053(ミッシング)
「南木曽! 起きろ。授業中に寝るな」
「うっ……また悪夢を見ているのか」
「だったかもぬタイムが必要のようだな」
「やめろ! それだけは。爆裂魔法!」
「アハハハハハ!」
生徒達がドッと沸く。
「南木、ゲームのやり過ぎだ! だったかもぬタイム発動ぅ〜。モンスターペアレントのガキは成敗ぃ〜」
俺が中学生の時、クラスはカオスだった。イカれた教師に、イカれた生徒。
だったかもぬタイムとは行き過ぎた体罰を楽しむ担任、荻野の暴力タイムだ。クラスでイジメを受けてる数人は服の下はアザだらけ。こんなクズはすぐにクビになると思っていたが、3年間やりたい放題だった。
「大変だな、南木、アハハ」
隣の席の典山だ。コイツもクズ。坊主頭に長いまつ毛。正直、キモかったが、いじめる側の腰巾着のように上手く立ち回っていた。頭の中には生徒のランク付けがあるんだろう。
荻野が俺を椅子から立たしてボディーブローをしてきた。俺はとっさにガードして2〜3発殴り返して、大外刈を決めた時に、荻野は机の角で頭を打ち、口から泡を噴く。
「今までの俺とは違うんだよ! 様見ろ!」
――俺の視界が雲の上に切り替わる。
「青年、南木曽よ。また悪夢を見ていたようじゃな」
「神様…………」
「それより、大変な事が起きる」
「ラークバロンで?」
「そうじゃ。未来のことは言えんが、かなりヤバいぞ」
「未来は安泰じゃなかったのか?」
「長い目で見ればな」
「試練はあるってか」
「もう一度魔法宝くじをやるといい」
「いくら、くじ運1億倍だからって、何度も当たる?」
「ものは試しだ」
「分かった、やってみるよ。……あっ! 1つ聞きたいことがある」
「なんじゃ、言ってみい」
「ケントカームのオールマンコは解離性同一性障害か?」
「どうやら、そのようじゃな」
「そうか。もう1つ聞きたいことがある」
「未来以外の事なら何でもカモン!」
「バロン暦532年は西暦何年だ?」
「一度文明が破壊され、再びよみがえった…………」
「それだけか?」
「ワシの管轄外じゃ。詳しくは知らん」
「神様、酔ってるのか?」
「シラフじゃよ、ワッハッハ。……真面目な話をすると、2000年間ほど地球に人類は居なかった」
「テラフォーミングか?」
「もしくは大災害で根絶やしになったか、あるいはその両方か。とりあえず、今の世の中はお前にピッタリだろう」
「まあ、楽しんでるよ」
「さて、そろそろ朝じゃ。行け!」




