072(命名、ラークスーツ)
パワードスーツはプロトタイプが既に完成していた。俺はテストパイロットか。
「ロイ親方、俺が試運転しようか?」
「おお。ソウではないか。メンソ国王からの指示だろう? 是非頼む」
パワードスーツは人型で武骨。全高6メートル、全幅は4.5メートル。前面投影面積を犠牲にしてでも、機動力を確保したいようだ。
パワードスーツの胸部が開き、俺はハシゴを伝って乗り込む。
魔法で機械と繋がり、動かすシステム。コンデンサが内蔵されており、魔法車より少ない魔力で動かせる、とロイ親方は言っていた。
『ソウ、聞こえるか?』
「ああ、聞こえる。まずは何をしたらいい?」
『とりあえず、歩いてみてくれ』
「分かった」
俺はパワードスーツの神経に自分の神経をシンクロさせる。ガシッ。まずは1歩。ガシッ。2歩目。
ガシッ! ガシッ! ガシッ! ガシッ!
『凄いじゃないか、ソウ。プロトタイプをコントロールするとは』
「このロボットにとっては小さな1歩だが、ラークバロン公国にとっては大きな1歩だ」
『名言だな』
「パクりだけどね、アハハ」
俺はパワードスーツを操り、牧草地帯まで来た。後ろに振り返るとセンターモニターにロイ親方やクルー達が走って追いかけてきた。
『ソウ、もういいだろう。ドックへ戻ってくれ』
「分かった。ロイ親方」
『なんだ、不具合か?』
「思ったより魔力を消費するよ」
『プロトタイプにはコンデンサが入ってない。その状態でどのくらい移動出来る?』
「う〜ん、100キロメートルは行けそう」
『お前の魔力ならではだな』
俺は人を踏み潰さないようにゆっくり歩かせて、ドックへ戻ってきた。
パワードスーツの胸部を開けると、ハシゴを掛けてくれた。俺は降りる。
「どうだ、ソウ。魔法車もいいが、金属の鎧もいいだろう」
「ああ、面白いよ。でも金属の鎧って言い方を変えよう」
「何がいい?」
「そうだな〜…………“ラークスーツ”でよくない?」
「気に入った。コードネームはラークスーツだ」
適当に言ったけど、問題ないよな、アハハ。大量生産された時に責任を取らされる訳でもないか。




