092(再び襲来)
「空挺に乗ってる暇はない。急ぐぞ」
「急ぐってどうやって!?」
「本気を出すだけだ」
「ええー!? ソウは手を抜いてこの速さ?」
「安全マージンと言ってくれよ、アハハ」
俺はペースを上げる。行きに時速60キロメートルで曲がったコーナーを帰りは80キロメートルで曲がる。
「怖い……」
「ジャックみたいな事を言うな!」
「だって……」
遅れて走ってる対向車が邪魔だな。
何度か事故りそうになったが、長い直線まで来た。もうさすがに対向車はないだろう。フルスロットルで8000回転でギアチェンしていく。7速、420キロメートル。ロイ親方、良いチューンとセッティングだ。
「ソウ! 何キロ出してる!?」
「420キロくらいだよ。ウィンドウは開けるなよ? 小さな塵でも眼に当たれば、大ケガだ」
「そんな事しないよ!」
俺の魔力負荷が増大する。左太ももに当たるギアボックスもかなり熱い。
「やっぱ、レースって楽しいな〜。減速するぞ」
「あっ……ああ」
俺はヒール&トゥでエンジンブレーキとフットブレーキを使い、減速して郊外に戻ってきた。あと少し……。
塔の辺りは空が赤くなっていた。悪魔め!
沿道にはたくさんの観客が沸いている。凄い熱気だ。俺はコーナーでクラッチを蹴り、カウンターを当てて、ドリフトを魅せながら、郊外を駆け抜けていく。
塔のゲートが見えてきた!
「ゲートをくぐれば、ゴールだよ」
「1位…………フィニッシュ!」
俺のスカイレインがゴールテープを切る。しかし、余韻に浸ってる時間はない! 悪魔退治だ!
俺はスカイレインを適当に停めて、シートベルトを外す。
「メンソ国王は玉座の間にいらっしゃる。テレパシーをしてくれ」
「分かった」
俺は目を閉じて、こめかみに指を当てる。電話のイメージ、電話のイメージ。
「メンソ国王か? 俺だ、ソウだ。悪魔は?」
『ソウ、早かったな。今、戦闘中だ。しかし、悪魔の下っ端を生け捕りにした。すぐにGTラークに乗って、残りを倒してくれ』
「了かっ……」
ガシャーン! ……スカイレインが爆発した!? いてえ…………俺のスカイレインがグシャグシャになった。土埃でよく見えないが、周りにも被害が出てるようだ。
「スコット! スコット!」
「ううっ…………ソウ、大丈夫か?」
「今、回復してやる」
スコットの左腕と脚が吹き飛んでいた。




