083(お見合い)
俺はシェフに10万イース札を支払う。シェフは右手で指先を擦る。チップか、図々しいな。しかし、高い肉に一流の料理人……仕方ない。俺はシェフに1万イースを追加で支払う。
「ありがとうございました〜」
手持ちは、残り188万8000イース。まだまだ金持ちだ。さっさと食おう。
俺は銀のフォークとナイフを持ち、逆鱗のステーキを切る。柔らけえ。フォークで口に運び、食べる。ゴクリ……。歯が要らないほど柔らけえ。溶けた! とろけた! 美味い! 脂身もしつこくなく、こってりなのにあっさりもしてる。
俺は食べ終えて、バロン酒を持ち、部屋に帰る。
『ソウ、聞こえるか?』
テレパシーか。ドラゴン肉のステーキの支払いが足りなかったかな?
「どちら様?」
『私だ。メンソだ』
「どうかした?」
『悪魔についてだ。ジャック・ストライフが言うには、天界と魔界の戦争が始まるそうだな』
「神様はラークスーツを早急に完成させろって言ってたよ」
『やはり、悪魔は地球に侵攻してくるのだな?』
「神様が言った文脈から察するに、悪魔は来るかもね」
『あい、分かった。明日は1日漬けでテストして、明後日から大量生産しよう』
「分かった、任せて」
『お前の忠誠心は大したものだ。ゆっくり休め』
「おやすみ」
テレパシーが終わったところで、俺はバロン酒を飲みながら、アーマーを外して、ベッドにダイブする。
――俺はまた悪夢を見ている。親がお見合いをセッティングしやがった時だ。俺と両家の両親、お見合い相手は霊感商法師の娘、ナツ。俺より3つ年上で不細工デブス性格ブスな女だ。ホテルのラウンジで座ってるのが苦痛。
俺は縁談を何度も断ろうとしたが、その都度、裾の下で母が俺の足を蹴ってくる。マジウゼえ。母の顔面を鉄拳制裁してやりたかったが、我慢だ。
「後は若い者に任せて、我々は」
「そうですね」
「曽、確りね」
俺とナツはラウンジに取り残される。
「曽君、私はお金持ちよ。結婚を前提に付き合わない? 曽君は雑魚キャラだし、病気だから、私が治してあげる」
「霊感商法で搾取した金だろ。ブス。治る病気じゃねえよ」
「なんですって!? この貧乏人!」
「カネが全てか? デブス」
「統合失調症だから、お手柔らかにしてやってんのに! この障害者! 病人!」
「なんとでも言え。性格ブス」
「ママに言い付けるからね」
「詐欺親子で仲良くな」
「お前ムカつく!」




