060(彼女のコーヒー)
「まだまだ研究段階だな。千鳥足だったし」
「もう少し調整しないといけないわね。そうしないと実践配備出来ない」
「あっ、邪魔しちゃったかな?」
「今は休憩中だからいいわよ。コーヒー飲む?」
「じゃあ、1杯貰おうかな」
ティファ先生は棚からグラスを1つ取り出し、コーヒーメーカーにセットする。
「マルボロバロン産のコーヒー豆よ」
「高級品?」
「まあ、ラークバロン産のが高いけど、味はマルボロバロン産ね。砂糖とミルクは?」
「ブラックでいいよ」
ティファ先生はグラスに抽出された、ブラックコーヒーを渡してくれた。あったけえ。
俺はまずは一口すする。…………美味い。やはり、香りを味わうにはブラックだな。
「美味しい?」
「あんまり、コーヒーにこだわりとかないけど、これは美味いね」
「よかった」
俺はコーヒーを飲み干す。
「そろそろ帰るね。コーヒーありがと」
「またいつでもどうぞ」
俺はティファ先生の研究所を後にしてゼニア姫の部屋の前に行く。ジャックは居なかった。
ガチャッとドアが開く。ゼニア姫が出てきた。
「ソウ、泣き疲れたわ。それと、ごめんなさい」
「なぜ謝る?」
「ママがソウのおカネを盗んだって聞いたわ」
「また魔法宝くじを買ったから大丈夫だよ」
「当たりっこないわ」
「一度あることは二度ある、二度あることは三度ある」
「どんなのを買ったの?」
俺はポケットから、くじ券を取り出して、ゼニア姫に見せる。
「一口1万イースで確率1億分の1だから、当たればデカイぞ」
「なっ!? 1等、300億イースよ?」
「スゲー!」
「まだ当たってないわよ」
「神様に愛されればオーケー」
「意味が解らないわ」
「この前、説明したじゃん」
「本当に神様が居れば、ママの亡命も防げたはず」
「神様は未来の事を話せないって言ってたよ。でもラークバロン公国の将来は長い眼で視れば安泰だって」
「気休めはいい」




