050(2020年)
俺は実験室の椅子に座り、ティファ先生の問診を受ける。
「貴方は年齢はいくつ?」
「32歳かな〜」
「肉体年齢、脳年齢は測定不能。健康すぎる」
「よかった、よかった」
「また採血させてもらうわ」
「分かった」
俺は右腕を出して袖を捲る。血管の辺りをアルコール消毒される。
「ちょっとチクッとするわよ〜」
「注射器がでかくない? 500ミリリットルのペットボトルくらい、でかいよ」
「400ミリリットル採るからね。覚悟はいい?」
グサッ。太い注射器をぶっ刺される。
「痛い」
俺は針の先を見てしまう。なぜか腕がプルプルと震える。
「緊張してる?」
「注射が苦手なだけだよ」
「針をガン見してるけど」
これは別に克服しなくていい事だな。
真っ赤な血液が注射器に溜まっていく。シリンダーいっぱいになったところで針がスッと抜かれる。
「終わった?」
「協力、ご苦労様。ちょっと待っててね」
ティファ先生はこめかみに指先を当ててる。テレパシーかな?
「これでよしと。待機所に連絡したから、すぐにシモベが来るわ」
「やっと家に帰れる」
「宮殿は広いからね」
「MGMグランドの何倍もでかいな」
「えむ……?」
「前世の時に、旅行で泊まったホテルで、一番良かった」
「前世? 転生なんて本当にあるの?」
「俺は西暦2020年から来たんだ」
「意味が解らないわ。でも面白そうな研究対象……」
「怖い怖いだったかもぬ」
「ウフフ、何それ」
「前世の言葉で最上級の恐怖を表したものだ」
「前世と今世は同じ言語なの?」
「おそらくね。もしかしたら、神様が能力を与えてくれてるのかも?」
「私は無神論者だけど、ちょっと信じるわ」
「宇宙人より確率高いよ」
「宇宙人なんて居るわけないでしょ、ウフフ。ソウって面白い男ね」
「俺みたいなのが、タイプか?」
「えっ……べ、別に変な意味じゃないわよ」
「照れるなよ、アハハ」
お互い顔が真っ赤だ。
コンコン。ドアをノックする音がした。
「近衛兵ソウ様をお迎えにあがりました」
「開いてるわ〜」
シモベが入ってきた。年老いた執事だ。
「では、ソウ様、行きましょう」
「ああ。……またね、ティファ先生」
「うん、またね」
俺は執事に連れられて、右に曲がり、左に曲がり、まるで迷路だ。しかし、こんなに薄暗かったかな? と思ったら、階段を登った。




