表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【9000PV感謝&4章完結】異世界★魔法少女― 転生初日に聖女扱いされましたが、変身が罰ゲームすぎます! ―  作者: もりやま みお
第4章 鉄の掟と、鋼の乙女【ドワーフの里編】
74/86

ようこそドワーフの里へ

武器やハンマーを構えたドワーフのむさ苦しい男たちが、唖然とした顔でこちらを取り囲むなか、スワンボートの背中のハッチがプシューッと開き、あたしたちは恐る恐る外へ出た。


「あ、あの……! 怪しい者じゃありません! ただの旅人で……ちょっと着地に失敗しただけで……!」


あたしが必死に愛想笑いを浮かべて弁明すると、ドワーフたちは一瞬キョトンとし、やがて警戒を解いて武器を下ろした。


「なんだ、人間の嬢ちゃんか。 それに、女と男……と、フェネックのガキ?」

「空から降ってきたから、てっきり敵かと思ったべ」


どうやら、すぐに敵対されるような雰囲気ではないらしい。


あたしはホッと胸を撫で下ろした。

……けれど。


(なんか、活気がないわね……?)


伝説の職人たちが集まるドワーフの里。

さぞかし、あちこちで「カーン!カーン!」と威勢のいい鍛冶の音が響き渡り、活気に満ち溢れている……と、勝手に想像していたのだけれど。


見渡す限り、ドワーフの男たちはどこかどんよりと肩を落とし、ため息をつきながら歩いている。

鍛冶場らしき建物の煙突からも、弱々しい煙しか上がっていない。


「何事じゃ、この騒ぎは」


群衆を掻き分けて現れたのは、ひときわ立派な白い髭を蓄えた、恰幅の良いドワーフのお爺さんだった。


「里長!」

「空から人間の旅人が降ってきたんでさぁ」


(長! やっぱりファンタジーの村といえば、最初は村長よね!)


「ワシはこのガルガン・ガ・ガルダン山脈のドワーフの里を束ねる長、フォージじゃ。 して、人間たちが我が里に何の用じゃ?」


「はい! 実は、人探しと、仲間の武器の強化と、この子の()()()()を教えてほしくて来たんです」


あたしは、カイルとミリィを前に出して事情を説明した。

すると、フォージは深々とため息をつき、自慢の白い髭を撫でた。


「ふむ……。 遠路はるばる来たところ悪いが、武器の強化は無理じゃな」


「えっ? どうしてですか?ドワーフの里なのに?」


「今のこの里には、ロクな鉱石が残っておらんのじゃ。 というより、採れんようになってしもうてな……」


フォージの話によると、こういうことらしい。


「つい先日、南の方にある火山が突然、大噴火を起こしてな。 その影響で起きた大地震のせいで、里の命綱である鉱山の一部が崩落してしもうたんじゃ」


「……へっ?」


「その崩落で、採掘ルートのど真ん中に巨大な岩盤が落ちてきてな。 完全に道が塞がれてしもうたんじゃよ。 あれをどかさない限り、新しい鉱石は採れん。まさに里の死活問題じゃ」


…………。

……ちょっと待って。

南の火山が、突然大噴火?

つい先日?


(それって……)


アクアヴェーネの地下で、暴走する火脈を物理的に凍らせて蓋をした結果、行き場を失ったマグマが周囲の山々から一気に噴火した、あの大惨事。

あれが、こんな遠く離れたドワーフの里にまで甚大な被害を及ぼしていたなんて!


「お嬢様、顔色が真っ青ですわ。 お加減でも?」


リナが、すべて分かっているくせに、ワザとらしく小首を傾げて聞いてくる。


「な、なんでもないわ! そ、それで、その岩盤を壊せばいいんですよね? ドワーフの皆さんの力なら、岩の一つや二つ……」


「それが、ただの岩ではないんじゃ」


フォージは顔をしかめ、忌々しそうに吐き捨てた。


「落ちてきた岩盤は、対魔鉱石の塊で魔法を弾く厄介な代物じゃ。 かなりの硬度で通常のツルハシはもちろんのこと、ワシらが得意とする、魔法付与されたツルハシも一切通用せんのじゃよ」


「対魔鉱石……魔法が効かないってことですか?」


「左様。 あれを砕くには、魔法の力に頼らない、純粋かつ圧倒的な物理的破壊力が必要なんじゃが……そんな力を持つ者など、この里にはおらん」


フォージががっくりと肩を落とす。


「どうじゃ、事情は分かったじゃろ? 武器なら作ってやってもいいが、鉱山が今の状態ならどのみち作れんのじゃ」


(なんてこと……! 完全にあたしのせいじゃない!)


「ただ、そのチビっ子の力の制御なら、心当たりがないわけでもない」


「本当ですか!?」


「うむ。 ワシの知り合いにガラムというヤツがおってな。腕は確かじゃ。 あと数年もすれば、ワシより強くなるじゃろうが、まだまだワシの方が上じゃ!」


フォージはそこだけは譲れないとばかりに、フンッと鼻を鳴らした。


(おっ! ガラム! アルが言ってた、九英雄の一人のドワーフね!)


『ビンゴだね、スズネ。 まずはそのガラムって人に会いに行こうか』

アルが肩の上でニヤリと笑う。


「ただ、あいつはちょっと……いや、かなり変わっておるからな。 まあ、会ってみれば分かるじゃろう」


フォージがどこか遠い目をして呟いた言葉の意味を、この時のあたしはまだ理解していなかった。


ドワーフの戦士ガラム。

豪快で頼れる常識人のおっちゃん(というあたしの勝手な妄想)という思い込みは、この直後、跡形もなく砕け散ることになるのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ