056(カチンとくる女)
マロンはこめかみに指を当ててる。テレパシーを送ってるみたいだ。
「迎えの魔法車と追撃部隊を要請したわ」
――俺達は特に会話するでもなく、迎えを待っていた。札束をポケットにねじ込んで。
20分ほどして魔法車が5台来た。
俺とマロンはレキサスに乗り、塔に帰る。運転手付きだ。
「坊や、疲れたでしょ」
「全然」
「強がりはいい」
「10キロメートルも走ってない。歩いた方が疲れるよ」
「まるで上級魔法使いね」
「呪文なしで爆裂魔法が使えるよ」
マロンはいちいち、カチンと来ることを言う。嫌いだ。
――俺達は塔に着き、ワープエレベーターで玉座の間に行く。
「ソウ、重要な手がかりがあったそうだな」
「メンソ国王……」
「フレーバは本当にケントカーム国へ亡命したのか?」
「本人が言うには。10億イースは手土産だろう」
「カネだけじゃない。金銀財宝もゴッソリだ」
「手助けが居た?」
「そのようだな」
「ケントカーム族の3人が親書を持ってきた時から仕組まれていたか」
騎士団員が1人来た。
「申し上げます! ケントカーム国の物とみられる空挺が1機、ラークバロン公国領内に侵入した模様です」
「フレーバを回収しに来たか」
「どうする? メンソ国王」
「打ち切りだ」
「諦めるのか?」
「夫婦関係は破綻していた。いつかはこのような日が来てしまうと思っていた」
「仮面夫婦か」
「しかし、なぜ今なのか解らん。ゼニアが惑星大統領になれるかどうかのタイミングで」
「夫婦の問題は民事不介入だ。俺にも解らん」
「ラークバロン公国は今、ガタガタだ。皆、気を引き締めていけ。下がってよいぞ」
――俺はワープエレベーターで城下町へ降りる。
そして、魔法宝くじ屋に来た。
「いらっしゃいませ〜」
「当選金が一番なヤツを。一口いくら? 当選確率は?」
「一口、1万イースです。当選確率は1億分の1となります」
「じゃあ、10口頼む」
俺は10万イース札を1枚支払う。
「はい、ありがとうございます」
ピー……カタン、ピー……カタン――。
「すぐ結果が判るの?」
「週末に結果発表されます」
「今日は何曜日?」
「はい? 金曜日ですが。これはくじ券です。結果が出ましたら、お近くのATMか魔法宝くじ売り場までお持ち下さい」
「ATMでもいいの?」
「はい、勿論です」
「ありがとね」
俺はくじ券をポケットに入れて宮殿に帰る。




