣装を指差す。

 現代のアイドルグループが着てそうなブレザー風の衣装や、メンバーごとのカラーのものなど、まさにアイドルらしい衣装が並んでいる。


 いやいや、待て待て。

 なんで髭面のドワーフが、アイドル冒険者をプロデュースしてるのよ。

 カワイイ工房ってこう言うこと?


「私たちそれぞれ、水色、赤、ライトグリーンって担当カラーを決められちゃってるの! ほんとは、もっと好きな色を着たいのに!」


(……わかる。 その、本人の意志を無視して理不尽な設定を押し付けられる感じ、すっごくわかるわ……!)


 あたしは、毎度毎度アルに恥ずかしい変身を強制され、羞恥心と戦っている自分の境遇と重ね合わせ、深く、深く頷いた。


「大変よね……。 理不尽なコスチュームを着るのって、本当に疲れるっていうか……」


「そう! そうなのよ! わかってくれる!?」


 あたしが心からの同情を寄せると、ラビドルたちは「この子、めっちゃいい子!」とばかりにあたしの手を握り、あっという間に意気投合してしまった。


「おいおい、そこの小娘。 わしのカワイイ理論にケチをつける気か?」


 ガラムが、三つ編みの髭を揺らしながら、ずんっと前に出てきた。


「お前さんたちは何の用じゃ? わしは今、この『迷宮乙女(ラビリンス・ドールズ)のプロデュースで忙しいんじゃが」


 謎のアイドルプロデューサードワーフ、ガラム。

 ここに来てから色々と情報が多すぎて、何から伝えるべきか、あたしは頭を抱えたくなった。

いつもこの作品をお読みいただき、ありがとうございます。


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ガラムさん、かわいいの好きなんだ笑
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