045(自由時間)
魔導師セシルは退室した。それと同時に別のドアから、ゼニア姫が入ってきた。
「2人とも、お待たせ。他に誰か居たの?」
「ゼニア姫、騎士団員の部下と世間話をしてました」
「ふ〜ん。今日の午後はフリーよ。私はデスクワークをするから、2人は自由時間ね」
「大丈夫か?」
「宮殿には15人のソルジャーが常駐してくれている。問題ないわ」
「じゃあ、俺は街の散策にでも行くかな」
「私は部屋で剣を磨いてます。何かあれば、すぐに呼んでください」
――俺は部屋に戻り、アーマーを外してラフな格好に着替える。
『ソウ、聞こえるか?』
テレパシーが来た。頭の中にダイレクトに響き渡る。気持ち悪い。
「誰だ?」
『私だ、メンソだ』
「メンソ国王、急用か?」
『お前は、かなりの活躍をしている、短期間で。給料を払うから玉座まで来てくれ』
「分かった」
――俺は玉座の間に行くと、メンソ国王とフレーバ王妃が鎮座していた。秘密を暴露したら色々ヤバいな。
「ソウ、お前は、もう口座を持ってるようだな」
「約10億イースあるよ」
「魔法宝くじか? 凄いヒキだ。給料だが、年俸2000万イースでどうだ? 騎士団員の5倍の給料だぞ」
「あぶく銭より身銭だね。2000万イースでいいよ」
「では早速、振り込んでおこう。下がってよいぞ」
「はいよ〜」
――俺は宮殿外枠のATMに行く。
『いらっしゃいませ〜。魔法癖を登録した片手を置いて下さい』
俺は右手の手のひらを置く。
【おろす金額と札の種類を選んで下さい】
タッチパネルをよく見ると面白いものを見付けた。90万イースを全部10万イース札でおろす。
【残高10億1900万イースです】
札を9枚、無造作にポケットにねじ込む。10万札があるってことは過去にインフレでもあったのかな? 給料はちゃんと振り込まれていた。街でショッピングでも楽しむか。
俺はワープエレベーターで下界に行く。宛もなく放浪しようかな? いや、まずは魔法車のチューンだ。
駐車場を通り過ぎ、ドックの中に入る。オイルの匂い……懐かしい。フォーミュラレッドのスカイレインがシャシーとボディーに分解されて、クルーがパーツを点検、吟味している。
「ちょっと、ちょっと。一般人は立ち入り禁止だよ」
「クルーのあんちゃん、俺はこのスカイレインを運転した近衛兵だよ。ショッキングピンクのレキサスは回収した?」
「まさか、貴方がソウ様ですか」




