055(亡命)
塔の北側は農村地帯だ。俺はスカイレインをゆっくり走らせて、フレーバ王妃の捜索をする。
「神様が言ってた大変なことってこれか」
「神様? 寝ぼけてるの?」
「マロンに言っても無意味だな」
「何よ、味方同士で隠し事はなしよ」
「はあ……簡単に言うと俺は眠ってる間に神様と交信が出来るんだ」
「馬鹿馬鹿しい」
「なっ。無意味だろ?」
「本当に神様が居れば、ラークバロン公国は戦争に勝てるわ」
「そだねー」
「他人事に聞こえるけど」
「ラークバロンの人達は良いが、ソルジャーは別だ」
「お互いに第一印象が悪かったみたいね」
お互い? 何をほざいてるんだ、コイツ。やっぱり、ソルジャーは嫌いだ。
「……停まって!」
「なんだ? 手がかりか?」
俺はスカイレインを路肩に停める。辺り一面、牧場が広がってる。
マロンはスカイレインを降りて、後方へ行った。俺も追いかける。
「坊や、これ見て。札束よ」
「ピン札だな、ATMからおろされた?」
「100万イース札の束……まさか、フレーバ王妃の……」
「ってことは俺のカネ。それにしても、見付けて下さいと言わんばかりに落ちてるな」
「ミスリードって言いたいの? 村人が拾うかもしれないわ」
「こんな高額な札束なら遣ったら、足が着くだろ。北に行ったと思わせる、ミスリードだよ」
『ソウ、私を探さないで』
テレパシーが来た。
『フレーバ王妃か? なぜ逃げる?』
『私とメンソ国王の婚姻関係は冷えきっていたわ。あなたのおカネを貰っていくけど、悪く思わないでね』
『俺の位置が判る? どこから見てる? たったの10億イースで王妃の座を捨てるのか?』
『私はケントカーム国に亡命する』
『敵国だぞ、分かってるのか?』
『覚悟は出来てるわ。……魔法車から離れて。破壊する』
「マロン! 車から離れろ!」
グシャン! スカイレインの上空に直径5メートルくらいの岩が落下して、グシャグシャに潰れてしまった。
「何事!? 敵の攻撃?」
「フレーバ王妃だよ。俺にテレパシーを送ってきた」
「この状況……やっぱり、逃げたのね」
「ケントカーム国に亡命するつもりだ」
「重要な情報ね。とりあえず、塔に戻るわよ」




