066(根がピュア)
俺はテーブルに着き、バロン酒をらっぱ飲みする。五臓六腑に染み渡るぜ〜。
「坊や」
「ん? マロンか、どうかした?」
マロンは俺の隣に座る。
「エッジと組んでベヒモスを倒したみたいね。ロゼバロン酒を奢るわ」
「ほう、有り難いが、どういう気の回しだ?」
「エッジはリーダーなのに無茶ばかり。助けてくれて、ありがとうね」
「気にするな。お安いご用だ」
「じゃあ、注文するわね」
マロンはこめかみに指先を当てて目を閉じる。
「なあ、マロン。キッチンってどの辺にあるの?」
「気が散る。話し掛けないで」
「わりぃ」
マロンは目を開けて、こめかみから指先を離す。
「キッチンはこの向きから真っ直ぐ30メートル程よ。10年物のロゼを頼んだから」
「いくらだ?」
「ちょっと待って」
マロンは服とアーマーの隙間から財布を取り出して、札を数えてる。
「足りるのか?」
「1000イース足りない…………」
「慣れない事をするから〜。足りない分は俺が出すよ」
「情けないわ。ごめん」
「ソルジャーの給料は安いの?」
「私の位、曹長で年俸400万イース、プラス出来高よ」
「安いな〜。メンソ国王に直訴したら?」
「私の首が飛ぶわ」
女中が赤い瓶とグラスを2個持ってきた。
「3万イースになります」
マロンは財布から2万9000イース出したので、俺はポケットから1000イース札を出す。
「毎度ありがとうございま〜す」
女中は戻っていった。俺はグラス2個にロゼバロン酒を注ぐ。
「悪いわね」
「気にするな。飲もうぜ。仲直りだ」
「私達、仲悪かったかしら?」
「気にするな」
俺はグイッと一口飲む。樽の焦げた匂いとフルーティな香り、美味い! マロンもロゼバロン酒を飲む。マロンは無意識に嫌味を言うタイプだが、素直なところもある。根がピュアなのだろう。
「うっ……痛い」
マロンはお腹の辺りをさする。
「どうした、生理痛か?」
「かもしれないわ」
「あんまり飲むと、悪化するぞ」
「私は待機所へ戻るわね。あとは飲んでいいから」
マロンは壁に手を突きながら、宴の間から出ていった。
俺はロゼバロン酒を持ち、部屋に帰る。




