052(禁酒のジャック)
15分ほどして女中が皿を運んできた。テーブルにフォーク、ナイフ、ステーキと野菜の付け合わせが並べられ、美味そうな香りが漂う。
「頂きま〜す」
「ソウ、味わって食えよ。これはストライフ牧場のドラゴン肉だ」
「ストライフ牧場? ジャックの牧場か」
「私の兄弟が営んでるんだ」
俺はナイフとフォークでステーキを切り、口に運ぶ。とろける、歯が要らない。大トロみたいだな。
「貴族なのに畜産をやってるのか」
「農業は国の基礎だからな」
俺は心配をしていた。また、ジャックが酒を飲むのかと。
「今日は飲まないのか?」
「休肝日だよ」
「明日は飲むつもりか〜」
「多少の酒癖の悪さはご愛嬌、ハハハ」
「笑えない、アハハ」
「いや、明日も飲まないよ。ゼニア姫が惑星大統領の本選を終えたら、式を挙げるんだ」
「ジャックは年貢の納め時か。良かったな」
「ソウも所帯を持て。10億イースで一代貴族。女が放っておかんぞ」
「なんだか、貴族は荷が重いな〜。近衛兵でいいよ」
「誰か良い女は居ないのか?」
「このところ、白魔法使いのティファ先生と仲良いよ」
「美人女医のティファか、いいじゃないか。お似合いだぞ」
「今日のジャックは何か変」
「んん? いつもと変わらん」
俺とジャックはドラゴン肉のステーキを平らげる。腹いっぱいだぜ〜。
俺は10万イース札を1枚テーブルに置く。
「俺は先に帰るから、女中にカネを払っといて」
「分かった。おやすみ」
俺はバロン酒のボトルを1本持ち、自分の部屋に帰る。
ベッドに腰掛け、バロン酒のキャップを開ける。まずは一口……うめえ。
コンコンコン。ドアをノックされた。
「開いてるよ〜」
ガチャッとドアが開くと、オバチャン女中が入ってきた、カートを押して。
「失礼します」
「ルームサービスは頼んでないよ」
「ソウ様の新しいアーマー等、装備を支給しに来ました」
「そういや、アーマーの胸部に穴が空いてたな」
「よく生きてましたね」
オバチャン女中はクローゼットから古いアーマーや兜を回収して新しい装備や着替えを置いていく。
「神様に愛されればオーケー」
「神様ねえ……魔法宝くじでも当たらないかしら」
「引き寄せよ!」
「当たりっこない、当たりっこない。じゃあ、確かに支給しましたから」
「ありがとね」
「仕事ですから〜」
オバチャン女中は退室した。
俺はグイッとバロン酒を飲み、そのまま眠る。




